2021年2月の住宅ローン金利動向。【フラット35】金利は0.03%上昇

年明け早々に東京都などでは再び緊急事態宣言が出され、国内の経済は不透明な状況が続いています。一方海外ではアメリカで正式に新大統領が就任するなど、住宅ローン金利にも影響するような新たな経済の動きが出始めました。2021年2月の【フラット35】金利動向を見ていきたいと思います。

2021年2月の【フラット35】金利は前月から0.03%上昇

今月の全期間固定金利型住宅ローン【フラット35】(買取型)の金利は融資率9割以下、返済期間21~35年、機構団信を含めて1.32%。また融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.23%となり、いずれも1月から0.03%の上昇となりました。

ARUHI住宅ローンの実行金利一覧

建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHIフラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHIスーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。

物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6」(※団信込み)は1.12%。

物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7」(※団信込み)は1.17%。

物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8」(※団信込み)は1.22%。

物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット9」(※団信込み)は1.27%となっています。

さらに低金利の住宅ローンの状況は?

2020年10月以降から融資の実行が開始している以下の商品については以下の通りです。

物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット5」(※団信込み)は1.09%。

物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.14%。

物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHIスーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.19%。

物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHIスーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.24%となっています。

参考:最新の住宅ローン金利はこちら【ARUHIフラット35】

まとめ

最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。

2021年2月の機構債の表面利率が発表される前日の長期金利終値は0.04%と前月から0.03ポイント上がりました。機構債の表面利率も同じく0.03ポイント上がって0.36%となり、【フラット35】(買取型)の金利も0.03ポイント上昇しています。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※)からすると、住宅金融支援機構の調達金利が0.03ポイント上がったため、融資金利も同じ幅で上がったということになります。

アメリカ新大統領就任と2021年2月【フラット35】の金利動向の関係

2021年に入ってからは、1月6日の米上院選挙でバイデン大統領の民主党が過半数を獲得したことによって、民主党政権による大型の経済政策が実現するとの期待から株価と長期金利がさらに上昇しました。バイデン大統領の就任直前にはトランプ支持者による連邦議事堂襲撃というショッキングな事件がありましたが、金利への影響はありませんでした。日本の長期金利については、米長期金利の上昇を受けて0.03%台まで上昇してきました。

そして1月17日から19日にかけては、日本銀行が長期金利操作で金利の変動幅を広げる可能性があると一部で報道されたことを受けて債券の売りが先行し、一時は0.05%付近まで長期金利が上昇しました。しかし、日銀の政策変更については不透明感が強く、間もなく買い戻しが入り再び0.03%台に下がって推移しています。

ちょうど機構債の表面利率が決まる19日前後のタイミングで一時的に長期金利が高くなったことが機構債の表面利率に影響し、【フラット35】(買取型)の金利へも波及してしまった面があります。

【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(※)にあるように【フラット35】の金利は金融市場の長期金利をダイレクトに反映する傾向があります。今回のように、投資家の突発的な売り先行によって長期金利が上がってしまうと、住宅ローン金利も上がってしまうのです。今回の上昇は0.03ポイントと比較的軽微であったのはむしろ良かったと言えるかもしれません。

このコロナ禍にあっても株価はバブル経済期の歴史的な高水準で推移しています。今の株高が近い将来、長期金利に波及する可能性は否定できません。これから融資の実行と引き渡しを予定されている方は、複数の金利タイプ、金融機関で審査を通しておくことをお勧めします。

※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。

フラット35の仕組み
フラット35の仕組み

この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。

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