夫婦別の部屋は必要? 結婚・同棲生活に適した間取りのポイント

2020年初頭から全世界で感染拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、テレワークが推奨され、休日も不要不急の外出は制限がかかるなど、良くも悪くも夫婦が自宅で過ごす時間が増えてきています。

一日中同じ部屋で過ごしていると、夫婦やカップルの関係性にも少なからず影響をもたらします。事実、「コロナ離婚」という言葉も流行りました。原因のひとつとして、「常に一緒にいること」の是非が問われています。結婚・同棲生活において快適に過ごせる間取りの選び方や、夫婦別部屋の必要性について、わかりやすくまとめました。

 

夫婦それぞれの一人部屋がある割合

1人部屋の場合

二人暮らしの間取りは人それぞれですが、それぞれ一人部屋を持っているという割合はどのくらいでしょうか。株式会社リクルート住まいカンパニーが2017年に実施したアンケート調査によると、「夫婦の寝室は別室」と回答した人は約27%と、3割近い数字に上ったそうです。[注1]

年代別に見ると、年齢を重ねるごとに夫婦別室の割合が増加する傾向にあり、20代ではわずか4.2%に留まっているのに対し、30代では一気に約5.5倍の23.7%に増え、40代では31.8%、50代では34.2%といずれも3割を超えています。40代以降は3世帯に1世帯が夫婦別室の間取りを選択していることになり、決して少数派ではないことが伺えます。


コロナ禍では夫婦別室が増加傾向に?

前述のアンケート結果は新型コロナが流行する前のデータですので、2021年現在は夫婦別室を選択するカップルが増えている可能性があります。その理由のひとつが、厚生労働省による家庭での過ごし方に関する注意事項です。厚生労働省では、家族に新型コロナウイルス感染の疑いがある人がいる場合、「家庭内でご注意いただきたいこと」として、「食事や寝るときも別室としてください」と注意喚起しています。[注2]

あくまで「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合」の対応ですが、いつ・誰が感染してもおかしくない現状を考えると、万一のことを考えて夫婦別室にするという選択肢もあります。

また、感染対策とは別に、夫婦それぞれがお互いの部屋を持つことで、良好な関係を維持しようという家庭もあります。株式会社カケコムが実施した「コロナ離婚に関するアンケート」によると、新型コロナ感染拡大後、初めて離婚を考えたという人は全体の47%。その理由に「一人の時間が取れなくなってしまった」ことを挙げている人は3割以上に上っています。[注3]

中には、「ストレスによる暴力や不仲」を原因に挙げている人もおり、自宅で一緒に過ごす時間が増えたことが夫婦仲を悪化させる要因となった家庭も多いことが伺えます。こうしたライフスタイルやワークスタイルの変化に対応できるよう、それまで夫婦同室で過ごしていたカップルが、夫婦別室に切り替えるケースも増加することが予測されます。

 

夫婦別部屋は必要か? コロナ以前と以後を比較する

新型コロナウイルスが流行する前までは、夫婦別室はコミュニケーション不足を助長し、離婚率を上昇させる要因になると言われていました。なぜなら日中は夫婦の両方、あるいは片方が外で仕事をしていて、自宅でも別室で過ごすとなると、コミュニケーションを取る機会が不足してしまうためです。

実際、オウチーノ総研が2016年に実施した「『夫婦仲』に関するアンケート調査」によると、夫婦中が円満と回答した夫婦の寝室の同室率は75%と大多数を占めており、「夫婦間でコミュニケーションを取れること」を主な理由として挙げています。[注4]

しかし、新型コロナウイルスの影響により、外出自粛&テレワークの導入が進んでいる現在、平日・日中を問わず夫婦が一日自宅で過ごすという家庭が急増しました。夫婦が一日中自宅でともに過ごしていると、一人の時間を確保できず、だんだんストレスがたまり始めます。

特にテレワークをする方は、「家にいるとパートナーの視線や存在が気になって集中できない」「在宅時間が増えたことで、家事の手間や量が増えた」といった事情もあるため、夫婦二人が同じ部屋で過ごすことに苦痛を覚える方も少なくないようです。外出もままならない今は、自宅でも「逃げ場」を確保できるよう、夫婦がそれぞれ別の部屋を持つという選択肢もありえるでしょう。

新婚カップルにおすすめの間取りとは

夫婦に適切な間取り

では、新婚カップルや同棲カップルが新居を探す際、どんな間取りの部屋を選べばよいのでしょうか。ここでは、新婚カップルや同棲カップルにおすすめの間取りを4つご紹介します。

