外に干していた洗濯物に、カメムシが付いていた経験のある方は多いのではないでしょうか。
カメムシがなぜ洗濯物に付きやすいのか、寄せ付けない方法と捕獲法について解説します。
カメムシってどんな虫? その生態と特徴
カメムシは、カメムシ目カメムシ亜目に分類される昆虫で、背中の形がカメの甲羅に似ていることから、その名が付きました。カメムシ亜目はさらに、複数種のカメムシ科に分類され、日本でも緑色や茶色の地味な色のものから、カラフルなものまで、多くの種類が確認されている昆虫です。
まずは、「カメムシはいつ大量発生するのか?」「どうして臭いのか?」を解説します。
大量に発生する時期はいつ?
カメムシは1年を通して発生する昆虫ですが、暖かい気候を好み、春先から秋にかけて活動が活発になります。
春~夏に繁殖・産卵活動をおこない、1ヶ月ほどで成虫になることから、カメムシの成虫は梅雨明けから夏後半にかけて数が急増します。
カメムシは自身の臭さにノックダウン!
カメムシは、果物や草花の蜜、汁を吸って生きています。大量発生による農作物の被害が問題となっており、日本では害虫として扱われている昆虫です。
カメムシの臭いは、後胸部の腹側にある臭腺から放出されます。独特の臭いから、各地域で「ヘコキムシ」や「クサムシ」と、俗名で呼ばれることも。
カメムシが放出する臭いの主成分は、「トランス-2-ヘキセナール」です。トランス-2-ヘキセナールとは、脂肪族アルデヒドの1種で急性毒性があります。
急性毒性があるといっても、広い空間や空気の流れのある場所で、カメムシ1匹程度のトランス-2-ヘキセナールを嗅いだとしても、人間には大きな影響はありません。しかしカメムシを小さい密閉容器に入れると、自身の臭いを嗅いで中毒死を起こします。
トランス-2-ヘキセナールは、青葉アルデヒドとも呼ばれ、草や葉の臭い成分の1つです。パクチーなどの独特な臭いも、トランス-2-ヘキセナールの仲間であるアルデヒド成分に含まれます。
カメムシが臭いを発する理由は、主に次の報告があります。
・縄張りを主張するため
・敵への威嚇
・性フェロモンとしての役割
洗濯物にカメムシが付いているのに気が付かずに触ってしまい、臭いを放出された場合は、カメムシにとっては威嚇行為と考えられます。
カメムシが洗濯物に寄ってくるワケ
カメムシが洗濯物に寄ってくる時期は、春先と秋が深まったころです。
カメムシは暖かい場所を好むため、太陽がよくあたる場所に干してある洗濯物は、カメムシにとって居心地のよい場所といえます。
越冬したカメムシが動き出す春先は、まだ朝晩が冷え込む時期。そのため、洗濯物にくっついて暖をとります。秋になると、孵化して成長した大量のカメムシが、越冬する場所を求めて動き出し、洗濯物に寄ってくるというわけです。
特に、黒や紺など色の濃い洗濯物よりも、白い洗濯物に寄ってくるといわれています。
これは、白色が太陽の光を、反射する色だからです。太陽光を吸収するものほど、人の目には黒に近く見えます。一方で、太陽光を反射する色ほど、白に近い色に見える仕組みです。
白い洗濯物は、太陽光を吸収せずに反射するため、洗濯物のそばにいるカメムシに熱が集まり、体を温めています。
カメムシを洗濯物に寄せ付けない対策!!
カメムシが大量に発生するのは自然の摂理。防ごうにも、防げません。
しかし、洗濯物に寄せ付けないような対策をとることで、洗濯物にカメムシの臭いがつくのを予防できます。ここで紹介する対策をとって、カメムシによる被害を防ぎましょう。
植物を除去して、カメムシ防除&繁殖場所の除去!
