暖かい季節になると、ムカデを庭で見かけます。庭だけではなく、家の中で見かけることもあり、ゾッとしたことがある人もいるのではないでしょうか。ムカデは有毒なものも多いため、噛まれる前に対処しましょう。この記事ではムカデの種類と予防法、駆除方法について解説します。
※この記事では各種類のムカデを写真でも紹介しています。虫が苦手な方は閲覧にご注意ください
ムカデはどんな虫?
ムカデは漢字では「百足」と表記し、足がたくさんある生き物です。ただ、実際に足が100本あるわけではありません。昆虫のようなイメージですが、ムカデ類に属する節足動物です。肉食系の動物で、ゴキブリやクモ、コオロギ、ミミズを餌にしています。春から秋にかけて、特に産卵期である5月から6月にかけて多く発生します。
エサを求めてこれらの家に入る可能性もあるため、注意が必要です。体が薄いため、ほんのわずかな隙間からも侵入する可能性があります。壁を登れるため、2階以上のフロアでも油断は禁物です。
暖かくジメジメとした暗い場所を好み、土の中、落ち葉の下、石垣の隙間などに入り込んでいます。
日本では約130種類が確認されており、噛まれると強い痛みと腫れが出ます。うかつに触れると噛まれるため、触れないようにしてください。
ムカデによる害
ムカデは見た目に不快感があるだけではなく、噛みつきによる被害があります。ムカデには毒があり、人体にも悪影響です、噛みつかれると強い痛みがあります。噛まれた部位が腫れ、発熱もします。これらの症状は約8時間ほど続きます。
体質によっては、アナフィラキシーショックと呼ばれる急激なアレルギー反応を引き起こす可能性もあります。
ムカデに噛まれた直後であれば43度から46度以上のお湯でしばらく洗い流し続けてください。43度以上のお湯でムカデの毒は和らぎます。ただし、熱すぎると火傷する可能性があるため、注意が必要です。
対処として、してはいけないことは患部を冷やすこと、43度以下で温めること、口で吸い出そうとすることです。患部を冷やしたり43度以下で温めたりすると痛みが強まります。口で吸い出すと、口が腫れる原因になるため、避けましょう。
子どもやアナフィラキシーが心配な人が噛まれた場合、腫れがひかない場合、対処が難しい場合は念のため病院に行くようにしましょう。
家に出てくるムカデ4種
ムカデは日本では130種類以上いますが、住宅で一般的に見かけることが多いムカデは限られています。ここでは、家で見かけることが多いムカデを4種類紹介します。
トビズムカデ
トビズムカデは、体長は8~15cmほどで、日本最大のムカデです。オオムカデとも呼ばれ、東北以南に生息しています。特に夏ごろは活動が活発化し、被害が増えやすいです。暖かい地方の場合、冬眠せず、年中活動する場合もあります。
赤い頭に、胴体は黒光り、黄色や朱色系の足が特徴です。肉食で、ゴキブリやバッタなどの昆虫や、小動物を主食としています。
そのため、トビズムカデはゴキブリなどのエサを求めて侵入します。体が平らなため、床下や壁を伝ってわずかな隙間から侵入可能です。
噛まれると、強い痛みや腫れを引き起こします。主成分はヒスタミンやセロトニンで、蜂の毒に似た成分です。
アオズムカデ
アオズムカデはトビズムカデより少し小さいムカデです。体長8~10cm、頭は胴体、背面と同じように暗青色。ブラックタイガーのような色をしています。足は21対あり、黄色やオレンジ、個体によって青色のものもあります。
日本にいるムカデのなかでは特に毒性が強いムカデです。噛まれると激痛が走り、嘔吐などの症状が出ることもあります。ムカデのなかでも色合いが特徴的なため、判断しやすいでしょう。
アカズムカデ
アカズムカデは本州・四国・九州に生息するムカデです。体長6~8cmと小さいムカデですが毒性は強く油断はできません。胴体は黒く頭部と足は濃い赤色をしており、足は23対あります。ムカデのなかでも5~7年程度生きるムカデで、長生きする種類です。暗く湿った場所を好み家の中でも見かけることがあります。
ムカデのなかでも、強い毒を持ち、全身に回ると嘔吐や発熱、リンパ管炎、潰瘍などを起こす可能性もあります。見た目の色合いがトビズムカデと似ているため、間違いやすいです。冬場は冬眠し、春から秋にかけて活動が活発化します。
セスジアカムカデ
セスジアカムカデは北海道から沖縄まで広く生息しているムカデです。体長5~8cm程度、胴体や頭は赤褐色で、21対ある黄色の足が特徴です。体の裏に薄い筋があることからこの名前がつけられました。
ムカデのなかでも毒性は低く、痛みはありますが、症状が出ることはあまりありません。夜行性で、3年ほど生きます。暗く湿った場所を好みます。そのため、他のムカデと比較すると危険度は高くありません。
これで安心! ムカデ対策
ムカデは噛まれると強い痛みを引き起こすものも多いです。無理に駆除しようとすると噛まれる恐れがあるため、正しい対処方法を知っておきましょう。ムカデの種類を問わず、対処できます。
ムカデを寄せ付けない方法
ムカデは夜行性で湿った場所を好みます。床下に湿気がこもると、侵入しやすいため、湿気対策をしましょう。また、ゴキブリをエサにするため、ゴキブリが繁殖しにくいよう、食べかすや生ゴミを長時間放置することは避け、ゴキブリ対策をすることも効果的です。
ムカデは体が細く、数ミリ程度の隙間から入り込むため、侵入できそうな隙間に隙間テープをして塞ぐことも効果的です。エアコンのダクトまわりや、窓のサッシは確認しておきましょう。
侵入しそうな窓や家の周辺にムカデの忌避剤を撒いておくことも効果的です。家の外部は雑草や植木鉢をそのままの状態にしていると、ムカデが発生しやすいため、こまめな掃除をしましょう。
見つけたムカデの駆除方法
ムカデを見つけた場合、殺虫剤をかけるか、熱湯をかけるのがおすすめです。殺虫剤がない場合は、凍らせるスプレーでも代用できます。殺虫剤・熱湯がすぐに準備できなければ、ドライヤーの温風なども試してみましょう。ムカデは体が50度以上になると、体のタンパク質が固まり動けなくなります。
ムカデは触れるものに反応して噛みつくため、素手で触れないようにしましょう。また、服や布団のなかに入ってしまった場合は、できるだけ落ち着いて離れましょう。ムカデは触角で判断しているため、動くものに対して噛みつきます。
まとめ
ムカデは足がたくさんあり、見た目に不快なだけではなく、噛まれると強い痛みや腫れをもたらします。もし噛まれてしまった場合は、43度以上のお湯で流すようにするか、病院で診てもらうようにしましょう。
春以降は多くの場所でムカデが発生する季節になりますが、最近では殺虫剤やムカデを寄せ付けない忌避剤も販売されているため、活用するのがおすすめです。