働き方改革で副業が解禁となった会社や、コロナ禍でフリマアプリを始めた人も含め、2020年は会社員でも本業以外で収益を上げた人も多いのではないでしょうか。もうけがあると心配になるのが税金のこと。副業で確定申告が必要なのはどんな場合かを解説します。
会社員でも20万円超の副業所得で確定申告が必要
確定申告とは毎年1月1日から12月31日までの所得と所得に対する所得税を計算し、源泉徴収等ですでに納めた税金との過不足を精算するために行う手続きです。年末調整で所得税額が確定し、納税まで完了する会社員は、医療費控除などの還付請求以外確定申告は縁がない、と思っている人もいるでしょう。しかし、会社員でも副業で20万円を超える所得があれば、確定申告をしなくてはなりません。
所得とは、売り上げから必要経費を差し引いた後の金額です。確定申告が必要な所得は以下のような計算式で表せます。
【売り上げ】-【必要経費】=【所得】>20万円
「そもそも経費って何?」と思ったら、国税庁のホームページ「副収入などがある方の確定申告」※から「副業に係る雑所得の金額の計算表」(図表)をダウンロードすると必要経費の「科目」が載っています。こちらを参考に売り上げからどのような費用(必要経費)を差し引けるのかを知っておきましょう。また、よくわからない、ということであれば税務署や税理士に確認しましょう。
参考サイト:国税庁「副収入などがある方の確定申告」
所得が20万円以下であっても、住宅ローン控除や医療費控除、ふるさと納税などで控除を受けるには、20万円以下の所得も含めて確定申告が必要になります。また、20万円以下の所得でも、住民税の申告は必要です。所得があれば、各自治体のホームページや窓口で必要書類と申告方法を確認して必ず住民税の申告をしましょう。
さらに、そもそも20万円以下の雑所得の申告が不要な人は、年末調整が終わっている会社員だけです。自営業者やフリーランスは20万円以下でも確定申告が必要です。
フリマアプリで収益が出たら確定申告は必要?
フリマアプリやインターネットオークションなどの個人間売買で得た所得も、基本的には20万円を超えたら雑所得として確定申告が必要です。
たとえば転売を目的として、30万円で購入したブランドバッグを35万円で売却し、送料が1,500円だとすると、48,500円が所得(35万円-30万円-1,500円=48,500円)になります。こうした売却を反復継続して所得が20万円を超えれば確定申告が必要です。
しかし、家にある洋服や家具など、生活に必要な「生活用動産」を売却した場合、所得税は課税されません。そのため、着なくなった服や使わない家具などを売却して所得が20万円を超えても確定申告は不要です。本やゲーム、CD、家電製品など家にある不要品を販売しても基本的には確定申告は不要です。ただし、30万円を超える美術品や貴金属を売却した場合は原則課税対象となります。
こう考えると「家にある不要品を捨てるのも忍びないのでフリマで売ってみよう」という程度であれば、確定申告の必要はなさそうです。
ただし、同じフリマアプリの利用でも、前述したように転売を目的に商品を仕入れ、毎日のように売却しているということであれば、営利目的となり、20万円を超えれば課税対象になります。
最近ではフリマ以外にも、空いているカーポートを時間貸しする軒先駐車場やアフィリエイトなどのネットビジネス、WEBライターなど、隙間時間や隙間の空間を利用したエコノミーシェアリングを副業とする人が増えています。どのようなビジネスでも、売り上げから経費を差し引いた所得が20万円を超えれば原則としては確定申告が必要です。
申告の期日が過ぎてしまったら?
2021年の確定申告の期間は緊急事態宣言の延長を受けて、2月16日から4月15日までと1ヶ月延長になっています。
では、この期間中に確定申告をしなかったらどうなるのでしょう?
もし、うっかり申告を忘れていた、ということであれば、気づいたときにできるだけ早く申告しましょう。申告期限を過ぎてからは「期限後申告」となり、原則としては「無申告加算税」が課されます。
無申告加算税は税務署から調査の通知を受ける前であれば、納税額の5%が加算されます。調査通知を受け取ってからは原則として納税額50万円までは15%、50万円超の部分は20%が加算されます。もし50万円の所得税を納税しないまま税務署の調査通知が来たら、7.5万円を余分に納税しなくてはなりません。
しかし、期限後申告となっても、いきなりペナルティがあるわけではありません。以下の(1)~(3)すべてを満たすと、無申告加算税は課されません。
(1)申告期限から1ヶ月以内に自主的に申告していること
(2)期限後申告を提出したその日に全額納税すること
(3)期限後申告の前日から5年前までの間に無申告加算税や重加算税を課されたことがなく、無申告加算税の不適用を受けていない場合
また、期限後申告になると納付日までの「延滞税」を合わせて納付しなくてはなりません。2021年1月1日から12月31日までの延滞税率は、納付期限の翌日から2ヶ月以内は年2.5%、2ヶ月を経過した日以降は年8.8%です。延滞税は日割りで計算されますので、納める期日が遅くなるほど納める金額が多くなります。
低金利の時代であっても、決して低い金利ではありませんね。余分な税金を納めないためにも、期限内に正しく納税しておきたいものです。
もし、納税義務があるのに所得を隠したり仮装するなど悪質な場合は、「重加算税」を課されることもあります。重加算税は納税額の40%、50%と上乗せされる場合もあります。うっかりが重なって所得隠しとならないよう、副業で利益があれば必ず確定申告を行いましょう。
まとめ
今回は、会社員が副業で確定申告が必要な場合について解説しました。
確定申告が必要かどうか自己判断できない場合は、早めに税務署に相談に行く、コールセンターで聞くなどして準備しましょう。うっかり申告を忘れてもうけが全部吹き飛んでは意味がありません。副業がある場合は売り上げと経費をこまめに記録し、利益があれば期限内に納税できるよう余裕を持って確定申告を行ってください。