カメムシの好物は、花や草、木の実などの植物です。口にある口吻(こうふん)と呼ばれる器官を、草や実に突き刺し、中の汁を吸います。
そのため、洗濯物を干すベランダや、バルコニーの近くに植物があると、カメムシが食事をしに集まってくる可能性があります。
カメムシは繁殖時期になると、植物に卵を産み付けます。孵化したときに、カメムシの子どもが餌に困らないようにするためです。
カメムシの餌場・産卵場所になるような植物を除去し、洗濯物に近付けさせない対策をとりましょう。
網戸や窓ガラスに忌避剤を設置!洗濯物に寄せ付けない!
網戸や窓ガラスに、忌避剤(きひざい)を使用することも、カメムシ対策に効果的です。
通常カメムシは、植物の葉の裏などに卵を産み付けます。しかし、住宅地など、植物が少ない場所では、網戸や窓ガラスに産卵してしまうこともあります。
また、白い光が好きなカメムシは室内の光に釣られて、網戸・窓ガラスにくっつく習性もあり、洗濯物に近付けさせない工夫が必要です。
カメムシ用の忌避剤も市販されており、網戸や窓ガラスにカメムシがくっつくのを予防できます。忌避剤には、ドアノブなどにぶら下げるタイプと、スプレータイプがあるため、使いたい場所に合わせて選択するとよいでしょう。
待ち伏せ型の殺虫剤を使用する
カメムシが近付いてほしくない場所に、待ち伏せ型の忌避剤を撒くのもおすすめです。
待ち伏せ型の忌避剤は、スプレータイプが市販されており、物干し竿にスプレーをするなど、ピンポイントでカメムシを避けられます。
カメムシに臭いを発生させず、捕獲する方法
カメムシが洗濯物に付いてしまったら、どう捕獲していますか?
実は手で摘まんだり、払いのけたりすると、臭いを放出し洗濯物に臭いが付いてしまうことがあります。
カメムシに臭いを発生させずに、上手に捕獲する方法を紹介します。
粘着性の高いテープやペットボトルで捕獲する
カメムシには、後胸部の第3節の腹側(真ん中の足と後ろ足の付け根あたり)に、臭いを出す臭腺があります。
そのため、カメムシのお腹側に触れると、手に臭いが付くので注意しましょう。洗濯物にくっついたカメムシを素手で捕獲しようとすると、カメムシが驚いて臭腺から臭い成分を分泌するため、洗濯物に臭いが付く原因にもなります。
カメムシを捕獲するときは、できるだけ刺激を与えないようにすることがポイントです。
できるだけ臭いを出させず、捕獲後も臭くない捕獲方法は、テープやペットボトルを使用するのがおすすめです。
粘着力の強いテープを輪にして手に巻き、素早くカメムシを貼り付けます。くっついたカメムシは、そのままテープに包んで破棄することもできます。
ただし、テープを貼り付ける際にカメムシが驚いて、臭いを出す可能性があるため、テープに力強く押し付けるのはおすすめできません。
ペットボトルを使うときは、ペットボトルの上部を切り取り、口の部分を逆さにして胴体部分にはめ込みます。漏斗のような形にして、そっとカメムシをお腹側からすくいましょう。カメムシに直接触ることなく、ペットボトル内に閉じ込められます。臭いも漏れにくいので、おすすめの方法です。
速効性のある駆除剤を使用する
カメムシが多いときや、近付きたくないときは、速効性のある駆除剤を使用するのも1つの方法です。
ゴキブリ用のスプレー殺虫剤と同様に、カメムシ用の駆除剤も市販されています。商品にもよりますが、20~30cm離れた距離から、数秒噴射するだけでよく、虫が苦手な人におすすめです。
カメムシの防虫対策は忌避剤の設置と植物の除去がおすすめ
カメムシが洗濯物に付くのは、体を温めるためです。特に春先や夏~秋にかけて、大量に発生します。
洗濯物に寄せ付けない方法として、周辺の植物を片づける・忌避剤を設置するのがおすすめです。植物はカメムシの餌場や産卵場所になるため、できれば洗濯物の近くには植えない・置かないようにしましょう。