ウォークインクローゼットで衣替えをしていたら、服にカビが出ていたというケースがあります。状況によっては、ウォークインクローゼットの壁にカビが生えてしまう場合もあります。
カビの原因は、ウォークインクローゼット内にたまっている湿気です。この記事では、ウォークインクローゼット内でのカビを防ぐための湿気対策について解説します。
ウォークインクローゼットに湿気がたまりやすい理由
ウォークインクローゼットには湿気がたまりやすい傾向があります。カビを防ぐには、湿気がたまる理由を把握しておくことが大切です。
ここでは、なぜウォークインクローゼットに湿気がたまりやすいかについて解説します。
衣類の繊維に湿気を吸い込む性質がある
基本的に、衣類の繊維には水分や湿気を吸い込む性質があります。これは吸水性や吸湿性などと呼ばれており、人が汗をかいても衣類が水分を吸い取ってくれる機能です。クローゼットには大量の衣類をまとめて収納しているため、常に水分や湿気をため込みやすい状態です。洗濯後に干してしっかり乾いたように見えても、繊維の種類によっては水分や湿気が残っている可能性もあります。
空気の出入りがなくよどむ
ウォークインクローゼットはほかの部屋と比べて狭い空間であり、空気の出入りも少なくなっています。ドアが一つしかなく、窓も付いていないウォークインクローゼットがほとんどです。そのため、空気が停滞してよどみがちになります。湿気が増えても外に出ていきにくく、ウォークインクローゼット内にたまってしまいます。
建物の北側にあることが多い
間取りを決めるときは、家族が過ごすリビングを日当たりのいい南側に配置するケースが多いです。一方、ウォークインクローゼットは衣類を収納するだけの場所なので、日当たりを重視する必要はありません。そのため、ウォークインクローゼットは北側に配置される場合が多いです。北側の壁は日当たりが悪くて冷えやすいため、室内の温かい空気との温度差によりカビの温床である結露が発生しやすくなります。
ウォークインクローゼットにカビが出てしまったら
ウォークインクローゼットの湿気に気をつけていても、カビが出てしまうケースがあります。ここでは、その場合にできる対処法を解説します。
衣服のカビは
白カビが出たときは、ひとまずウォークインクローゼットの外に衣類を出して、カビを払い落としましょう。そのうえでエタノールで除菌し、さらに漂白剤で洗濯します。
黒カビが出たときは、お湯と漂白剤を入れた洗面器に衣類を浸け置きする必要があります。黒カビが落ちたらすすぎ、しっかり乾燥させましょう。衣類のカビを完全にきれいにできなかったときは、クリーニング店へ依頼してください。
壁のカビは
ウォークインクローゼットの壁にカビが出たときは、まず収納している衣類をすべて外に取り出します。そのうえで、カビが出ている箇所に直接エタノールを吹き付け、雑巾で丁寧に拭き取ります。
それでも黒カビが残っている場合は、お湯で薄めた塩素系漂白剤を付けて拭きましょう。ウォークインクローゼットの材質によっては塩素系漂白剤で傷む恐れもあるため、様子を見ながら使用する必要があります。
ウォークインクローゼットの湿気対策
ウォークインクローゼットの湿気は、ちょっとした工夫で対策できます。ここでは、コストをかけず簡単に取り入れられるウォークインクローゼットの湿気対策を紹介します。
こまめに扉を開ける
ウォークインクローゼットは必要なタイミングしか開けないため、基本的に閉めっぱなしになっています。湿気をためこまないためには、意識的に扉を開けて空気を循環させる機会をつくることが大切です。
最低でも1日に1回は、ウォークインクローゼットの扉を開けてしっかり換気しましょう。特に、晴れた日には1日中開けっ放しにしておくのがおすすめです。このようにすれば、湿気を含む空気を外に出すだけでなく、におい対策にもなります。
除湿剤を置く
