在宅勤務のためのリフォームをした場合、いくつかの条件を満たすと最大100万円の補助金をもらえる可能性があります。新型コロナウイルスの影響で働き方が多様化し、自宅でテレワークをする人も増えてきました。しかし、スペースの確保が難しく、落ち着いて仕事ができないという人も多いのではないでしょうか。
補助金を活用すると、リフォーム費用を抑えつつ快適なテレワーク環境を作ることができますので前向きに検討したいですね。この記事では、検討中の在宅勤務用リフォームの補助金制度について詳しく解説していきます。在宅勤務のためのリフォームを考えている場合は、この制度の活用を検討してみましょう。
「在宅勤務用」にリフォームした場合、補助金が受けられる?
在宅勤務がしやすいように自宅をリフォームした場合、補助金をもらうことができるのでしょうか。働き方の多様化でコロナ後もテレワークが定着する可能性があります。そのため、自宅で落ち着いて仕事をするスペースがない場合は、補助金制度を活用してリフォームをすることも一つの方法です。それでは、在宅勤務用のリフォーム補助金制度や、リフォームの要件について詳しく解説していきます。
実施される予定の在宅勤務用リフォームの補助金制度
在宅勤務用リフォームの補助金制度は、2021年度に国土交通省が創設を目指している補助金制度です。これは、すでに行われている「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の一つとして追加される見込みとなっています。
既存の「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは、耐久性や耐震性、省エネ性などに優れた住宅にリフォームする場合は国が補助金を出しましょうという制度です。この補助金の対象者は長期優良住宅化リフォームの発注者です。「性能向上」「三世代同居」「子育て世帯向け」のいずれかのためのリフォームを行い、リフォーム後の住宅が耐震・耐久・省エネ性などの一定の性能基準を満たす場合に補助金を受け取ることができます。
また、補助金申請にはリフォーム工事前にインスペクション(有資格者による建物調査)やリフォーム履歴・維持保全計画の作成なども必須となっています。ただし、これらの費用は補助金の対象となっているため、実質コストはかかりません。
補助限度額はリフォーム工事実施後の住宅性能に応じて、100万~250万となっています。それに加え「三世代同居対応の改修をする場合」「若者・子育て世代が改修工事を行う場合」「既存住宅を購入し改修工事をする場合」は、一戸につき50万円を上限に加算されることとなっています。
補助金制度の対象となる住宅・リフォームの要件
在宅勤務用のリフォームの補助金について、国土交通省は「長期優良住宅化リフォーム推進事業の対象の中に、在宅勤務を付け加える」としています。
今までの「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、趣味嗜好のためのリフォーム、設備や機器の購入、交換は対象外となっていました。しかし、在宅勤務が対象となることにより、在宅勤務のための増築や間仕切りの設置、防音対策のための費用が補助の対象になると考えられています。
ただし、在宅勤務のためだけのリフォームは対象とならず、あくまでも「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の枠組みのなかに追加されることが検討されています。補助金の条件が長期優良住宅化リフォーム推進事業と同条件になるかどうかはまだ不明ですが、「審査が必要である」とされているため、工事前の現地調査や計画書の提出が必要となる可能性があります。
詳しい条件は今後決まると考えられますので、リフォーム前に補助金の条件をしっかりと確認するようにしましょう。
いくら補助が受けられる?
在宅勤務用のリフォーム補助では対象費用のうちの3分の1の補助が検討されており、上限は戸建て・マンションともに、建物1戸につき100万円となっています。つまり、300万円までのリフォームに補助金が支給されるということになります。
「長期優良住宅リフォーム推進事業」では条件によって100万~300万円の補助が受けられますが、在宅勤務用リフォームでは上限が100万円となっているため注意が必要です。
長期優良住宅リフォーム推進事業における補助金は、交付申請を行い、審査に通ると支給される仕組みです。申請の条件として、工事前のインスペクションや工事内容を示す図面や工事写真等の作成や保存が定められています。
インスペクション時に床や壁の傾き、シロアリ被害など日常生活に支障がある劣化事象があった場合、維持保全計画に対応方法や対応時期を明記したり、リフォーム工事と同時に補修したりする必要があります。
在宅勤務用のリフォーム補助に関しての条件はまだ決まっていませんが、同様の条件が課せられる可能性もあります。補助金の申請は施工業者を通して行う必要があるため、リフォームをするときには補助金制度を利用したいということを事前に伝えておきましょう。
在宅勤務の課題はリフォームで解決できる?
