暖かくなってくると、いつの間にかキッチンまわりなどで見かけるようになるコバエ。数匹くらいならと思って放置していると、いつの間にか大量発生してしまうので油断は禁物です。どこからともなくやってくる、うっとうしいコバエの駆除方法と予防法について解説します。
コバエとは?
ハエには大小さまざまな種類がありますが、いずれもゴミや汚物などにたかる不潔な虫というイメージがあります。大きなハエは、網戸をしていれば家の中に侵入することはありませんが、小さなハエは網戸をしていても侵入してきます。一般的に小さなハエを「コバエ」と呼びますが、「コバエ」という名前のハエがいるわけではありません。家の中で発生するコバエは主に4種類です。それぞれの特徴を解説します。
ショウジョウバエ
ショウジョウバエは春と秋に発生しやすく、体長は2~3mm、体色は黄褐色や黒色で、赤い目が特徴です。日本ではキイロショウジョウバエ、クロショウジョウバエをはじめとする約300種、世界では2500種ほどが知られています。傷んだ果物や野菜、発酵食品、生ゴミなどから発生します。ショウジョウバエの名前の由来は、赤い目をしていることから酒好きな妖怪「猩々」にちなんで付けられたといわれています。欧米では、熟した果物を好むことから「フルーツフライ」と呼ばれています。卵から成虫になるまでの期間は約1ヶ月、成虫の寿命も約1ヶ月近くです。
チョウバエ
チョウバエは春から秋にかけて発生し、体長は1.5~5mm程度、体色は灰黒色です。体表や翅が毛で覆われているのが特徴です。日本では約70種ほどが確認されており、なかでも広く全国に生息するのがホシチョウバエ、やや羽が大きめのオオチョウバエです。キッチンや風呂場などの水まわりなどで発生し、石鹸カスや皮脂汚れを好みます。卵から成虫になるまでの期間は約2週間、成虫の寿命も約2週間です。湿度が高く暗い場所を好む傾向にあります。
ノミバエ
ノミバエは体長2mmほどで、夏期に発生します。体色は黄褐色で透明の翅、脚がノミのようによく発達しており、活発に歩行します。台所の生ゴミや排水溝、ペットの排泄物、動物の死骸などから発生し、卵から成虫になる期間は約2週間、成虫の寿命は10日ほどです。体が細く動きが俊敏で、ごくわずかな隙間からでも侵入します。世界では2400種、日本では20種ほどが確認されています。
キノコバエ
キノコバエ、クロバネキノコバエは体長2mmほどで、春や秋に発生します。体色は黒や黒褐色で体系は細長く、蚊に似た外見です。発生場所はキノコ類や腐葉土、屋内では観葉植物や植木鉢などになります。卵から成虫になる期間は約1ヶ月ですが、成虫の寿命はわずか4~10日程度です。
コバエが大量発生する原因
コバエは、放っておくといつの間にか大量発生してしまいます。コバエは産卵からふ化するまでの期間が長くても2~3日程度です。そこから10日ほどで成虫になり、卵を産み始めます。1度に産む卵の数は30~100個ほどで、産卵回数は生きている間に5回以上、一生のうちに500個以上も産卵する計算です。
気温が20℃以上になるとコバエの活動は活発化します。春先に家の中で見かけたときには数匹程度であったとしても、気温が上昇するにつれて産卵し、あっという間に大量発生してしまうため、早めの対策が不可欠です。
コバエの駆除方法
コバエは小さくてすばしこいので1匹ずつ駆除していては、どうしようもありません。コバエの効果的な駆除方法について解説します。
めんつゆトラップ・酢トラップ
