電気代が少ない都市はどこ? 住む場所で年間約8万円も差がつく理由

エアコンや洗濯乾燥機、電子レンジに食洗機…。便利な家電が増えた分、電気代が高額になって、毎月の請求書を見て一喜一憂している人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、総務省統計局が発表している家計調査から、地域別の電気代を調べてみました。二人以上世帯のうち、一年間の電気代が多い都市10都市、安い都市10都市をピックアップ。ほかの地域、ほかの家庭の電気代はいくらぐらいか気になる人はぜひ読み進めてくださいね。

電気代を多く払っている都市は?

電気代を最も多く払っているのは福井市

まずは、都道府県庁所在市と政令指定都市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)のうち、電気代を多く払っている都市をチェックしてみましょう。

出典:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング <2017年(平成29年)~2019年(令和元年)平均>」

上位には、北陸勢がずらり。寒冷地だけかと思えば、比較的温暖とされる中国四国地方からもランクインしています。なぜこれらの地域では電気代が高額なのでしょうか。

同統計の全国平均は年間12万7,606円。月額に換算すると、1位の福井市は月額3,600円以上、平均よりも電気代が高いことになります。早速、これらの地域の共通点を見ていきましょう。

電気代が高い理由には、気候や一世帯当たりの人数が影響していると推測できますが、大きな要因の一つとして「家の広さ」があると考えられます。

福井県、石川県は、ともに持ち家率が高く、家の平均面積も広いとされる地域です。家が広ければそれだけ冷暖房や照明に要するエネルギーは増加します。

そこで持ち家一戸当たりの居住室(部屋)の面積のデータに着目してみました。先ほどの表に持ち家一戸当たりの居住室の畳数を付け加えたのが以下の表です。

出典:「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」(総務省統計局)

持ち家一戸当たりの居住室の畳数の全国平均は32.74畳。電気代が高い5都市は、どこも大きな家が多い地域であることがわかります。電気の使用量は家の大きさによって、大きく左右されていると考えてよいでしょう。

また、上位地域の日照時間の短さも電気使用量に影響すると考えられます。家が大きいうえ、日照時間が短ければ、昼間から照明を点灯しなければならず、電気使用量は増加します。

上位5地域は、すべて積雪の多い地域であるため、暖房のための電気使用量も多いと考えられます。

またオール電化普及率と電気使用量の関係も見過ごせません。

2013年のある調査によると、オール電化普及率(累計住宅件数に占める累計オール電化住宅件数)は北陸エリアが25.2%、中国エリアが20.5%、四国エリアは18.5%と、全国平均の10.8%と比べ、電気代の支出が多い都市が属するエリアはオール電化の普及率が高いことがわかります。

オール電化住宅では、エコキュートやIH調理器などを利用するため、電気の使用量が必然的に増え、電気代が高額になります。

一方で、電気代以外の光熱費は必要ないので、トータルの光熱費は安く抑えられるケースもあります。

 

年間の電気代が最も少ないのは神戸市

では、一年間に使用する電気代が少ない都市トップ10を確認してみましょう。

出典:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング <2017年(平成29年)~2019年(令和元年)平均>」

相模原市、前橋市、横浜市、川崎市を除く6都市は、すべて西日本エリアに位置しています。これらの都市は比較的温暖であり、暖房のための電気使用量が少ないことから、電気代の総額が安いと考えられます。

また、上位の都市の電気代の少なさは、オール電化の普及率とも大きく関係がありそうです。上位を占めるのは、普及率6.3%〜15.9%の関東・関西・九州・沖縄エリアが中心で、オール電化普及率が高い北陸、中国、四国エリアの都市がランクインしていません。

一年間の電気代が安い都市には、「オール電化の普及率の低さ」または「温暖な気候」が共通していると言えそうです。

 

消費電力が多い家電を知って電気代を上手にコントロールしよう

消費電力の多い家電の使い方が節約のカギ

都道府県別の一年間の電気代を通して見えてきたのは、オール電化普及率と電気代の関係です。オール電化が導入されている住宅では、給湯器やIH調理器などの消費電力が多い家電も増えることから、電気代は高額になる傾向があります。

消費電力が多い家電を上手に使うことができれば、電気代を無理なく節約できますよね。そこで家庭での電気消費量が多い家電を紹介しておきましょう。

電気消費量が多い家電
1位 電気冷蔵庫 14.2%
2位 照明器具 13.4%
3位 テレビ 8.9%
4位 エアコン 7.4%
5位 電気温水器 5.4%
6位 エコキュート 3.8%
7位 電気便座 3.7%
7位 食器洗い乾燥機 3.7%
9位 電気ポット 3.2%
10位 電子計算機(パソコン) 2.5%
※出典:総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会(第17回) 資料「参考資料1 トップランナー基準の現状等について」P.18より

意外なことに、家庭内で最も電力を消費しているのは冷蔵庫です。とはいえ、冷蔵庫はよほど古い製品を使っていない限りは、買い換えても消費電力を大幅に減らすことはできません。

照明器具は消費電力が少ないものの、長時間使用するためトータルでの電気使用量は多くなりがちです。したがって、照明器具の交換は電気使用量の削減に効果的と言えるでしょう。

LED照明に交換するだけで、消費電力を蛍光灯の2分の1に削減できる場合もあります。さらにLEDは蛍光灯よりも長持ちすることから、コストパフォーマンスも良好。蛍光灯が切れたら、LED照明に買い換えるだけで、電気代+電球代も節約できますね。

また、家族による電気のつけっ放しが気になる人は、スマートホームの導入や人感センサー付きライトを導入すると無理なく電気のムダを省くことができます。

長時間使用しないにも関わらず、消費電力が大きい家電も存在します。以下の家電は消費電力が1,000ワットを超えるものばかり。自宅に複数ある場合は、上手な使い方が求められます。

短時間使用でも消費電力が大きい家電
・IHクッキングヒーター(3口)
・電子レンジ
・アイロン
・電気炊飯器
・浴室乾燥機(電気式)
・ハロゲンヒーター
・洗濯乾燥機(乾燥時)
・ドライヤー
・オーブントースター
・掃除機
※出典:千葉県省エネ・節電サイト「ピークに賢くみんなで節電」

これらの家電を長時間使う場合は、電気料金が安い時間帯に利用するなどと工夫するとよいですね。

 

まとめ

都市別の一年間の電気代を調べてみたら、家の大きさやオール電化の普及率の違いが影響している可能性があることがわかりました。
電気代は光熱費のなかでも大きなウエートを占めるので、できるだけ節約したいと考えている人も多いはず。照明の買い換えや、消費電力が多い家電の使用時間帯を変えるなどの工夫をして、無理なく節約したいですね。

監修:ファイナンシャル・プランナー(AFP)二宮 清子

(最終更新日:2021.04.21)
~こんな記事も読まれています~