在宅勤務では、仕事のスペースを確保できなかったり、外からの騒音が気になったりして、なかなか集中できないこともあるでしょう。在宅勤務をスムーズに行うにはさまざまな課題がありますが、どのようなリフォームをすると問題をうまく解決できるのでしょうか。詳しく解説していきます。
間仕切りでデスクスペースを確保
在宅勤務をするうえで一番の課題となるのが、仕事をするためのスペースを確保することです。家族と一緒に生活している場合は自分1人のスペースを確保することが難しく、食卓で仕事をせざるを得ないという場合もあります。また、家族と同じスペースで仕事をすると家族の会話が相手に聞こえてしまい、打ち合わせや会議に集中できないという人も多くいます。
仕事に集中できるスペースが確保されていないと、仕事のパフォーマンスが下がったりストレスが増えたりするリスクがあります。このような場合、間仕切りを使ったリフォームをすると簡単にスペースを確保することができ、問題を解決することができるのでおすすめです。
仕事に集中できる空間を作りたい場合は、間仕切りやガラス戸、パーテーション、アコーディオンカーテン、ロールスクリーンなどを設置するとよいでしょう。可動式のものは簡単に開け閉めができるので便利です。また、間仕切りがあると、エアコン効率が上がり冷暖房費を下げられるというメリットもあります。
Web会議にも活用できる防音室リフォーム
自宅の一室を防音室にリフォームすれば、Web会議もストレスなく、スムーズに行うことができます。Web会議をするときに意外と気になるのが周囲の音です。家族の会話や外からの騒音などが相手に聞こえてしまって集中できないこともありますし、機密性が高い情報を家族に聞かれてしまうこともあります。特に機密情報は家族であっても知られてはならないため、テレワークで仕事を進めるときにはリスク管理をしっかりと行う必要があります。
自宅を防音室にリフォームすれば、周囲を気にすることなくWeb会議に集中することができます。また、家族と同居している場合、夕方以降は子どもが帰宅するためどうしても家のなかが騒がしくなります。このような場合でも、防音室があれば集中して仕事をすることができるのでおすすめです。
長期的な在宅勤務を見据えた増築リフォーム
コロナによって新しい働き方が広まりつつありますが、コロナが治った後もテレワークを継続していきたいと考える人や企業が増えています。このようなことから、補助金制度を活用し、長期的な在宅勤務を見据えた増築リフォームをすることも選択肢の一つです。
増築とは、既存の建物に部屋や建物を設置して、床面積を増やすことをいいます。現在の自宅に十分なスペースがない場合でも、増築をすれば仕事用の新たなスペースを確保することができ、集中できる環境を整えることができます。
特に、夫婦共働きで2人ともテレワークの場合は、増築して部屋を増やすことでお互いがストレスなく仕事できるようになるというメリットがあります。
夫婦共働きのテレワークについては、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:共働き夫婦の多くが「在宅勤務は想定外の事態」、ストレスなく働ける空間とは?
在宅勤務用リフォームの補助金申請を検討する際の注意点
在宅勤務用リフォームの補助金申請をするときには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。在宅勤務用リフォームの補助金は「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の一つとして設けられることが検討されています。
そのため、この制度の申請方法や注意点を理解しておくと、在宅勤務用リフォームの補助金を申請するときにも役立つと考えられます。それでは、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の申請方法や注意点について、詳しく説明していきます。
補助金の対象となる要件に注意する
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」にはいくつかの条件が定められており、それらすべてを満たさなければ補助金を申請することができません。
具体的な条件としては、「リフォーム工事前にインスペクション(建物の現況調査)を実施すること」「耐震や省エネなど、一定の住宅性能を有するようにリフォーム工事を実施すること」「リフォーム工事の履歴と維持保全計画を作成すること」の3点が挙げられます。
在宅勤務用リフォーム補助金制度が設けられた場合、「耐震や省エネ」が要件となるかどうかは不透明です。しかし、「工事前のインスペクション」が条件になった場合、リフォーム前に検査してもらうことが必須となり、工事をしてしまった後では条件を満たすことができなくなる恐れがあります。
指定された要件を満たさない場合は審査に通らず、補助金をもらえない可能性が高くなります。在宅勤務用のリフォームをする場合は、最初にしっかりと条件を確認するようにしましょう。
応募方法や期間などを確認する
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の補助金を申請するためにはいくつかの応募方法があります。確実に補助金をもらうためには、手続きの方法や申請期間を確認し、期間内に早めの手続きをすることが大切です。
申請では、リフォーム工事完了後1ヶ月以内に施工会社から「完了実績報告書」を提出してもらう必要があります。補助金に詳しい業者であればいろいろなアドバイスをもらうことができますし、手続きもスムーズに進むと考えられます。リフォームをするときには補助金を申請したいということをあらかじめ伝え、この制度に詳しい業者を選ぶとよいでしょう。
リフォーム費用の見積りをとる
在宅勤務用のリフォームに対する補助金には上限があり、100万円となる予定です。実際にかかった金額の3分の1までを補助金として受け取れることから、300万円までのリフォームに対して補助金がもらえるということになります。補助金で賄えない分は自己負担となるため、あらかじめリフォーム費用をしっかりと見積もっておくことが大切です。
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、インスペクション費用や書類作成の費用も補助されます。また、補助上限も細かく決められており、インスペクション費用の補助費用限度額は15万円、リフォーム計画書の作成費用の上限は6万円、建築士が作成する工事内容確認書作成費用の上限は6万円などとなっています。補助金はこれらの費用をすべて含めたうえでの「上限100万円」になりますので、リフォーム計画を立てるときには、これらの費用のことも念頭においておくようにしましょう。
まとめ
在宅勤務で不便を感じている人、集中して仕事をしたいという人は、在宅勤務に適したリフォームを検討してみましょう。補助金制度を活用すれば、費用の一部を軽減できる可能性があります。補助金の申請では、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」と同じように、さまざまな要件をクリアしなければならないと考えられます。補助金を活用してリフォームしたい場合は、まず手続き方法や申請期間、要件などをしっかりと確認し、早めに申請をするようにしましょう。