家で過ごす時間が増えたこの1年。長く家にいると、室内の家具の配置やごちゃごちゃとした一角が気になることも…。そこで、コストをかけずにより広く見える部屋にするコツを、整理収納アドバイザーでインテリアコーディネーターの磐梨裕子さんに、実例を交えながら教えてもらいました。
部屋をスッキリさせて快適な自宅ライフを過ごしたい
私のところには、家の中で「しっくりこない」と感じるところをどうにかしたいというお客さまがいらっしゃいます。その感覚はみなさんそれぞれ違っていることが多いのですが、何らかの不満を持っているということには違いありません。
そこで、私がそれらを解決するアイデアを提案させていただいています。今回は、そんな事例の中から、皆さんの家でも参考にできそうなものを紹介します。
【実例1】部屋の中央に動線を作ってスッキリ
・Before
こちらのダイニングキッチンには、中央にテーブルとイスが2脚あり、その脇にはストーブが置かれています。このテーブルは、ちょっとした調理作業やお弁当の盛り付けに使ったり、お嬢さんが朝食で使ったりするということでした。
もっとスッキリさせたいというご要望があったため、「スッキリ」の妨げになっている要素を整理しました。
・After
部屋の真ん中にあることでテーブルの使い勝手はいいのですが、複数の人が同時に使うことはあまりないということだったので、向きを変えて壁に付けるようにしました。
また、もともとゴミ箱のあった場所にストーブを移動させました。ゴミ箱はというと、写真右奥に金属製のラックがあるのですが、一番下の棚がデッドスペースになっていたので、棚を上げてそこに収納しました。
そのほかの視線に入る雑多な物も、使いやすくてかつ目立ちにくい場所に「適材適所」として配置しました。テーブルとストーブが移動したことで、部屋の真ん中に動線ができてとてもスッキリしました。
動線を作ることは、人の動きをスムーズにすると同時に視線の通りも良くしてくれるので、部屋をスッキリさせるのに効果的です。
人が訪れたときにごちゃついた部屋を見せるのがストレスにもなっていたということで、玄関から部屋へも動線ができたことでその悩みも解消されました。
【実例2】フォーカルポイントを片づけてスッキリ
・Before
白い壁に黒い家具で統一されているにもかかわらず、どこか生活感のある印象の部屋。極端に物が多いわけでもないのに…。
シンプルで、もっと落ち着いた印象の部屋にしたいというご依頼だったので、目に入る物を限定する方向で整理しました。
・After
部屋の入り口から見て、対角線上の角は視線が集まりやすい「フォーカルポイント」になります。フォーカルポイントとは、建築や造園で使われる「注目点」「目を引く点」という意味です。ここをスッキリさせることで、部屋全体がスッキリとした印象になります。
そこで、写真奥の部屋の角にあった掃除機や、サイドボードの上の物を移動させました。ただ、物を部屋からなくすというのではなく、自然と視線が集まりやすいところを重点的に整理することで、スッキリした印象にできるのです。
【実例3】部屋の奥を低くする
・Before
こちらの部屋は、奥に収納場所を作り、物を置いていました。しかし、ちょっとした物は、手前にある机の上にも置いていました。問題点を整理し、提案させていただきました。
・After
部屋の奥には高さのある家具を置いてしまいがちです。しかし、奥側に高さを作ると、部屋に圧迫感が生まれてしまいます。
部屋の奥はフォーカルポイントになるので、そこを低くするために手前にあった机を奥に移動させました。
手前に物を置いていたということは、そこが置きやすかったということでもあります。いっそのこと、そこを収納場所とすることで部屋が片づきます。ここには収納ラックを購入する予定です。
まとめ
部屋を広く見せる最大のコツは、フォーカルポイントをスッキリさせることです。普段くつろいでいるソファから見えるところやゲストの視線が行くところなど、目線が集まるところを片づけてみましょう。
お話を聞いた方
磐梨 裕子さん整理収納アドバイザー、インテリアコーディネーター
15年のインテリアコーディネート経験を経て、2015年に夫婦でリフォーム工房ベネヴィベレ設立。インテリアと整理収納を担当し、現場での片づけ作業の経験を積む。心地よい暮らしをつくるインテリアの提案や自宅セミナー、個人宅での整理収納サポートやインテリアコンサルティングにおいて、顧客の気持ちに寄り添う丁寧な対応を心がけている。