【東京都】待機児童が多い区市町村ランキング。保活激戦区・穴場はどこ?

子育て世帯を悩ませる、待機児童問題。東京都の待機児童は、解決に向かっているのでしょうか? 「待機児童ゼロ」という目標は現状どれほど達成されているのか、東京都の区市町村の待機児童数ランキングや、0歳~5歳児のいる世帯への調査結果から考えていきます。

東京の待機児童数は? 積極的な施策で回復の兆しも!

まず、東京都全体の待機児童は、どのように推移しているのでしょうか。

※東京都 保育所等利用待機児童等の状況「表3 保育所等利用待機児童等の状況」(令和2年4月現在)より

2015年には7,814人いた待機児童は、2018年は5,414人、2019年は3,690人と減少し、2020年は2,343人まで減って、待機児童問題は改善しているように見えます。

この変化の背景には、幼稚園と保育所が一体となった「認定こども園」の増加や保育関連の業務に就くための資格の整備などがあったようです。児童を受け入れる施設を拡充し、人材を確保するための施策が功を奏したといえるでしょう。

とはいえ、依然として待機児童数が多いことに変わりはありません。就学前児童の保育所等の利用申込率は上昇し続けていて、2015年には39.0%だったところ、2020年には50.7%と、とうとう50%を突破しました。つまり、およそ2人に1人の児童が利用申し込みをしているため、保育サービスへのニーズは高いままであると考えられます。

【東京都】待機児童数が多い区市町村ランキング

では、東京都内で待機児童が多いエリアはどこなのでしょうか。
待機児童数の多い上位10の区市町村をチェックしてみると、東京都の待機児童の現状が明らかになってきます。

※東京都 都内の保育サービスの状況について/区市町村別(令和2年4月1日現在) ※保育サービス利用児童数は、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業、定期利用保育事業、企業主導型保育事業、区市町村単独保育施策等の合計

2020年で最も待機児童数が多かったのは江戸川区、その次が中央区で、この2区のみ待機児童が200人を超えました。ただ、就学前児童の人口は、江戸川区のほうが中央区よりも2万人以上多いので、中央区のほうが激戦と言えそうです。

トップ10のなかで比較しても、就学前児童人口数は6,000~3万人台と差が激しいのですが、保育サービスの就学前児童利用率は、待機児童数と一定の相関関係が見られ、どの区も40%越え。人口の多さや就学前児童の保育サービス利用率の高さが、待機児童増加の要因になっていることがわかります。

待機児童ゼロは千代田区、港区、目黒区、世田谷区、杉並区、豊島区など18区市町村! 

待機児童ゼロを実現したのはどの区市町村?

東京だからといって、すべてのエリアで児童の預かりが難しいというわけでもありません。
2020年に待機児童ゼロを実現した区市町村はどこなのか確認してみましょう。

※東京都 保育所等利用待機児童等の状況/区市町村別

2020年に待機児童ゼロを達成したのは、計18の区市町村でした。23区では、千代田区、港区、目黒区、世田谷区、杉並区、豊島区が待機児童ゼロに。檜原村以下の町村は、そもそも就学前児童人口の母数が少ないため、待機児童がいないとも考えられます。

世田谷区は2019年ワースト1から待機児童数ゼロに!

なんと、昨年の待機児童数が470人と最も多かった世田谷区が、待機児童数ゼロを達成しています。世田谷区では数年がかりで保育施設の拡充を進め、特に認可の私立保育園を大幅に増加。2019年から2020年の1年間で、認可の私立保育園を22も増やしており、その結果が2020年に花開いたのだそうです。

世田谷区は閑静な住宅街が多くを占めており、高級なイメージもありますが、意外と商店街など情緒ある街並みも楽しめるエリアです。世田谷区の魅力を知りたいときは、こちらの記事も参考にしてください。

参考:【世田谷線パンさんぽ】地元で愛される「コトリベーカリー」と「レ・リース」へ
参考:【東京都世田谷区・新築戸建て】等々力駅近くの新築住宅に買い替え。戸建て暮らしを満喫するIさん

待機児童に対する東京都の政策は?

