新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で業務用の食材の需要が大幅に減少したことから、2020年の冬にはハクサイの価格が平年比47%も下落しました。今回は、冬の食卓で親しまれる代表的な野菜の一つ、ハクサイの都市別の購入量や購入金額ランキングをお届けします。また、上位都市でハクサイが好まれる理由についても調べてみました。
1位大阪は11キロ越え! ハクサイの年間購入量が多い都市ランキング
総務省統計局の家計調査から、都道府県庁所在市と政令指定都市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)のうち、ハクサイの購入金額と購入量が多い都市をチェックしてみましょう。一体、どの都市が1位なのでしょうか。
ハクサイの購入量が多い都市ランキング
まずは、ハクサイの購入量が多い都市ランキングから。
上位は仙台市を除き、西日本の都市で占められています。上位4都市はすべて関西圏。なぜ関西圏ではハクサイが好まれているのでしょうか。詳しい背景については後ほど解明していきましょう。
ハクサイの購入金額が多い都市ランキング
続いて、ハクサイの購入金額が多い都市をチェックしましょう。
購入金額では上位すべてが西日本の都市です。しかも、上位6位までは関西勢が席巻する結果に。ここでも関西人のハクサイ好きが目立っていますね。
関西人はハクサイが好き? ハクサイ人気の秘密
では、なぜ関西ではハクサイが多く購入されているのでしょうか。関西でのハクサイ人気の理由を検証していきましょう。
ハクサイの出荷量ランキング上位は東日本
まずは、ハクサイの出荷量ランキングと購入量ランキングを確認してみましょう。レタスやキャベツ、リンゴやミカン、イチゴは産地やその近隣で多く購入される傾向 にありますが、ハクサイはどうでしょうか。
驚くべきことに、ハクサイ出荷量上位の都道府県にある都市では、はくさいの購入量は低水準です。
関西圏では兵庫県が10位にランクインしていますので、兵庫県から関西地方への供給があると考えられるものの、産地の近くだからハクサイが消費されているというわけではなさそうです。ちなみに、大阪市中央卸売市場から出荷されているハクサイのうち、6〜10月までは長野県産ハクサイが多くを占めています。
関西人は鍋が好きだからハクサイを食べる?
関西地方のハクサイ消費と密接に関係がありそうなのが、鍋料理です。以下は、ひと冬に鍋を食べる回数を都道府県ごとにランキング化したものです。上位の都道府県をチェックしてみましょう。
鍋は寒い地方で好まれるのかと思いきや、西日本各地で多く食べられていることがわかります。このランキングに、ハクサイ購入量ランキングの順位を加えてみましょう。
鍋の回数が多いランキングのトップ10に入っている都道府県に所在する都市が、ハクサイの購入量が多い都市ランキングの上位にも一部ランクインしています。都道府県と県庁所在市または政令指定都市の比較になるため、あくまで参考にはなりますが、ある程度の相関関係がありそうです。「鍋好き=ハクサイを多く消費する」と言えるかもしれません。
関西人は漬物がお好き? ハクサイ漬け購入量との相関
ハクサイの使い道として、ほかに考えられるのはハクサイ漬けです。ハクサイを自宅で漬ける場合、ハクサイを購入しますよね。自宅でハクサイを漬ける頻度や量に関する統計は見つかりませんでしたが、ハクサイ漬け購入量について確認することで、ハクサイ漬けを好む地域をある程度把握できそうです。
総務省統計局の家計調査(二人世帯以上)から、ハクサイ漬け購入量上位10都市を確認してみましょう。
このなかで、ハクサイ購入量ランキングのトップ10にランクインしている都市は、高知市、仙台市、北九州市。ハクサイの購入量が多い地域地とハクサイ漬け好き地域にはある程度、相関関係がありそうなことがわかります。
トップの高知市は、ハクサイ漬けが特産品。お土産品店にも名産のハクサイ漬けが並んでいます。高知市では、ハクサイ漬けを作るために、各家庭でも大量のハクサイを購入していると言えそうですね。
また、トップ10にはランクインしていないものの、14位に大阪市、19位に堺市と、大阪の都市も入っており、一定のハクサイ漬け人気があることがわかります。
鍋を食べる頻度やハクサイ漬けの購入量とハクサイ購入量のデータから、ハクサイの購入量が多い地域では、鍋、ハクサイ漬けが好まれる傾向がありそうだと言えそうです。
加えて、独立行政法人統計センター発表の統計によると、2019年の全国の在留外国人(韓国・朝鮮)の数は、46万3,154人。このうち、大阪府には10万775人、全体の2割強が住んでいます。キムチを漬けるために、在日韓国・朝鮮人の家庭で大量のハクサイが使用されていることも一因として考えられそうです。
なぜ関西でハクサイが好まれる? 歴史で読み解くハクサイと関西
では、どうして関西地方でハクサイが好まれるのでしょうか。
ハクサイは中国北部が原産とされており、日本に持ち込まれたとされるのは明治期です。1875年の国際博覧会に中国山東省の「山東ハクサイ」が展示され、そのうちの一部を愛知県が譲り受けて、試験栽培を開始しました。
当時のハクサイは、栽培が難しいとされていましたが、愛知県や宮城県による品種改良によって、国内での栽培が可能となり、大正時代以降全国に広がります。
ところが、関西地方では、日本にハクサイが伝来する前から、「しろ菜」、「天満菜(てんまな)」と呼ばれるハクサイに似た野菜が食べられていました。大阪市の天満橋付近で盛んに栽培されていたため、「天満菜」と呼ばれていたようです。
今では天満菜が日常的に食卓に並ぶことは少なくなったようですが、最近でも大阪の伝統野菜「なにわ野菜」として注目を集めています。もともとハクサイに似た野菜を食べる文化が根付いていたため、今でも関西地方ではハクサイが好んで食べられているのかもしれませんね。
まとめ
ハクサイの購入量が多い都市は、鍋や漬け物といったハクサイを大量に使う料理を好んでいることがわかりました。鍋は冬の風物詩。ハクサイの旬も11月から2月ですので、旬のハクサイを鍋のお供に鍋ライフを楽しみたいですね。
ちなみに、ハクサイの95%は水分なので、ダイエットにもぴったり。ヘルシーかつおいしくダイエットを楽しみたい人は、お鍋にハクサイをたっぷり入れるとよいですね。ハクサイと豚肉の重ね鍋なら、豚肉もハクサイも最高においしくなりますよ。