「将来マイホームを購入したい。でも、購入するにあたって何に気をつけるべきかわからない。」という悩みを持つ方は多いでしょう。
国土交通省が毎年実施している「住宅市場動向調査」によると、注文住宅以外の住宅の購入価格は、年々増加傾向にあります[注1]。幸せなマイホーム生活のためにも、マネーリテラシーや住宅知識をつけて、賢く購入したいところです。
そこで、今回は住宅購入時に気をつけて見るべきポイントを8つご紹介します。
適正な価格かどうか
不動産の価格は、以下の要素を元に決定されます。
●一般的要因(世界情勢や、政治・経済の状態、気象など国全体の不動産に影響する要因)
●地域要因(地方自治体の条例や交通整備計画など、ある地域特有の事情による要因)
●個別的要因(立地や建物の種類など、その不動産特有の要因)
これらに加えて、不動産業者の利益や広告費等も考慮された上で、販売価格が決定されています。そのため、購入したいと考えている土地や住宅、マンションが適正な価格かどうかをすぐに判断するのは難しいかもしれません。その場合は、周辺地域での不動産取引事例を調べてみましょう。
国土交通省が提供しているシステム「不動産取引価格情報検索」では、日本全国の不動産取引事例を調べることができます。土地だけではなく、土地と建物、中古マンション等の実際の取引事例も確認できるため、現実的な検討ができるでしょう。
土地を購入して住宅を建築する場合は、まず自分が購入しようと考えている地域の土地がどの程度の金額で取引されているのかチェック。その後、提示されている販売価格と照らし合わせて比較します。
土地の標準価格は、国土交通省が発表している地価公示から調べることができます。実際の価格と地価公示に差が生じることもありますが、ある程度価格帯の予測はつくようになるでしょう。
マンション等を購入したい場合は、資産価値の有無という観点からも検討します。中古マンションの購入の場合、そのマンションの新築時の価格と、中古での取引価格を比較してそれほど差がないようであれば、そのマンションは資産価値が高いと言えます。
また、新築の物件を購入する場合は立地条件、建物の広さ、物件の設備、管理体制などのポイントから資産価値を判断できます。たとえ長期間住むつもりでマンションを購入したとしても、引っ越しや売却をする可能性もあります。手放すことになったときのことも考え、購入を検討しましょう。
購入以外にかかる費用
住宅を購入するときは、購入費以外にもさまざまな費用がかかります。また、その費用は購入する住宅の種類によって変わる場合もあるため、把握しておく必要があります。
住宅の購入によって発生する費用は、以下の通りです。
●印紙税
●抵当権設定費用(登録免許税+司法書士への報酬)
●事務手数料
●保証料
●団体信用生命(団信)保険料 など
これらの諸費用は、注文住宅・新築マンションの場合は物件価格の3〜6%、建売または中古一戸建て・中古マンションの場合は物件価格の6〜9%が相場です。
また、マンションの場合はこれら費用の他に、管理費や修繕積立金も毎月かかります。管理費は日々のマンション設備の管理に、修繕積立金はマンションの大規模修繕に備えて、住民から集められるものです。
共用設備が充実したマンションの場合、管理費や修繕積立金が高額になる傾向があります。
例えばマンションの駐車場では、平置駐車場のある物件よりも立体駐車場のある物件の方が、管理や修繕に費用がかかるため、管理費修繕積立金も高めに設定されることが多いのです。
設備の仕様
実際に購入した住宅に住んだとき、「あの設備を付けておけばよかった」と、後悔はしたくないもの。さまざまな最新設備が登場してきている昨今、特に注目を集めているのが、宅配ボックスです。コロナ禍で外出が減少し、インターネット通販の利用が増加した現代ならではの変化と言えるでしょう。
キッチンの設備も人気が高いです。食器洗浄機は洗い物の負担を助けてくれる心強い味方となり、最近人気のディスポーザーは生ゴミ処理を楽にしてくれます。
また、夫婦の中には子育てを考慮して検討しなければならないケースもあります。ウォークインクローゼットなど、広い収納スペースも必要になるかもしれません。家族団らんの場には、床暖房があると皆で快適に過ごせます。
自分たちの生活や今後のライフプランを考え、どのような設備が必要なのか取捨選択をしましょう。
