「ピンポーン」
で思い浮かべるのは、呼び鈴・ドアチャイムの音ですよね。皆さんもご自宅の呼び鈴・ドアチャイムの音を思い出せるでしょうか?
「ピンポン」の擬音語はあまりにも有名です。
電子レンジを「チン」「チンする」と表現するように、呼び鈴を鳴らすことを「ピンポンする」「ピンポン鳴らす」と言ってしまうくらい「呼び鈴=ピンポン」は、日本において一般的と言えるでしょう。
しかし、時代は変化していきます。呼び鈴は、インターホン、ドアテレビホンへと進化していき、現在は「ピンポン」の擬音語だけでは説明しきれません。
この記事では、呼び鈴・ドアチャイムがどのように変化していったのか、最新事情とともに紹介します
ドアノッカーからテレビドアホンへの進化
呼び鈴・ドアチャイムは、住居や部屋に人が訪れたことを知らせるのが役割です。人の出入りは多い飲食店などは現在でも、ドアを開くと「チリンチリン」と鳴る呼び鈴が設置されていますが、まさにその役割を果たしています。
昔はドアを直接ノックしたり、ドアノッカーが付けられ「ドンドン」とノックするのが当たり前でした。個人宅でドアをノックされたからといって簡単にドアを開けていると防犯上リスクが高くなります。そのためドアチャイム〜テレビドアホンの進化の過程は、防犯上のリスクとの戦いでもありました。
呼び鈴・ドアチャイムは時代の流れとともに機械式・電源方式へと変遷を遂げていきます。機械式ドアチャイムの動作構造上、「ピン」と「ポン」という音が鳴ったことから「ピンポン」というチャイム音が誕生しました。
機械式・電源方式に変わったとは言え、訪問があればドアを開けたり、応答をしないと誰が来たのかは確認できません。犯罪しかり、防犯上のリスクは大きく減少しなかったと言えるでしょう。
呼び鈴・ドアチャイムは防犯上のリスクが高かっため、ドアを開けずに応答ができるインターホンの誕生へとつながります。
インターホン・テレビドアホンの誕生
呼び鈴・ドアチャイムは電源方式を経て、いよいよインターホンが登場します。インターホンは、室内の親機と玄関の子機により、玄関を開けることなく訪問者と会話できる画期的なシステムでした。さらに現在では音声だけではなくテレビモニターがついたテレビドアホンが主流です。防犯上のリスクは大きく減少し、テレビドアホンのニーズも年々高まっています。
一般社団法人インターホン工業会の生産統計によると、1995年にテレビ付きのインターホンの国内住宅用の割合が31.3%だったのに対して、2019年は、90.7%となっております。また国内住宅用のインターホンの市場規模も約270億円だったのに対して、約853億円と3倍以上に成長しています。(注1)
また不在時に訪問があった場合でもスマホと連動してお知らせしてくれる機能も誕生するなど、身近な存在であるインターホンもライフスタイルや技術の発展とともに確実な進化を遂げています。
インターホンのチャイム音のあれこれ
この記事をご覧になっている皆様、ぜひ家のインターホンを確認してみてください。どこのメーカーのものでしたか? 現在、インターホンの国内シェアは、アイホン株式会社、パナソニック株式会社2強となっています。おそらくどちらかのメーカーであったという方がほとんどではないでしょうか。
現在のチャイム音は、インターホンの機種によって複数用意されており、お好きな呼出音を選べる仕様になっています。「ピンポン」だけではなくメロディや鳥のさえずりなどチャイム音はバラエティが豊かになっていきます。ここでは呼出音の雑学や最新事情をあれこれとご紹介します。
ファミリーマートの入店音も元々はインターホンの呼出音だった!?
ファミリーマートの入店音を思い出せるでしょうか? あのメロディは、実は元々はパナソニック株式会社のドアホン用チャイムとして作曲家の稲田康さんが制作したもので、現在でも呼出音として使用されています。Webメディア「デイリーポータルZ」の企画で稲田さんご本人が「メロディーチャイムNO.1 ニ長調 作品17「大盛況」」と命名しました(注2)。
ボイスチェンジ機能など最新インターホンは多機能
テレビドアホンの場合、訪問者を確認できるので招かざる客だと判断したら居留守を使うという方法もあります。しかし、女性や子どもがどうしても対応しなくてはいけないシーンも考えられます。
そのような時の対策として、現在はボイスチェンジ機能が付いたドアホンも発売されています。成人男性の声に変えられるので、お子様のお留守番時も安心です。また火災報知器の機能があるものなど時代とともに多機能化しています。
24時間365日稼働するインターホンの寿命は10〜15年ほど
24時間365日稼働して、住まいの安全を守ってくれるのがインターホン。こんなに休まずに頑張る家電は冷蔵庫くらいです。その割に存在感が薄いのは、来客時にしかその存在を示す機会がないからでしょうか。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅時間が長くなったことでインターネットを通じて日用品や食事の注文をする機会が爆発的に増えました。常に入り口で我々を守ってくれているインターホンの存在感も増していることでしょう。
そんなインターホンの寿命は10〜15年ほどと言われています。あくまで機器の寿命ではありますが、ライススタイルの変化とともに進化してきているのは繰り返し述べている通り。普段はあまり気にかけることがないインターホンですが、この機会に最新のモデルなどをチェックしてみてはいかがでしょうか。
若者はインターホンに恐怖している?
スマートフォンの普及によって、コミュニケーションの形態が大きく変わりました。デジタルネイティブ世代では、電話対応に慣れてない、苦手とする「電話恐怖症」が増えていると言われています。
それはインターホンでも同様のようです(注3)。インターホンが鳴るのは唐突なため、若年層でなくても予定していない訪問・来客があると身構えてしまうものですが、若年層だとより顕著。これまでのインターホンの進化をみると、このようなニーズに応える新機能も近々生まれるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。インターホンはすごく身近にあり、我々の生活を守る役割を果たしています。元々は訪問や来客を知らせる役目だったのが、火災報知器やボイスチェンジ機能まで兼ね備えるなど、時代に合わせて変化してきたことを理解いただけたと思います。
文字通り、「入り口で侵入者を防ぐ門番」とも言えるでしょう。これを機に少しインターホンについて検討する機会が生まれると嬉しいです。
参考(出典):
注1 一般社団法人インターホン工業会の生産統計
注2 「ファミマ入店音」の正式なタイトルは「大盛況」に決まりました|デイリーポータルZ
注3 若者は「インターホン恐怖症」、その理由とは|The Wall Street Journal