地震をはじめ、台風や豪雨、豪雪など、災害はいつ起きるか分かりません。いざというときも自宅で、もしくは避難先で安心して過ごせるように、一人ひとりが防災意識を高め、日頃から備えを怠らないことが大切です。各家庭では、どのようなことに取り組めば良いのでしょうか。
子どものいる家庭でも46.3%が「防災食(非常食)を全く備えていない」
ミドリ安全.comが、家庭での防災への取り組みや防災食(非常食)の備えについての実態調査を実施。災害対策のための防災食(非常食)を自宅に備えているかを聞いたところ、「家族全員が3日以上対応できる量を備えている」と回答した人は12.9%、「家族全員が1~2日対応できる量を備えている」と回答した人は23.8%、「備えてはいるが、家族全員が1日以上対応することはできない」と回答した人が13%と、防災食(非常食)を少しでも備蓄している人は、合わせて49.7%ということが分かりました。
一方で「以前備えていたが、現在は備えていない」が12.8%、「防災食(非常食)を備えたことはない」が33.5%と、合わせて46.3%の家庭が自宅に防災食を全く備えていない現状が明らかになりました。
防災食を備えていない理由は「何を備えて良いか分からない」から
防災食(非常食)を自宅に備えていないと回答した人に、その理由を聞いたところ、最も多かったのが「何を備えてよいか分からない」で23%という結果でした。2018年・2020年の調査で最も多かった「備えたいがつい忘れてしまう」という回答は減少傾向となった一方、「保管スペースがない」人は増加傾向が見られました。
食べた分だけ買い足し備蓄する「ローリングストック」実施率は17.1%
防災食(非常食)を食べた分だけ買い足して、常に新しい食料を備蓄しておく備蓄方法「ローリングストック」を実施しているか聞いたところ、「知っており現在実施している」と回答した方は17.1%で、2020年の結果から2.8%の減少となりました。
6割以上の人が「ハザードマップを見たことがない」
居住エリアの避難所(防災拠点)を認識しているかを聞いたところ、「明確に知っている」と回答した人は全体の35.9%にとどまり、「なんとなく知っている」が最多の44.5%、「知らない」が19.6%という結果でした。
また国土交通省や自治体などが公開している、自然災害などによる災害リスクを地図化した「ハザードマップ」を実際に見たことがあるかどうかを聞いたところ、「すでに確認しておりリスクを知っている」と答えた人は全体のわずか37.9%で、6割以上の人が「ハザードマップを見たことがない」という実態も明らかになりました。
85.6%の家庭で「3密回避のための避難方法や持ち物」を把握せず
新型コロナウイルスの感染拡大は、災害時の避難行動にも影響を与えています。そこで、3密回避のための避難方法や避難所への持ち物などを、具体的に把握しているかを聞いたところ、「しっかりと把握できている」と回答した人は昨年より4.8%低い14.4%となりました。「あまり把握できていない」と回答した50.5%と、「全く把握できていない」と回答した35.1%を合わせると、85.6%の方が具体的に把握できていない実態も分かりました。
新型コロナ感染リスクに配慮した「分散避難」を知る人は1割弱
災害時に避難所などに人が密集すると新型コロナウイルスの感染リスクが高まることから、避難所以外の避難先として「親戚・知人宅」「ホテル」「在宅避難」「車中泊」など、様々な避難先に分散して避難することが推奨されています。こうした「分散避難」という避難方法を知っているか聞いたところ、「実施方法など内容まで知っている」と回答した方は9.5%にとどまり、「言葉だけ聞いたことがある」 が41.1%となり、 「聞いたことがない/知らない」という人がほぼ半数の49.4%に上りました。
65.6%の家庭で、緊急時にすぐ持ち出せる「防災バッグ」の備えなし
災害が発生し避難が必要になった際に、避難用の持ち出しバッグなどといった、すぐに持ち出せる避難グッズを用意しているかを聞いたところ、「十分に用意している」と回答した人は6.4%で、「ある程度用意している」と回答した人が28%と、合わせて34.4%の人が「用意している」と回答しました。一方で、「ほとんど用意していない」と回答した人は27.4%で、「全く用意していない」と回答した38.2%と合わせると65.6%と、半数以上の家庭で避難用の防災グッズが備蓄できていない実態が分かりました。
「マスク・除菌シート・アルコール」は半数以上が準備
避難用の防災グッズを少しでも用意していると回答した人に、防災グッズの中に新型コロナウイルスなどの感染対策グッズを用意しているかを聞いたところ、「マスク」を用意していると回答した人が最も多く73.7%で、「除菌シート」が60.9%、「アルコール消毒液」が58.3%と続きました。一方で半数以上の人が用意していなかったのが「ハンドソープ・石鹸」で41.1%、「体温計」が40.7%、「上履き・スリッパ」が40.3%、「パルスオキシメーター」が12.8%と続きました。
「水害対策」ができていない人は7割越え
近年、集中豪雨や台風などによる水害が増えてきています。そこで家庭での水害対策ができていると思うかを聞いたところ、「十分にできていると思う」と回答した人は7%にとどまりました。
「どちらかというとできていない」と回答した人が最も多く38.5%で、「全くできていないと思う」と回答した32.1%と合わせると、70.6%が家庭での水害対策ができていない実態が明らかになりました。
対策ができていない理由を聞いたところ、最も多かったのが「何をして良いか分からないから」で50.8%、次いで「居住エリアでは水害は発生しないと思うから」が25.1%、「なんとなく」が16.3%と続きました。
「停電対策」も、6割を超える人ができていないと回答
近年では集中豪雨や台風などの水害や地震などの影響により、停電が発生するケースも少なくありません。そこで家庭での停電対策ができていると思うかを聞いたところ、「十分にできていると思う」と回答した人は7.5%にとどまりました。
「どちらかというとできていない」と回答した人が最も多く40%で、「全くできていないと思う」と回答した26.4%と合わせると、66.4%の家庭で停電対策ができていない実態も明らかになりました。
対策ができていない理由を聞いたところ、最も多かったのが「何をして良いか分からないから」で56.7%、次いで「なんとなく」が21.8%、「お金をかけたくないから」が15.4%と続きました。
まとめ
今回の調査結果により、防災食(非常食)の備蓄や避難場所の把握、防災バッグの準備といった備えができていない家庭が多い状況が浮き彫りになりました。まだ、これらの防災対策を行っていない人は、いざというときに備えて準備を始めてみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
「2021年度 家庭の防災対策実態調査」
調査対象:子どもと同居している20歳から49歳までの全国の母親800名
調査方法:インターネットリサーチ
実施期間:2021年2月19日~2021年2月23日
実施機関:ミドリ安全株式会社