新型コロナウイルスの感染拡大を機に、私たちの働き方や家での過ごし方は一変しました。それにともない、住まいに求めることや優先順位も変化しています。住宅購入を考えている人々の気持ちは、どのように変わってきているのでしょうか。
年収300〜400万円台の人が、コロナ禍を経て住宅購入を前向きに検討
株式会社MFSが、新型コロナウイルス感染拡大前後における、東京都および隣接する県の住宅購入希望者の傾向を分析。コロナ禍の前と後、それぞれの住宅購入希望者について年収を比較したところ、コロナ禍を経て年収300万〜400万円の住宅購入希望者が特に増加していることがわかりました。
具体的に見ると、コロナ前、住宅購入希望者のうち300万円台の人は9.2%でしたが、コロナ後には15.8%と、6.6%増加。400万円台は10.5%から16.4%へ、5.9%増加しました。このことから、年収300〜400万円台層において賃貸派から持ち家派が増えている傾向にあることがわかります。
住宅ローン以外の借り入れがある住宅購入希望者が増加
コロナ禍以降は、教育ローンや自動車ローンなど住宅ローン以外の借り入れがある住宅購入希望者が増えていることもわかりました。コロナ前、住宅ローン以外の借り入れがある住宅購入希望者の割合は28.5%でしたが、コロナ後には37.4%と、8.9%増加しました。
これは、コロナ禍を経て増加した年収300〜400万円台の人々が、住宅ローン以外の借り入れをしている割合が高くなっていることも一因となっています。その他の借り入れがあっても、家を持つことで将来の住居に対する安心感を得たい人が増えていることが推測されます。
戸建て・新築希望者が増加。「職住近接」から「職住融合」へ
コロナ禍の前と後、それぞれの希望物件種別を調べると、戸建てを希望する人が25.9%から44.1%へ、約20%の大幅な増加となりました。
また、新築・中古に関しては、新築を希望する人が26.8%から32.7%へ5.9%増えました。テレワークが普及し始めたことから、自宅で仕事のためのスペースを確保したいという需要が出てきていることや、価格の高い駅近や都心部のマンションよりも、価格も抑えられ広い住戸も多い郊外の戸建てに住みたいというニーズが高まっていることが伺えます。
また、新築が選ばれている背景としては、税制上の優遇や最新設備が備わっていること、建売などの選択肢も多いことから希望者が増加したと推測されます。
まとめ
今回の調査結果により、コロナ禍を経て住宅購入に積極的な人の多さが垣間見えました。特に年収300〜400万円台の人にその傾向があり、住宅ローン以外の借り入れがあっても「持ち家がほしい」という願望は捨てていないようです。
また、テレワークの普及により戸建て・新築のニーズが高まっていることも分かりました。住宅購入を検討しているものの、コロナ禍で先行きを不安に感じ躊躇している人は今こそ、新しい暮らしに即した住まい探しを考えてみても、良いのかもしれませんね。
【調査概要】
「コロナ禍前後の住宅購入希望者の傾向」
調査対象:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の物件を希望する30〜50代の男女1,735名
実施期間: 2019年7月1日~2020年10月28日(コロナ禍前:2019年7月〜2020年2月、コロナ禍後:2020年3月〜2020年10月として分析)
実施機関:株式会社MFS