失敗例から考えるアイランドキッチン オシャレなキッチンライフを実現したい方に

海外ドラマに登場するような、おしゃれな雰囲気があるアイランドキッチンに憧れている人は少なくないでしょう。しかし、実際にアイランドキッチンを採用した人からは「失敗した」という声も聞きます。アイランドキッチンで後悔しないためのポイントを紹介します。

アイランドキッチンとは

そもそもアイランドキッチンとは、どのようなキッチンなのでしょうか。キッチンには壁付け型と、対面型の2つのタイプがあります。壁付け型は、調理スペースやシンクが壁に向いて設置されたキッチンのことです。壁付けなので、収納棚などを設置しやすいものの、リビングに背を向けて作業をすることになるため、リビングの様子が見にくくなります。以前はキッチンといえば壁付け型が主流でしたが、最近はリビングを向いて作業ができる対面型に人気が集まっています。

対面型にも、アイランド型、ペニンシュラ型、セパレート型、I型、L型などさまざまなタイプがあります。対面型で人気を二分するのがアイランド型とペニンシュラ型です。アイランド型は英語で島を表すアイランド(Island)の名の通り、壁に接することなくキッチン自体が独立した形状です。これに対し、ペニンシュラ(半島)型は、左右の一方が壁に接し、半島のような形状をしています。

アイランドキッチンでよくある失敗例

アイランドキッチンは、開放感のあるおしゃれなキッチンというイメージがあり、新築やリフォームの際に導入を検討している人もいるでしょう。しかし、導入してみたものの、思いのほか使い勝手が良くないなど、後悔する声も少なくないようです。アイランドキッチンの失敗例や魅力について紹介します。

間取りが制約された
アイランドキッチンは、独立型のキッチンという特徴から、四方に通路用のスペースが必要です。このため、従来の壁付け型キッチンに比べて場所を取り、LDKに導入する場合は、かなりの面積を占めることになります。新築の場合であれば、アイランドキッチンを前提にLDKにある程度の広さを確保し、他の部屋の間取りを調整することも可能です。しかし、キッチンのみをリフォームする場合は、LDKの広さによっては窮屈な印象になる可能性があります。

価格が高くついた

アイランドキッチンは高価になりがち

アイランドキッチンの価格は、他のタイプに比べて高額になります。壁付け型は、壁に接しているため部材も少なくて済み、設置工事が比較的簡単です。しかし、アイランドキッチンの場合、換気扇はセンターフードと呼ばれる天井吊り下げ型の換気扇を使用することになり、大掛かりな設置工事が必要です。さらに、調理カウンターも大型になり、キッチンの四方すべてに化粧板が必要になるなど、部材と工程が増えるため価格が上がるのです。

「丸見え」になってしまった
アイランドキッチンはリビング・ダイニングの中でかなりのスペースを取り、存在感があります。常にリビング・ダイニングから丸見えの状態になるため、調理器具や食器、調味料などが散乱していると生活感が出てしまい、おしゃれな雰囲気とはほど遠い状態になります。食事の後の食器やシンクのゴミや汚れなども、目につくので気になります。

収納スペースが少なくて困った
アイランドキッチンは収納スペースが少ないというデメリットもあります。壁付け型などの場合は吊り戸棚があるので、手の届く範囲に食器や調味料、食材などを収納できます。調理しながら手を伸ばし、必要なものをすぐに取り出すことができて効率的です。収納スペースが限られるアイランドキッチンでは、手の届く範囲に必要なものを収納することが難しく、使い方によっては調理の効率が悪くなってしまいます。また、いちいち取りに行くのが面倒なあまり、食器や調理用具、調味料などがキッチンに置きっぱなしになりやすくなった、という声もあるようです。

匂いが広がる
アイランドキッチンは周りに壁がないために、調理中の湯気や匂いが部屋中に拡散しやすくなります。魚を焼いた匂いや揚げ物の油の匂いなどは、換気扇を回してもなかなか排出されません。また、キッチンはもともと水や油がはねやすい場所ですが、壁がないアイランドキッチンの場合はそれらが四方にはねるので、床が汚れやすくなります。

それでもアイランドキッチンにしたい!

