登記簿謄本は、新たに不動産を取得したり、相続などで不動産名義が変更になったりしたときに必要です。
この書類の取得方法はいくつかありますが、おすすめなのは手数料が安くて簡単なオンライン申請です。
こちらでは登記簿謄本の取得方法や必要なシーン、種類の違いについて説明しています。
取得を考えている人はぜひ役立てください。
登記簿謄本を取得する方法
登記簿謄本の申請先は登記情報を管理する法務局です。
現在はオンライン化されているため管轄外の法務局に申請しても対応してくれます。
登記簿謄本の取得方法には、「オンライン」「窓口」「郵送」の3つがあります。
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オンライン |
窓口 |
郵送 |
手数料 |
480円/500円 |
600円 |
600円+切手封筒代 |
申請時間 |
平日8:30~21:00 |
平日8:30~17:15 |
平日8:30~17:15(電話の問い合わせ時間) |
受け取り方法 |
窓口/郵送 |
窓口 |
郵送 |
上記の表をみればわかる通り、オンライン申請のほうが手数料・申請時間ともにメリットがあります。
法務局のWEBサイトから申請して、受け取りは窓口か郵送かを選べます。手数料は窓口のほうが少しだけ安いです。
参照:法務局「登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です」
オンラインで申請する
オンライン申請の手順は大きく3ステップ。
「申請者情報登録」(初回のみ)→「請求書の作成・送信」→「手数料の納付」です。細かい手順も下記に記しますので参考にしてください。
1. 法務局「登記・供託オンライン申請システム」にアクセス
2. 申請者情報登録
3. 「かんたん証明書請求」にログイン
4. 「証明書請求メニュー」から「不動産」を選択・必要事項の入力
5. 「窓口」「郵送」のいずれかを選択
6. 納付情報の発行
7. 手数料の納付(電子納付OK)
はじめて申請する場合、オンライン申請システムを利用できるパソコン環境の確認と、申請者情報の登録が必須です。
2回目以降の申請はこのステップを省略して請求書の作成からはじめられます。
請求手続きの完了後、最寄りの窓口受け取りなら当日中に(申請時間による)、郵送であれば2~3営業日で登記簿謄本が届きます。
法務局窓口で申請する
法務局で窓口申請する方法には、「登記事項証明書交付請求書」を提出するか、窓口に設置された「証明書発行請求機」で登記事項証明書等交付申請書を作成・提出するかの2通りがあります。
請求機を置いていない登記所もあるので、その場合は窓口備え付けもしくは公式サイトからプリントアウトできる登記事項証明書交付請求書に必要事項を記入して提出することになります。
次に示す手順は、窓口の証明書発行請求機を使って請求する方法です。
法務局へ出向く前に、対象不動産の番号を調べておきましょう。土地であれば地番、家屋であれば家屋番号です。
この番号がわからないと、証明書の発行が難しくなります。
1. 地番・もしくは家屋番号を調べる
2. 法務局に出向き、証明書発行請求機を使って手続き
3. 収入印紙を貼り、証明書を窓口に提出
地番・家屋番号を調べる方法としては、管轄法務局の「ブルーマップ」を使うか、固定資産税の課税明細書で確認するか、あるいは電話で直接問い合わせる方法などがあります。
登記簿謄本の取得にあたり、印鑑や身分証明書、委任状などは必要ありません。
登記情報は一般公開されているもので、原則、誰でも閲覧可能だからです。
忘れずに準備しておくことは、不動産の番号を調べることくらいです。
参照:盛岡地方法務局「土地・建物の登記事項証明書」
郵送で取得する
郵送で取得する場合は、収入印紙・切手・返信用封筒などをそろえる必要があります。
1. 登記事項証明書交付請求書に必要事項を記入
2. 手数料の収入印紙、請求書、および切手を貼った返信用封筒を同封して登記所へ郵送
3. 登記所から指定の住所へ郵送
郵送申請の場合も、土地・建物の番号をあらかじめ特定しておくとスムーズに取得できます。
この場合の申請から登記簿謄本が手元に届くまでの時間は1~2日程度です。
参照:岐阜地方法務局「郵送で登記簿謄本を請求したいのですが?」
不動産取引に必要な登記簿謄本(とうきぼとうほん)とは?