殺虫剤を使用せず、家にあるもので簡単にできる駆除方法として知られるのが「めんつゆトラップ」「酢トラップ」です。トラップの材料は、使用済みのペットボトルまたはプリンなどのプラスチックカップ、めんつゆまたはお酢、水、食器用洗剤です。まず、ペットボトルを5分の1ほどに切り、そこに1cmほど水を入れ、さらに同じ量のめんつゆかお酢を入れます。最後に食器用洗剤を数滴たらせばトラップの完成です。食器用洗剤はレモンやオレンジなど柑橘系の香り付きだとより効果が高まるようです。
このトラップをコバエがいるシンクの三角コーナーやゴミ箱付近に1週間程度置きます。めんつゆやお酢、さらに食器用洗剤の柑橘系のにおいにつられてトラップに入ったコバエは、洗剤の界面活性剤によって飛べなくなって溺れ死ぬという仕組みです。なお、このめんつゆトラップの効果が期待できるのは主にショウジョウバエです。また、トラップを置くのは衛生上の観点から、長くても1週間程度とし、設置中はひっくり返さないように注意しましょう。
スプレータイプの殺虫剤
コバエ用のスプレータイプの殺虫剤もあります。コバエを見つけたら直接吹き付けて駆除できるので使いやすく、コバエが発生しそうな場所にあらかじめ吹き付けておくのも効果的です。ただし、コバエが大量発生した場合は、駆除し切れない可能性があります。また、小さい子どもやペットがいるため、殺虫剤を使用したくないという場合には不向きな方法です。
捕まえるタイプの殺虫剤
スプレータイプのほかに、捕まえるタイプの殺虫剤もあります。粘着テープタイプと置き型タイプがあり、いずれもコバエが発生しそうな場所に設置して使用します。
粘着テープタイプは、強力な粘着力で飛び回るコバエを捕獲します。薬剤不使用のものもあります。天井に吊るすタイプ、スティックタイプなどがあるので、使用する場所に合わせて選ぶとよいでしょう。
置き型タイプはコバエが好む色、香りで誘引し、容器の中の殺虫剤で駆除します。コンパクトで置くだけという手軽さから、選ばれやすく種類も豊富です。
コバエを寄せ付けないために
コバエはとても小さいので、網戸の目もすり抜けて家の中に侵入してきます。完全にシャットアウトすることは難しいため、コバエが好む環境をつくらないようにして、大量発生させないようにしましょう。コバエを寄せ付けない方法について紹介します。
三角コーナーや排水溝はこまめに清掃
キッチンの流しにある三角コーナーや排水溝などは、コバエが大好きな場所です。特に暑くなってくると生ゴミの腐敗臭などが出やすく、コバエを寄せ付ける原因になります。排水口のヌメリなどもコバエの発生源となるので、日頃からこまめな掃除を心がけましょう。また、夏は週に1度程度パイプ専用クリーナーなどで排水管を掃除することをおすすめします。さらに、掃除後はしっかり乾燥させておくと、より効果的です。
ゴミは密封しておく
ゴミを放置しておくとコバエの産卵場所になってしまいます。特に、生ゴミのにおいはコバエを引き付けるため、ゴミ出しの日までは密封し、においが漏れないようにしましょう。
食べ残しや飲み残しを放置しない
食べ残しや飲み残しも、コバエを引き付けます。食後の食器洗いはなるべく早めに取りかかりましょう。また、ペットボトルや缶の飲み残しもコバエの発生源になるので、飲み終わった後は水ですすいでおきましょう。
観葉植物やペットのフンにも注意
キッチンや水まわりだけでなく、植木鉢やプランターなどにも注意が必要です。キノコバエのように観葉植物の培養土を発生源とするコバエもいますし、鉢皿にたまった水が発生源になることがあるからです。花瓶の水などもこまめに取り換えましょう。また、ペットのフンも早めに取り除き、においが残らないようにしておきましょう。
まとめ
うっとうしいコバエを寄せ付けないようにするには、日頃から水まわりを清潔に保ち、コバエの発生源になる生ゴミなどを放置しないことが大切です。コバエは早めに対策を講じないと大量発生してしまうので、数匹見つけた時点ですぐに対処しましょう。