マンションやアパートの名前を見ていると、「□□コーポ」「ハイツ○○」「カーサ●●」「メゾン■■」「△△レジデンス」など特定のキーワードを目にする機会が多いと思います。
こういったキーワードは、マンション・アパートの名前によく用いられていることから、おそらく住居に関係する意味を持っているとなんとなく理解はしているものの、いったいどのような意味で使い分けがされているのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
マンション・アパート名の基準や決まりについて説明すると同時に、マンション名に用いられることの多い名称について、その意味や由来などを紹介します。
何気なく目にする名称がどういった意味を持っているのか気になる方は、ぜひ読んでみてください。
マンション名に基準や決まりごととは?
特定の名称をよく目にするマンション・アパート名ですが、名前の付け方に関しては、法律や条例などで何らかの決まりや規則・基準が設けられていません。
結論から申し上げると、最終的には大家さんが自由に決めているのが実情です。
ただ、不動産会社の大半が加盟する業界団体である不動産公正取引協議会連合会では、「不動産の表示に関する公正競争規約」で物件の名称の使用基準として、以下のような項目を設けています。
【物件名称の使用基準】 ■物件の所在地において、慣例として用いられている地名または歴史上の地名がある場合は、当該地名を用いることができる。 ■当該物件の最寄りの駅、停留場または停留所の名称を用いることができる。 ■当該物件が公園、庭園、旧跡その他の施設から直線距離で300メートル以内に所在している場合は、これらの施設の名称を用いることができる。 ■当該物件の面する街道その他の道路の名称(坂名を含む)を用いることができる。 |
つまり、物件の周辺にあってその物件の位置を示す手がかりとなるような地名や建物・施設などの名称であれば、物件名として利用してもよいということです。
逆に言えば、北海道にあるのに「メゾン銀座」とか「コーポ表参道」といったような物件名を付けることは、できないということになります。
また、大手のデベロッパーが建設に関わったマンションに関しては、三菱地所レジデンスであれば「ザ・パークハウス」、野村不動産であれば「プラウド」といったように、統一したブランドが名づけられています。
マンション名に使われるカタカナの語源や由来
「マンション名に使われるキーワード」と聞くと、「マンション名に使われるキーワード」と聞くと、「ホーム(家、家庭)」や「パーク(公園)」などを思い浮かべる方が多いと思いますが、それ以外にもよく用いられている名称は数多くあります。その語源や由来を説明します。
マンションの語源となった「メゾン」
メゾン(Maison)は、フランス語で「家」という意味の単語です。「マンション」の語源でもありますので、建物名に付けられるのも納得ですね。
カタカナで表現される外来語を目にすると、英語をイメージすることが多いと思いますが、住宅に用いられる言葉にはフランス語やイタリア語など、英語以外を由来としている言葉も数多くあります。
「コーポ」は和製英語だった
コーポは英語で「共同住宅・集合住宅」を意味する「コーポラティブハウス(cooperative house)からできた、和製英語です。
少し豪華な響きの「シャトー」
シャトーはフランス語で、「城・(王族や貴族が住むような)豪邸」を意味します。
シャトーという響きは高貴なイメージがしますよね。
よく見る「ハイツ」は建物に関係のない英語
ハイツは英語で、「高台・丘」を意味します。ハイツ自体は直接的に住宅のことを指す単語ではありません。あくまで推測ではありますが、小高い立地に建てられたマンション、アパートにつけられたのをきっかけに、徐々に日本では建物名として普及していったのではないでしょうか。
リゾートっぽい「ヴィラ」の意味
ヴィラは英語で「郊外の邸宅・別荘」を意味し、上流階級のカントリーハウス的なニュアンスを持っています。
日本ではマンション名に用いられる以外にも、リゾート地にある一棟まるごと「貸し切って利用するような宿泊施設のことを指す際に、用いられることもあります。
「カーサ」はハウスよりオシャレな響き?
カーサは、イタリア語・スペイン語・ポルトガル語で「家」という意味の言葉です。
日本人がなじみ深い英語で家は、ハウスやホームですが、あまりマンション名に用いることはありません。カーサやメゾンのように英語以外の言葉で「家」という意味を持つ言葉が用いられることが多いです。英語よりも非日常的な響きやオシャレな感じがありますね。
数は少ないがちょいちょい見かける「コート」
コートはもともと英語で、「(建物や塀などで囲まれた)中庭」という意味でしたが、そこから転じて「(中庭があるような立派な)邸宅・宮殿」という意味を持つようになりました。
「ハイム」はドイツ語で「家」
ハイムは、ドイツ語で「家」という意味を持つ言葉です。
マンション名に用いられることはもちろん、大手ハウスメーカーである「セキスイハイム」の社名に用いられていることからも、住宅関連の言葉であることがイメージしやすいと言えるでしょう。
高級感があふれる「レジデンス」
レジデンスは、英語で「邸宅・高級住宅」といった意味を持つ言葉です。ハウスよりも一回り豪華で立派な住宅といったニュアンスを持っています。
ちょっと特別感漂う「ドミール」
ドミールはフランス語で、「家・住居」を意味する言葉です。マンション名に用いられる場合は、「ドミール+地名(駅名)」などのような形で用いられることが多いです。
大規模マンションにぴったり「パレス=宮殿」
パレスは英語で、「公邸・宮殿」を意味する言葉です。
公邸や宮殿の持つイメージ通り、規模が大きく高級感のあるマンションの名前に用いられることが多いです。
人が集まる「村=ヴィラージュ」
ヴィラージュはフランス語で、「村」を意味する言葉です。
マンション名として用いられる場合は、郊外にある少し規模の大きなマンションに用いられることが多く、言葉の意味にもぴったりです。
本館には付けられない「アネックス」
アネックスは英語で、「別館・分館・離れ」を意味する言葉です。
マンション名に用いられる場合は、すでに建てられているマンションの2号館のような立ち位置のマンションを建てる場合に、用いられることが多いです。
地名と相性がいい「コンドミニアム」
コンドミニアムはアメリカやカナダの分譲マンションのことを指し、所有者が利用しない間は賃貸に出して、ホテルのように利用されることもあります。
そのような形態から、日本ではリゾート地に建てられた集合住宅型の別荘に、コンドミニアムという名称が付けられることが多く、「コンドミニアム+地名」の組み合わせが比較的多いです。
マンションに利用されているカタカナの語源はさまざま
マンションの名前の付け方については、法律や条例で決まりが設けられているわけではありません。
マンションの名前に用いられるカタカナの言葉は、住宅関係の意味やそこから派生した意味を持っている言葉が多いので、今回取り上げた言葉以外のカタカナをマンション名に見つけたら、その意味や語源を調べてみると新たな発見があるかもしれませんね。
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【監修者】
櫻井幸雄さん
住宅評論家。全国の住宅事情に精通し、現場取材に裏打ちされた正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞で連載コラムを持ち、Yahoo!ニュース「個人」でも住宅コラムを連載中。テレビ出演も多い。「買って得する都心の1LDK」など著書多数。近著は、「櫻井幸雄の人生スマイル相談室」(法研)。