1.会社員&専業主婦(主夫)の家庭なら2LDKがおすすめ

夫婦のどちらかが働いていて、パートナーは専業主婦(主夫)という場合、LDKに寝室1部屋とワークスペース1部屋の2LDKの間取りがおすすめです。

パートナーがLDKでくつろいだり、家事をしたりしている間、別に設けたワークスペースでテレワークや作業をすれば、仕事とプライベートをきっちり分けることができます。

なお、ワークスペースのある部屋は、できるだけLDKと離れた場所に設けるのがおすすめです。ドア一枚、壁一枚隔てた隣の部屋でも、ある程度、音や気配を遮断することはできますが、水仕事やテレビの音が漏れ聞こえてくることもありますので、LDKとはなるべく距離を取るのが理想です。

 

2.夫婦共働きの家庭なら3LDKがおすすめ

夫婦ともに働いている場合は、両方ともテレワークになる場合を考慮し、3LDKの間取りを選択するのがおすすめです。

1つは寝室に、残り2つは夫婦それぞれが自室として利用すれば、相手に気兼ねせずに仕事に専念することができます。夫は残業多め、妻は日中メインなど、夫婦のワークスタイルが異なる場合は、それぞれの自室にベッドや布団を置いて、遅くなるときは各々の部屋で就寝するという方法もあります。

その場合、寝室は客間や収納部屋として利用するか、将来生まれてくる子供のための部屋として確保しておくのも良いでしょう。

 

3.「ながら家事」をするならキッチンの近くに部屋・スペースのある間取りがおすすめ

Webデザイナーやライターなど、仕事時間をある程度自分で裁量できる業種の場合、仕事の合間を縫って家事をしたいと思う方もいるでしょう。そんなときは、キッチンのそばに部屋やスペースのある間取りを選ぶのがポイントです。

ワークスペースとキッチンの間を楽に行き来できる間取りなら、すき間時間を有効活用して仕事と家事を両立させることができます。なお、キッチンやダイニングに十分なスペースのある間取りなら、アコーディオンカーテンやロールスクリーンなどを取り付けて、簡易的な個室を作り出すことも可能です。

仕事が終わったら、カーテンやスクリーンを開け放しておけば、キッチンやダイニングを広々と使うことができます。キッチンやダイニングにワークスペースを作る場合は、2DKの間取りで1部屋をリビング代わりに使うという方法もあります。

 

4.テレワークなし、DINKSなら1LDKの間取りもあり

テレワークがなく、子供がいないDINKS(Double Income No Kids)の場合、日中はお互い仕事で不在ですので、わざわざ夫婦別室にする必要性はあまりありません。

このケースでは、夫婦別室にするとコミュニケーションを取る機会が減り、夫婦関係が悪化してしまうおそれがありますので、あえて1部屋(寝室)+LDKのこぢんまりとした間取りにし、夫婦でコミュニケーションを取りやすい環境を作るのがおすすめです。

1人の時間が欲しいという場合は、寝室にソファやローテーブルを設置すると、簡易的なリラックススペースとして活用することができます。

 

まとめ

 

新型コロナウイルスの感染拡大前までは、日中一緒に過ごす時間が取れないぶん、自宅では夫婦がなるべく触れあえる時間を取れるよう、夫婦同室の間取りを選ぶ人が多い傾向にありました。

しかし、新型コロナ感染拡大以後はテレワークが増えたことにより、平日・休日にかかわらず、夫婦が一日中顔を合わせる機会が増加しました。

いくら好き合って結婚・同棲しているカップルでも、長期間にわたって一日中同じ部屋にいると、ストレスがたまって衝突する機会も増えてしまいます。

場合によっては二人の関係にヒビが入ってしまうことになりかねませんので、テレワークで在宅時間が増えたカップルは、夫婦別室にして一人の時間を確保するなど、それぞれの働き方や夫婦のライフスタイルに適した住環境を整えることが大切です。

夫婦どちらかが働いているなら2LDK、夫婦共働きなら3LDKの間取りがおすすめですが、工夫次第で快適な住環境を確保できますので、二人でよく話し合って最適な間取りを選択しましょう。

 

[注1]株式会社リクルート住まいカンパニー「くらしの「気になる!」を徹底調査「SUUMOなんでもランキング」今回のテーマは『夫婦の寝室、現在同室で寝ている?別室で寝ている?』」

[注2]厚生労働省「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意いただきたいこと~8つのポイント~」

[注3]株式会社カケコム「コロナが夫婦関係に与える影響とは?コロナ感染拡大後に初めて離婚を考えた方は全体の約半数。コロナ離婚の原因と対策を徹底調査。」

[注4]オウチーノ総研「『夫婦仲と寝室』に関する実態調査[2016版]

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