登記簿謄本とは、不動産権利に関するあらゆる情報が書き込まれた公的記録のことです。
土地・建物の所在地から面積、所有者名や抵当権設定の記録まで、さまざまな情報を記載しています。
登記情報はだれでも閲覧が可能であり、所有権者や抵当権設定の有無もわかるため、不動産取引や相続のときに欠かせません。
登記とは
登記とは、所有権などの権利関係を公に知らしめる制度をいいます。
登記には「不動産登記」「相続登記」「法人登記」「商業登記」などいくつかの種類があります。
そのなかでも土地・建物の売買やマイホームの建築などのときに必要なのが不動産登記です。
土地・建物などの取引を円滑・公平に進めるために、不動産に関する情報はいつでも誰でも閲覧できるようになっています。
その不動産の持主が誰で、担保がついているかどうかもすぐにわかります。
不動産登記が必要なシーン
・不動産を購入したとき
・引っ越しや結婚など、所有権の名義人の氏名・住所変更が行われたとき
・住宅ローンを完済して抵当権が抹消されたとき
・不動産の所有者が亡くなって権利が移転したとき
・建物を取り壊したとき
参照:法務局「不動産登記申請手続」
また、不動産登記簿謄本には下記の不動産登記情報が記載されおり、誰もが閲覧できる公開情報となっています。
・ 建物表題登記
建物の所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積など
・ 所有権保存登記
所有者(順位番号)、登記の目的・受付年月日・受付番号・権利者その他の事項
・ 抵当権抹消登記
抵当権の抹消情報
・ 住所・氏名の変更登記
所有不動産の変更後の氏名・住所
登記簿謄本はどんなときに必要?
不動産売買や相続、結婚に伴う姓の変更など、さまざまなシーンで登記簿謄本が必要です。
・不動産の売買時
・不動産の相続時
・住所変更や結婚などで姓が変更になったとき
・住宅ローンの融資を受けるときや完済したとき
・建物の取り壊しを行ったとき
・登録免許税の減税申請時など
不動産登記はさまざまなタイミングで必要ですが、この中で登記の期限が設けられているのが、不動産売買時に必要な建物表題登記です。
新しく家を購入した場合と未登記の建物を購入した場合に必要な登記で、それぞれ建物の完成後と所有権を取得した日から1ヶ月以内に申請しなければなりません。
このルールを破ると十万円以下の過料を科されることがあります。
所有権移転登記や抵当権抹消登記、相続登記に期限はありません。
ただし、最初に登記をした者が所有権を第三者に主張できるとするのが登記制度の趣旨です。
第三者に所有権が移転してしまう可能性もあるため、早めの登記手続きが望まれます。
登記簿謄本と登記事項証明書の違い
法務局のWEBサイトを見ると、不動産登記の情報を閲覧できるのは「登記事項証明書」とされています。
登記簿謄本と何が違うのでしょうか?
実は、この二つに違いはないのです。情報管理のオンライン化にともない、WEB上で登記情報を管理するようになって登記簿謄本の名称が変更。
その新しい名称が登記事項証明書というわけです。そのため法務局が説明する登記事項証明書とはそのまま登記簿謄本を意味します。
とはいえ昔の名残りで登記簿謄本という名称が現在も使われています。繰り返しますが、正式名称は登記事項証明書です。
この記事でも登記簿謄本という名称を用いていますが、これに関する情報はすべて登記事項証明書に通じると思ってください。
閲覧だけなら登記事項要約書
登記事項要約書とは、主に現時点で効力のある事項のみが記載されている登記情報です。閲覧だけであれば、この要約書で目的を達せられます。
登記事項要約書には次のような内容が記載されています。
・所在、地番、地目、地積、家屋番号、床面積など不動産の表示に関する情報
・現在の所有者の住所、氏名、申請書受付の年月日など
・現在効力を有する主な登記事項
登記事項要約書を閲覧するには申請が必要であり、下記のものを用意してください。
・登記事項要約書交付申請書
・手数料
・取得したい不動産の情報
法務局の登記事項要約書交付書は、下記のページよりPDFをダウンロードすれば取得できます。
書類ダウンロード:法務局「登記事項要約書交付閲覧申請書」
登記簿謄本の種類
一口に登記簿謄本といっても、さまざまな種類があります。種類によって情報の内容が異なるため、目的に応じてふさわしい種類を選びましょう。
・全部事項証明書
・現在事項証明書
・一部事項証明書
・閉鎖事項証明書
全部事項証明書
