新型コロナウイルスの猛威が収まりません。11月ごろから国内では第3波を指摘する声がありましたが、遂に東京都では「酒類の提供を行う飲食店とカラオケ店」に営業時間の短縮を求め、大阪府は不要不急の外出自粛を求めました。これまでの傾向を踏まえると、今後は再び家庭内で食事を作る世帯が増えそうですが、冬といえば鍋です。今回は鍋をテーマにしてさまざまなデータを見てみましょう。
サービスを中心にお金を使わなくなっている
コロナ禍による企業業績の悪化に伴い、手取りの所得が減ったり、ボーナスがほとんど出なかったという方も多いでしょう。足元では再び感染が拡大しています。新型コロナウイルスに対するワクチンのニュースも耳にすることがありますが、まだ現状を改善する見込みは立ちません。将来への見通しが不透明であることから、私たちの財布のひもも堅くなりそうです。
内閣府が発表した「四半期別GDP速報」のデータを見てみると、2020年は私たちの消費が一気に冷え込んでいることがわかります。
感染拡大防止のために旅行や出張が減ったことだけでなく、飲食や娯楽のために外出することも減ったため、サービス消費が大きく減っていますが、それ以外の項目も同様に前期から減速していることがポイントです。
感染が拡大すると消費行動にも変化が生じる
実際に総務省が発表している「家計調査」を細かく見ていくと、私たちの消費行動が感染の状況によって左右されていることがわかります。飲食のために外出をする機会が減ったことから、食事代や飲食代は大きく減っています。さらに、緊急事態宣言が発令された4月、5月や再び感染拡大が懸念された8月には大きく減少していることがわかるでしょう。
一方で、外での飲食を控えたことにより、自炊や宅飲みの需要が高まったわけですが、ふだんは自炊をしない人たちを中心にパスタや即席麺など調理が簡単な食材や、チューハイ・カクテルが売れています。
第3波を背景とした外出自粛傾向が強まっていくと予想されることで、年末年始にかけて再び自炊・宅飲みの需要が高まっていくでしょう。
高くても食べたい野菜は何か?
自炊をするうえで前述のとおり調理が簡単なパスタや即席麺以外にも需要が高まるのが、さまざまな料理に使われる野菜です。株式会社Heart Fullが発表した「『気候変動による野菜高騰』に関する意識調査」によると、野菜を買う際に重要視している項目は「新鮮さ(34.4%)」「値段(33.2%)」の2点が上位にランクインしました。
野菜は天候要因で値段が大きく変化しますが、自炊による需要増によっても価格が高騰する可能性があります。同社が「仮に値段が高騰しても食べたい冬野菜」を調査したところ、「白菜」が41.4%で1位となりました。
今年の冬は鍋にはもってこい?
ここで、実際に野菜の小売価格の推移を見てみましょう。記憶に新しいかもしれませんが、今年の夏は野菜価格の高騰が問題になりました。自炊による需要増もあったかと思いますが、記録的な長梅雨が主な要因だと考えます。しかし、足元では野菜価格は再び平年比でマイナス圏に入っており、私たちにとっては財布へのダメージが抑えられる状態となっています。
冬に自炊となると、おそらく鍋という人が多いでしょう。具材を切り鍋に入れ、あとは火をつけて煮込むだけですし、食べ残しても翌日に再加熱できる手軽さもあります。先ほどの調査では価格が高騰しても食べたい冬野菜の1位が「白菜」でしたが、「白菜」はまさにどの鍋にも入れる野菜です。上図からもわかるとおり、ハクサイの価格も足元では下がっており、今年の冬は鍋を楽しむ家庭が例年以上に増えそうです。