ウォークインクローゼット内の湿気を防ぐには、塩化カルシウム製の除湿剤を置くのも効果的です。除湿剤は市販されていてさまざまなサイズがあるため、自宅のウォークインクローゼットに合わせて選べます。湿気は下にたまりやすいので、床の四隅に置くと湿気をしっかり吸収してくれます。
必要な数はウォークインクローゼットの広さにもよるため、除湿剤のパッケージの記載を確認しましょう。なお、水がたまったら忘れずに交換する必要があります。
サーキュレーターを回す
ウォークインクローゼットにたまった湿気を外に出すには、扉を開けてサーキュレーターで風を当てる方法もあります。サーキュレーターを回すと風の流れができるので、湿気を含む空気をしっかり追い出せます。サーキュレーターがない場合は扇風機でも代用可能です。
30分程度使用すれば、湿気だけでなくカビの原因になるホコリも外に飛ばせます。目に見えるホコリが多くたまっているときは、あらかじめ掃除しておくといいでしょう。
除湿機をかける
特に湿気が気になる梅雨の時期は、ウォークインクローゼット内で除湿機をかけるのも一つの方法です。その場合、衣類乾燥機能が付いている除湿機を選びましょう。湿気がひどくても、短時間でしっかり効果を発揮できます。
ただし、除湿機を使用するためには電源コンセントが必要です。ウォークインクローゼット内には電源コンセントがない場合が多いため、ほかの部屋から電源を確保しましょう。
根本的な湿気対策
注文住宅の新築時やリフォーム時であれば、根本的な湿気対策を取り入れられます。ここでは、ウォークインクローゼットの湿気を防ぐために取り入れたい根本的な湿気対策を紹介します。
壁に窓を付ける
ウォークインクローゼットの換気をしやすくするためには、壁に窓を付けるのもおすすめです。晴れた日に窓を開けておけば簡単に換気でき、効果的に湿気対策ができます。
ただし、ウォークインクローゼットに窓が付いていると、直射日光が入り衣類が日焼けする可能性もあります。また、寒暖差により窓・サッシに結露が生じてカビにつながるリスクもあるため要注意です。衣類に日が当たらないような収納方法を選んだり、二重サッシを採用したりする必要があります。
なお、窓は基本には外壁に設置しますが、近隣からの視線を考慮して室内壁に設置するのも一つの方法です。
換気扇を付ける
ウォークインクローゼットに湿気をため込まないためには、こまめな換気が大切です。そのためには、あらかじめウォークインクローゼットに換気扇を付けておく方法があります。小型の換気扇でも、定期的に回せばしっかり換気できます。扉を開けっ放しにしたり、わざわざサーキュレーターを回したりする必要もないため、換気扇があると便利です。
壁、ドアにガラリを付ける
ガラリとは、複数枚の羽根板をブラインド状に取り付けたものです。主にドアや壁に取り付け、換気口として機能します。ウォークインクローゼットのドアや壁にガラリを付けておけば通気性が高まるため、湿気対策として有効です。
ガラリを開いても内部の様子は見えません。隣家との関係で窓の設置をためらう場合でも、ガラリなら気にする必要はありません。
調湿作用のある建材にする
湿気対策としては、ウォークインクローゼットに調湿作用のある建材を使用するのもおすすめです。たとえば、桐などの無垢材、珪藻土の塗り壁、セラミックタイルを壁の建材として採用すると、ウォークインクローゼット内の湿度を適切に保ちやすくなります。通常のクロス貼りと比較すると費用は高めになりますが、長く使用し続けることを考えて取り入れる人も多いようです。調湿作用のある建材は、予算を考慮しながら導入を検討しましょう。
まとめ
ウォークインクローゼットには湿気がたまりやすい条件がそろっています。何も対策していないと、ウォークインクローゼットにはカビが出やすいため要注意です。大切な衣服がカビてしまったらとても悲しい気持ちになります。そうならないよう湿気対策をきちんと取り入れ、ウォークインクローゼットの環境を適切に保ちましょう。