リモートワークが浸透してきていますが、「家の中には仕事するのに適した場所がない」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。家族の生活音で気が散ってしまう、オンライン会議で見えても恥ずかしくない背景を求めて家中を移動するといった経験から、リモートワークという勤務形態を不都合だと感じている人もいるでしょう。
書斎を仕事場所にしているリモートワーク経験者は、わずか1割
株式会社ビズヒッツが、リモートワークの経験者を対象に「リモートワークをしている場所に関する意識調査」を実施。自宅のどこでリモートワークをしているか聞いたところ、回答者の半数以上にあたる264人が「リビング」と回答しました。
2位は「寝室・自室」で、ワンルームで生活・仕事をしている人も含みます。仕事専用の「仕事部屋・書斎」を使っている人も一定数いましたが、リビングや寝室に比べると、かなり少ない結果に。ほとんどの人が「普段生活している空間」を、ワークスペースとして使っていることがわかります。
また、「子ども部屋など、自分以外の部屋を使っている」という人もいました。子どもが学校にいる時間帯に、子ども部屋をワークスペースとして使っているのだろうと推測できます。
ワークスペースを確立している人はわずか4割
リモートワークをきっかけに自宅にワークスペースを作ったか質問したところ「作った」と回答した人は24.6%と少数派でした。「以前からワークスペースがあった」人の15.4%と合わせても、きちんとしたワークスペースで仕事をしている人は4割にとどまっていることがわかりました。
ワークスペースに満足している人は半数弱
現在のワークスペースに満足しているかを聞いたところ、「満足」が12.2%、「やや満足」が33.8%で、合わせて46%の人が「現在のワークスペースに満足している」という結果に。「不満」「やや不満」を合わせた44.8%をわずかに上回りました。
また、仕事をしている上位3ヶ所で満足度を比較すると、「仕事部屋・書斎」を使っている51人のうち44人が「満足」「やや満足」と答え、満足度は86.3%という結果に。寝室・自室やリビングで仕事している人たちと比べると、「仕事部屋・書斎」の満足度がいかに高いかがわかります。
理想とするワークスペースは「仕事専用のスペース」
最後に、理想とするワークスペースを聞くと1位が「仕事専用のスペース」であること、2位が「静か/適度な雑音がある」、3位が「快適な椅子と机がある」、4位が「一人になれる」でした。
詳しい回答を見ていくと
【1位 仕事専用のスペース】
・ベッドなどのくつろぐグッズが置いていない、リモートワークだけのためのスペース(20代女性)
・必要なものをそのままの形で置いておける場所。今は、食事をする度に片付けないといけなくて、急に仕事の確認をしたくてもできない(30代女性)
・1人暮らしの狭い住まいでも、仕事とプライベートのスペースがちゃんと分けられることが理想(50代女性)
仕事専用で、仕事に関係のない「生活感のあるもの」「気が散るもの」が目に入らないスペースを理想として挙げる人が多くなりました。「近くにテレビや漫画があると、つい見たくなってしまう」など、在宅ならではの誘惑を断ち切りたいという思いがあるようです。また、仕事専用のスペースであれば、「家族が帰ってくるたび」「食事のたび」にいちいちパソコンや書類を片付ける手間がないことも大きいようです。
【2位 静か/適度な雑音がある】
・オンライン会議なども行いやすいように、外の音をあまり拾わないようなスペースが理想(20代女性)
・自然の音のみが聞こえる空間(30代女性)
・静かで集中出来て、電話で取引先と話すのも邪魔されない環境が理想です(50代男性)
音についての意見も多く寄せられ、集中するために「静か」あるいは「適度な雑音がある」環境を求める人が多いとわかりました。作業中だけではなく、「オンライン会議や電話のときに、周りの声が気にならない環境が欲しい」という回答もありました。
【3位 快適な椅子と机がある】
・今は座椅子だけど、できたらデスクとチェアが欲しい(20代女性)
・椅子の座り心地が悪いので、長時間座って疲れない椅子があると良い(40代女性)
ソファやダイニングチェア、座椅子などで長時間仕事をすると、腰や背中が痛くなってしまうことも。机に関しても、家にもともとあるテーブルなどをデスク代わりにすると、広さが足りないこともしばしばです。「パソコンを使うのに適した椅子と机が欲しい」「オフィスと同レベルのものが欲しい」という希望が多数でした。
【4位 一人になれる】
・こどもに邪魔されないスペース(20代女性)
・一人で仕事に集中できる空間(30代女性)
・話し声等が家族に聞かれない個室が欲しい。特にTV会議の時、家族の動きが気になって仕方がない(50代男性)
仕事中に家族から声をかけられると、集中力が切れてしまいます。いったん集中が途切れると、なかなかもとに戻れないことも多いため、「一人になって、集中できる環境が欲しい」「個室が欲しい」という意見が多数寄せられました。一方で、仕事の邪魔はされたくないけれど「家族の存在は感じていたい」という意見もありました。
【5位 適度な広さと収納がある】
・広くて落ち着く場所(20代女性)
・パソコンデスクと椅子が置けるだけの押し入れ程度のサイズの個室が理想です(30代女性)
・色々な書類などがおける棚がそばにあることが望ましい(40代女性)
ワークスペースに求める広さは、人それぞれ。「押し入れサイズ」「2~3帖程度」の必要なものにすぐ手が届く広さを理想とする人もいれば、「6帖くらい」「広いスペース」が希望の人もいました。また、「書類や道具を収納できる棚が欲しい」という回答も多く寄せられました。紙資料を使って仕事をしている場合は、専用の収納スペースがないと保管場所に困ることが想像できます。
まとめ
今回の調査結果により、リモートワークを経験しても「リビング」「寝室・自室」などの生活スペースで仕事をしている人が多い実態と、本当は「仕事専用のスペース」でONとOFFの区別を付けながら仕事をしたい人が多く、実際の満足度も高いことが分かりました。
まだ、仕事専用のスペースがない人は、仕事効率や気持ちの切り替えのために、専用の場所を確保してみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
「リモートワークをしている場所に関する意識調査」
調査対象:リモートワークの経験がある全国の男女500名(女性301人/男性199人)
調査方法:インターネットによる任意回答
実施期間:2021年2月13日~2月14日
実施機関:株式会社ビズヒッツ