新型コロナウイルス問題の影響を受け、2020年は収入減となった人が多いでしょう。そんななかで迎える今年の確定申告は「少しでも節税したい」という気持ちが働きがちです。できるだけ全て経費に入れたいところですが、本来は計上できないものまで経費として申告してしまったり、金額が不自然だったりすると税務調査が入る可能性もあり、どこまでを経費とするか判断が難しいところです。
申請書を作成できるかどうか不安
株式会社ゼニスが、自宅で業務している個人事業主(副業を含む)を対象に、「確定申告時の節税についての調査」を実施。確定申告をする際、不安を感じたり面倒だと思ったりすることがあるか質問したところ、74.3%もの人が、不安や面倒があると回答しました。
具体的に不安な内容を聞くと、「申請書をきちんと作成できるか」が63.6%と最も多く、次いで「仕訳が間違っていないか、期ずれはないか」が49.8%、「時間が取れるか、期限に間に合うか」が44.3%、「うまく節税できているか」が36.1%と続きました。
抜け漏れなくしっかりと申請書を作成できるかどうか不安という方が多いようです。
また、年末年始をはさむ取引などの場合に発生しやすい「期ずれ」がないか不安という人も少なくないことが分かりました。では、具体的にどの勘定項目の計上に悩まされるのでしょうか?
経費計上で悩むのはどの勘定科目か聞くと、「消耗品費」が42.8%で最も多く、次いで「交際費」が42.3%、「通信費」が20.9%、「水道光熱費」が19.8%、「交通費」が19.5%と続きました。
非常に細かくなることも多い「消耗品費」や、業務と私用の線引きが曖昧になりがちな「交際費」に悩む方が多いようです。申告漏れや虚偽申告とならないよう、細心の注意を払う必要があるので、これらの勘定項目の計上に悩んでしまう気持ちも理解できますね。
業務に関係したものは全て経費に計上して節税対策?
確定申告で税理士などに依頼や相談をしているか聞いたところ、53.1%の人が「一度も税理士などに依頼や相談をしたことがない」と回答しました。税理士に相談したくても、相談費用などを懸念している人が多いのかもしれません。
また、確定申告で節税するなら何が重要か、上位3項目を挙げてもらったところ、
「業務に関係したものは全て経費にする」が77.7%と最も多く、次いで「自宅の光熱費や家賃などは案分して経費にする」が66.4%、「青色申告の承認を受ける」が58.7%、「消費税や固定資産税を経費に入れる」が28.6%、「保険や共済などに加入する」が28.4%、「少額減価償却資産などの特例を利用する」が23.9%、「ふるさと納税を活用する」が13%と続きました。業務で使用したものは明確に履歴を残し、全て経費として計上することが節税への第一歩のようです。
在宅業務でも事務所が欲しい理由は、ビジネス用の住所や固定電話の必要性
自宅の他に事務所を構えれば、ONとOFFを切り替えやすくなるでしょう。そこで、事業を行う中で、事務所を構えたいと思うか聞いたところ、「全く構えたいとは思わない」が39.5%と最多だったものの「非常に構えたい」が11.9%、「安いなど条件が良ければ構えたい」が24.4%と、4割近くの人が前向きな回答をしました。
事務所を構えたい理由を問うと、「ビジネスに使える住所や固定電話が欲しい」が35.5%と最も多く、次いで「会社や法人を設立したい」が34.1%、「会議やセミナー、来客用に使えるスペースが欲しい」が33.3%、「特商法に基づく表記に利用できるから」が17%、「引っ越し時に納税地を変更する手間が省ける」が15.8%と続きました。常に自宅の住所を晒すリスクを回避するためにも、ビジネス用の住所や固定電話が欲しい人が多そうですし、法人として事業を行いたい人や、会議室などのスペースを確保するために事務所を構えたい人も少なくないことが分かりました。
節税対策にはバーチャルオフィスが効果的!?
最後に、自宅業務の個人事業主におすすめの事務所を聞いたところ、
・登記可能なコワーキングスペース(30代/男性/茨城県)
・バーチャルオフィス(40代/女性/東京都)
・青色申告会(50代/男性/東京都)
・シェアオフィス(50代/男性/東京都)
複数でシェアできるバーチャルオフィスやコワーキングスペースに注目が集まりました。バーチャルオフィスのメリットを質問したところ、
「私用と業務で分けることで経費を明確にできる」が29.1%)と最多で、次いで「うまくやれば節税対策になる」が17.8%、「自宅以外に事務所を持つことでプライバシーが守られる」が13.6%、「バーチャルオフィスの電話やインターネット回線を使えば全て経費で落とせる」が10.2%、「地方に住んでいても都心登記の事務所が持てる」が6.4%、「スピーディーに法人化できる」が6.2%、「レンタル会議室や郵便転送など必要な時に利用できる」が5.4%と続きました。業務経費が明確化でき、節税に繋がるといったメリットが大きいようです。なぜバーチャルオフィスが節税に繋がるのかについては
・オフィス代を経費として計上できる(40代/女性/茨城県)
・実際にオフィスを構えるより目に見えない実費がかからず、経費削減できる(50代/男性/宮城県)
・固定費がかからない(50代/女性/東京都)
・イニシャルコストの削減(50代/女性/大阪府)
などの回答が寄せられました。
まとめ
確定申告の書類を作成するにあたり、経費をどこまで計上するかは悩みどころです。2020年は例年と比べて家で過ごす時間が増えた影響で、交際費や交通費が減り、水道光熱費などが増えた人が多いのではないでしょうか。確定申告に向けて必要経費の詳細を見直すとともに、漏れのない申告を心がけてくださいね。
【調査概要】
「確定申告時の節税についての調査」
調査対象: 全国20代~50代の男女(2019年度)1,087名(2020年度)1,016名
調査方法:インターネット調査
実施期間:2019年7月8日~10日、2020年7月1日~2日
実施機関:株式会社ゼニス