水回りの動線
せっかく住宅を購入するのであれば、毎日の家事を楽にできる動線も気にしたいところ。特にキッチン、洗濯機、お風呂場などの水回りの動線がなるべく短い距離だと、いろいろな場面で助かります。
具体的には、洗濯機を回している間にトイレ掃除をしたり、料理を一時中断して洗濯を干しに行ったりといったシーンです。
子育て世帯であれば、外遊びをしてきた子供がすぐにお風呂に入れるような動線を作ることもおすすめ。玄関(もしくは勝手口)から洗面所、トイレ、洗濯機、お風呂場まで、リビングを通らずに行けるようにすると、家の汚れも最小限で済みます。
自分たちの生活でどのような行動が多いかを書き出し、ベストな間取りを選択しましょう。
収納や家具を置くスペースがどれだけあるか
住宅の購入を考えている場合、収納や家具を置くスペースがどれだけあるかという点が重要です。特にマンションは一軒家に比べて狭くなりがちなため、効率よくスペースを使う必要があります。
適切なスペース確保のために、間取りや設備ではなく、建築方法に注目するのも一つの手段です。
広々とした空間を確保したいなら、「アウトフレーム工法」で建てられたマンションがおすすめです。
アウトフレーム工法とは、梁や柱をバルコニー側に出す建築方法のことです。住居スペースを広くでき、すっきりとした空間を演出できます。梁や柱に合わせて家具を設置する必要もなく、インテリアコーディネートをしやすいことがメリットでしょう。
両隣の居住者の情報
立地や間取りなどさまざまな条件を考慮したら、近隣トラブルについても調べておくと安心です。どうしても住まなければわからない情報もありますが、なるべくトラブルを避けるために以下の内容をチェックしましょう。
まず、仲介の不動産会社に過去に近隣トラブルがあったかどうか聞くことです。不動産業者は、買主に対し不利益が被るとされる住宅の売買契約の重要な事項について、説明を行う義務があります。ただし、居住者の情報は個人情報になってしまうため、教えてもらえない場合もあるかもしれません。
マンションの場合は、内見時に共用スペースの掲示板をチェックしましょう。「騒音のクレーム」や「共用スペースに私物を置かない」などの注意書きがある場合は要注意です。
また、騒音のトラブル防止のために、あらかじめ間取りを確認するのも良いでしょう。リビングや子供部屋など、騒がしくなりうる部屋と隣家の寝室が隣同士になっていないか確認しておきましょう。
町内会や管理組合の活動状況
住宅を購入し、特定の場所に住む場合には、町内会や管理組合といった自治組織に加入することもあるかもしれません。住民同士で助け合いながら、自分たちの生活をよりよくしていくことが求められます。
住宅の購入を考えている地域・マンションはどのような活動をしているのか事前に知っておくことで、引っ越し後もスムーズに自治会に参加できるでしょう。
戸建ての場合、加入するのは町内会です。加入は任意ですが、防災や美化、地域イベントなど、活動は多岐にわたります。自分の住む地域の町内会や、その活動内容・加入方法などは、各地域の市役所や区役所のホームページ等で確認しましょう。
マンションの場合は、区分所有法という法律により管理組合に入ることが義務付けられています。町内会とは異なり「マンション(共有財産)の管理」が目的です。
マンションは、点検、修繕、会計処理など、管理の中で専門的な知識が必要なものは外部の管理会社に委託することが一般的です。しかし、管理の方針や管理会社の妥当性などの最終的な判断は、管理組合に設置された理事会で行います。
理事会の役員は、立候補や推薦で決められるほか、抽選もしくは輪番制を採用している管理組合もあります。そのため、自分が理事会のメンバーになることも考えられます。
マンションに住むときは、住民自身が自分たちの共有財産を守っていくという意識が大切です。
まとめ
住宅・マンションの購入は、誰にとっても人生の一大イベントです。購入を決めてから「ああすればよかった」と後悔しないためにも、じっくり考える必要があります。
お金に関すること・間取りや設備に関すること・隣人や地域の方との付き合い方など、さまざまな角度から考えて、購入の検討を進めていきましょう。
わからないことは不動産のプロに頼るのもおすすめです。さまざまな知識や意見を参考にして、素敵な新生活が送れるマイホームを購入しましょう。
[注1]