以上のようにアイランドキッチンには、さまざまなデメリットがあります。イメージだけで選んでしまうと、後から後悔することになりかねません。同じ対面型には、アイランドキッチンの良さを一部残したペニンシュラ型もあります。アイランド型ほどスペースを取らず、キッチンが丸見えになることもないので使い勝手が良いキッチンです。

とはいえ、それでもアイランドキッチンにしたい、という人もいるでしょう。そこで、アイランドキッチンの魅力と上手に使いこなす方法などを紹介します。

アイランドキッチンの魅力
アイランドキッチンの最大の魅力は、その開放感です。これはほかのタイプのキッチンにはない魅力です。存在感もあるので、自然と人が集まりやすくなります。家族や友人などと一緒にキッチンを囲んで調理したり、調理しながらコミュニケーションが取りやすいことも魅力のひとつです。また、「見せるキッチン」を演出でき、スタイリッシュでおしゃれな雰囲気を楽しめます。アイランドキッチンの魅力を存分に引き出すためには、先の失敗例のような事態への対策を講じる必要があります。

部屋を減らしてキッチンに予算を集中
「間取りが制約された」「価格が高くついた」ことについては、何を優先すべきかを見極めることで解決策が見いだせるでしょう。一例として、子どもが小さいうちは子ども部屋を作らず、LDKを大きくしてアイランドキッチンという手もあります。小さい子どもは常に目の届く範囲にいると安心です。アイランドキッチンであれば、子どもの様子を見ながら作業ができますし、子どもとのコミュニケーションも取りやすくなります。子どもや家族と過ごす時間やコミュニケーションを優先したい、キッチンを家の中心にしたいと考えているのであれば、アイランドキッチンを選んで後悔することはないでしょう。価格が高いかどうかは、個人や家庭の価値観によるので、後悔のない選択をしたのであれば高く感じることはないはずです。

テキパキ片付けを習慣化

こまめな片付けが「見せるキッチン」には必要

「キッチンが『丸見え』になってしまった」ことへの対応は、常にきちんと片付けをしてキレイな状態をキープし続けることしかありません。片付けやすいように、調理器具を減らしたり、食器や調味料の収納方法を工夫したりしてみましょう。片付けは最初は面倒でも、習慣化してしまえばそれほど苦にならなくなります。毎日磨いて大事に使っていれば、愛着もわいてきます。「見せるキッチン」であるアイランドキッチンが素敵に見えるかどうかは使う人次第といえるでしょう。

パントリーを別に設ける
「収納スペースが少なくて困った」については、パントリー(食品庫)を別に作るという方法もあります。別途費用がかかりますが、そこがクリアできれば食器や食品をまとめて収納できます。また、床下収納という方法もあるので、家の間取りや事情に合わせて検討してみましょう。

キッチンディバイダーを設置して、換気を徹底

キッチンディバイダーで油はね防止

「匂いが広がる」ことを防ぐには、換気を徹底することです。換気といえば換気扇と思いがちですが、実は窓を閉め切った状態で換気扇を回しても空気が流れないため効率良く換気されません。匂いやべたつきの原因になる油煙(油を含んだ湯気)を素早く排出するには、窓を開けることです。窓を開けることで部屋の空気が流れ、換気扇による換気効率もアップします。

水はね、油はね対策としては、キッチンディバイダーを設置するという手もあります。キッチンディバイダーはコンロやシンクの前に設置する仕切り(ガード)のようなもので、これを付けることで油はねや水はねを防止できます。大きさや形状などはさまざまですが、アイランドキッチンに設置する場合は開放感や見た目に影響しにくい透明ガラスタイプを採用すると良いでしょう。

まとめ

利便性だけを考えると、アイランドキッチンの採用はなかなかハードルが高いように感じるかもしれません。しかし、対応策を講じることで開放感のあるおしゃれなキッチンライフは可能です。まずは、どんな暮らし方をしたいかをじっくり考えてみることをおすすめします。

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