イチゴといえば1月から5月にかけて多く出回る春が旬のフルーツ。多くの人から支持を集めるイチゴですが、どの地域で多く購入されているのでしょうか。今回は、総務省の家計調査をもとに、イチゴの購入金額が多い地域をランキング化してみました。またイチゴの購入金額が少ない地域の理由も探ってみましたので、ぜひ読み進めてくださいね。
イチゴの購入金額が多い都市ランキング
東京都中央卸売市場では6月から10月までのイチゴの入荷量はわずかですが、11月から増え始め3月に最盛期を迎えます。2007年(平成19年)に農林水産省が実施した果物に関する調査では、イチゴは好きな果物の4位にランクインしています。総務省統計局が発表した最新の家計調査でも、フルーツのなかでイチゴの購入量はバナナ、リンゴ、その他の果物、みかんに次いで5位と人気です。
では、都道府県庁所在市と政令指定都市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)のうち、イチゴの購入金額が多い都市をチェックしてみましょう。
1世帯当たりのイチゴの購入金額、全国平均は3,307円ですので、1位の千葉市は年間で平均の約1.4倍のイチゴを購入している計算になります。
1位の千葉市は、日本のイチゴ収穫量9位の千葉県の中心都市です。千葉市ではイチゴの生産が盛んに行われており、生産地と消費地が近いことから、スーパーで「完熟イチゴ」を食べられるのだとか(スーパーで販売されるイチゴは、熟す前に収穫しされたものが一般的)。採れたて完熟イチゴを存分に食べられる千葉の人たちがうらやましいですね!
2位の宇都宮市は、日本のイチゴ収穫量52年間1位を誇る栃木県の県庁所在地。イチゴの購入金額の多さもうなずけます。
東京ではイチゴの生産はそれほど盛んではないものの3位。東京都内のホテルでは季節限定「イチゴフェア」や「イチゴスイーツビュッフェ」などが多く開催されていますが、実はイチゴの旬は春先。
本来、数十年前 までは春から初夏にかけての時季がイチゴの旬でしたが、品種改良や温室栽培の技術が確立によって冬にも出荷されるようになりました。冬でもイチゴを食べられるようになったのは意外と最近のことなのです。
イチゴの購入金額が少ない都市ランキング
次に1世帯(二人以上の世帯)当たりのイチゴの購入金額が少ない都市を紹介します。
では、イチゴの収穫量と、イチゴの購入金額の相関関係をチェックするために、参考までに、都道府県別のいちごの収穫量ランキングと、1世帯当たりのイチゴの都市別購入金額ランキングを比較してみましょう。
イチゴの収穫量2位の福岡県にある福岡市、収穫量3位の熊本県にある熊本市は、イチゴの購入金額・量が多い都市ランキングで20位にも入っていません。収穫量では全国8位の佐賀県にある佐賀市は、イチゴの購入金額では全国41位、購入量では28位。九州ではイチゴの栽培が盛んにもかかわらず、あまり購入されていません。
ほかの農産物、果物では生産量と購入量に一定の相関関係があり、生産量が多ければ購入量も増える傾向が見られたのですが、イチゴの収穫量と購入量が一致しません。温暖な地域では「イチゴ欲」が駆り立てられないのでしょうか。
沖縄県民はイチゴを食べない? その理由とは
イチゴの購入量、購入金額ともに全国で最も少ない那覇市。その理由の一つが、沖縄で生産されるイチゴの少なさです。
沖縄では長らくイチゴの栽培が無理だと言われていました。その理由は気候にあります。沖縄は亜熱帯地域に位置しているので、夏場の苗の管理が難しく、商品として出荷できるような品質のイチゴの栽培はできないとされていたのです。
しかしながら、沖縄県内にもイチゴの需要はあるので、沖縄でのイチゴ栽培技術が研究されて、少しずつではあるものの収穫量が増加していきました。
2019年3月現在の沖縄のイチゴ生産農場は19を数え、宜野座村では村をあげてイチゴの栽培に取り組んでいます。宜野座村にはイチゴ農場が11ヶ所ほどあり、イチゴ狩りはなかなか予約が取れないほど人気を集めているとのことです。
沖縄の人はイチゴを好まないのではなく、イチゴがあまり身近にないためにイチゴの購入量が少ない、といえそうですね。
沖縄のイチゴ生産量の推移
農林水産省が公表している「作付統計」という野菜や果物の生産量や収穫量の統計で、沖縄県のイチゴの生産量を確認してみましょう。
沖縄でのイチゴの生産量が年々増加していることがわかります。イチゴ収穫量1位を長年維持し続けている栃木県の2019年の収穫量2万5,400トンと比較すると、非常に少ない収穫量ではありますが、2013年以降の収穫量は20トン以上となっています。これからは沖縄県内でも、より多くの県内産いちごを楽しめそうですね。
イチゴ狩りでも、店舗でも! おいしいイチゴの見分け方
イチゴの旬は年明けから春。この時期から多くのイチゴが市場に出回ります。イチゴはそこまで安く 買えるフルーツではありませんので、買うときは失敗したくありませんよね。
ある農家さんによると、おいしいイチゴを見分けるコツは、「へた」にあります。へたはイチゴの鮮度を見分けるバロメーター。へたにハリがあり、濃い緑色になっているイチゴは新鮮です。
熟しているかどうかは、へたの周りの色をチェック。品種によってはへたの周りが赤くならない物もありますが、多くのイチゴは熟すとへたの周りが赤くなるのです。イチゴ狩り農場を訪れた際にも上記の点に注意しておいしいイチゴをゲットしましょう。
まとめ
イチゴは生産地周辺で多く購入される傾向があり、特に関東地方が購入量ランキングの上位に位置していました。一方で、収穫量が多いにも関わらず、九州の都市ではイチゴの購入量、購入金額は少なめ。イチゴは東日本の人に、より好かれるフルーツのようですね。イチゴの旬は5月まで続きます。新鮮でおいしいイチゴが多数出回るシーズンを思いきり楽しみましょう。
(最終更新日:2021.03.18)