全部事項証明書は、不動産登記簿の記録内容すべてを記載した証明書です。
権利関係を証明する情報はもちろん、過去の履歴(所有権の移転記録、抵当権の設定・抹消)までが記載されています。
むかし登記簿謄本と呼んでいた登記書類がこの全部事項証明書にあたります。
不動産に関する情報をくわしく知りたい場合は、全部事項証明書の取得が便利です。
住宅ローン審査で金融機関に提出する必要がある場合は、全部事項証明書を準備したほうがよいでしょう。
どの書類を取得すればわからない場合も、とりあえず全部事項証明書を取得しておけば間違いないでしょう。
現在事項証明書
現在事項証明書は、現在効力のある情報が記載された登記簿謄本です。全部事項証明書と異なり、過去にさかのぼった情報は確認できません。
発行日と登記所の認証は印刷されるので、証明書としての効力は発揮します。
過去の履歴は知る必要なく、現在の内容のみを確認したい場合は現在事項証明書で十分です。
ただし、全部事項証明書も現在事項証明書も手数料は同じ600円かかります。
一部事項証明書
一部事項証明書は、権利関係の一部を明示した証明書類です。
この書類は、大規模マンションのような所有者が複数いて、権利関係が複雑な不動産の権利証明を確認したい場合によく選ばれます。
所有者が複数いるマンションの登記情報を確認するときに全部事項証明書を取得しようとなれば、その量は膨大となり見分けるのも大変です。
そのため、マンションでも特別な区画の特定の名義人の登記情報のみでよい場合は、一部事項証明書の取得がおすすめです。
閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書は、閉鎖された土地や滅失した建物の登記記録を記載した書類です。
つまり、現在存在していない不動産の情報が記録されたものであり、今後追加や変更されることもない情報です。
これらは全部事項証明書には記載されません。すでに失われた不動産の登記情報を取得したい場合はこの閉鎖事項証明書を活用することになります。
閉鎖事項証明書はむかしの手書きされた登記簿謄本の状態で提出されます。
データ化されていないため、管轄の法務局以外での取得はできません。
登記簿謄本の見方
登記簿謄本は、基本的に「表題部」「権利部(甲区)」「権利部(乙区)」「共同担保目録」の4部構成です。
画像引用:不動産登記のABC|法務省
1. 表題部
2. 権利部(甲区)
3. 権利部(乙区)
4. 共同担保目録
不動産登記は最初に「表題部」が登記され、そのあと「権利部(甲)」「権利部(乙区)」の順に従って登記されるため、この構成になっています。
表題部
表題部は登記簿謄本の最上段に記載される登記情報です。不動産番号や所在地、登記の日付、土地であれば地番、建物であれば家屋番号が記載されています。
床面積や構造など建物の詳しい情報が確認できるのもこの表題部です。
権利部(甲区)
権利部(甲区)で記載されるのは、所有権に関する内容です。現在の不動産の持主は誰なのか、その前は誰の手にあったのかがわかるようになっています。
そのほか、「順位番号」「登記の目的」「受付年月日・受付番号」「権利者その他の事項」が記載されています。
「権利者その他の事項」にはこの不動産が誰から誰の手に移ったのかが記載されるため、登記の原因を確認できます。
権利部(乙区)
権利部(乙区)には、抵当権設定登記に関する情報などが確認できます。
甲区が所有権に関する登記内容なら、乙区は抵当権など所有権以外の権利内容を公示する部分です。
抵当権が設定されていれば「登記の目的」欄にそれが記載され、その登記の年月日は受付年月日で確認できます
。登記の原因や債権額、債務者や抵当権者の情報は、「権利者その他の事項」に記載されます。
共同担保目録
共同担保目録には、担保不動産に関する情報が記載されます。抵当権設定登記の権利部(乙区)とセットで見る登記情報です。
「記名及び番号」は共同担保目録の記号と番号、「番号」は担保不動産の通し番号、「担保の目的である権利の表示」には、担保となった不動産の住所と地番、家屋番号が記載されています。
まとめ
不動産の取得や取引に欠かせない登記簿謄本。相続などで不動産の所有者名義が変わったり、結婚・引っ越しで不動産情報が変更になったりしたときも不動産の登記が必要になります。
何かの事情で登記簿謄本を取り寄せなければならないときは、オンライン申請による取得がおすすめです。
オンライン申請は窓口での申請より手数料が安く、郵送を選べば法務局へ足を運ばなくてすむなど多くのメリットがあります。