区市町村による取り組みが待機児童を解消する事例も生み出されるなか、東京都全体では待機児童ゼロに向けてどのような政策を打ち出しているのでしょうか。その一部を紹介します。

土地の活用を促す市町村の連携や事業者の負担軽減
東京都は地価高騰が続いており、保育所等の新設が難しい状態といえます。そのため、保育を目的とした施設建設をする場合に、特定の条件を満たすことで事業者の負担を都が軽減する制度が設けられました。

また、空き家や民家等を保育目的で活用するために、地域の土地情報について積極的にシェアできるシステムを構築するなど、場所づくりに対する障壁を取り払う模索が続いています。

保育サービス利用者の負担軽減につながる保育料の補助
都内で児童を預ける保護者は長時間の保育を希望するケースが多い一方、その分利用料金が増えることが家計を圧迫し、保育サービス利用を難しくしている状況もあります。

そうした保育サービス利用者の負担を軽減するため、国、東京都、区市町村が保育料の一部を補助する制度があります。

本制度は急な用事や出産、育児疲れなどの保護者の目的に応じて数時間または数日間利用することが可能で、月単位で定期利用できます。

保育人材や保育コンシェルジュの育成による人材確保
保育所に従事する人材の確保に対しても、研修制度の充実など取り組みが進んでいます。また、保育所の情報について適切なアドバイスを行う保育コンシェルジュの育成や活用も広がりつつあります。

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保育ニーズ調査から明らかになる、東京の子育ての本音

待機児童化を恐れ、育休を早めに切り上げるケースも…

このように、資金的な補助や情報網の充実など、積極的な動きがみられる東京都。一方で、そういった取り組みがあるにも関わらず待機児童が増えてしまう地域もあります。東京都で実際子育てをする人々はどのように感じているのでしょうか?

都民かつ就学前児童(0~5歳の児童)がいる世帯約3万8,000世帯に対して行われた、「東京都保育ニーズ実態調査結果報告書 」(平成30年5月)の一部内容を紹介します。

待機児童にならないなら子どもを預けたい人が8割以上
保育サービスの利用希望を見ると、認可保育所(公立・私立)や東京都認証保育所への人気が高い一方、希望したサービスの人員に空きがなかったため利用しなかったと答えている人が、多く見受けられます。

さらに、同調査で保育サービスを利用していないと答えた人を対象にした、「希望すれば待機児童にならずに入所できる場合は保育サービスを利用するか?」という問いの答えを見ると、86.9%の人が利用を希望しています。

こうした調査結果を見ると、安心して子どもを預けられるサービスに対してのニーズが高い一方、マッチングがうまくいかず、子どもを預けることを断念している人も多いようです。

待機児童化を恐れ、育児休業を早めに切り上げる傾向も
育児休業取得についての調査結果では、取得を希望していた期間と実際に利用した期間に大きな差があります。本来1年7ヶ月以上~2年未満の休業を希望していたにも関わらず、1年程度の休業に留めるケースが多いようです。

その理由として最も多いのが、「育休を希望期間分取得すると、取得後保育所に入れなくなると思ったため」。64.9%の人が待機児童になってしまうことを避けるために休業期間を減らしていることが明らかになっています。

東京の待機児童解消のカギは、適切な情報と条件の提供
東京都は待機児童解消のための取り組みを積極的に行っているものの、利用者側が保育サービスを選択する際に適切な情報を得られないため、結果につながらない状況になっているケースもあるようです。

保育コンシェルジュをはじめとした、情報提供の窓口として個々の悩みに対応する役割を担う人やサービスが充実すれば、こうした問題も解決していくかもしれません。十分な情報を得たうえで働き方や保育サービスの利用方法を選択できるようになれば、東京の待機児童問題は解決への道が開けるでしょう。

(最終更新日:2024.04.19)
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