2019年10月に実施された消費税増税や今年の新型コロナウイルスの感染拡大によって、高まる将来不安。一方で、日本の平均寿命は男女ともに延び続けており、老後のお金に対する不安も同様に高まっています。
この漠然とした不安が実際のシニア女性の行動にどう表れているのか調査した結果をご紹介します。
年金の受給開始年齢を通常の65歳より繰り上げている
(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所はシニア女性の年金生活の実態と老後のお金に対する不安を把握すべく「年金とお金の使い方に関する意識調査」を実施しています。
この調査結果によると、調査対象であるシニア女性のうち、自分か夫のうち1人でも公的年金を受給しているのは678名(80.8%)で、約8割が公的年金を受給していると回答。
公的年金を自分自身が受給しているシニア女性623名が国民年金を受給し始めた平均年齢は63.1歳であり、通常65歳である受給開始年齢を繰りあげている人が少なくない結果に。
老後のお金について具体的に心配なこと
「介護費」や「医療費」など日常生活における出費が上位に
老後のお金について「心配している」と回答した人に、「老後のお金について具体的に心配なこと」をたずねたところ、「介護費(78.1%)」が第一位となった。医療費や生活費などの日々かかる出費を気に掛ける人が多く、そのほかには夫の年金収入に対する不安や、年齢を考慮した家のリフォーム代金など大きなお金の変動に「心配」と回答する人が多い結果となっています。
2人以上の世帯は月320円の「黒字」
1人世帯は月平均6万139円の「赤字」
公的年金受給世帯のうち、収入が年金のみの92世帯について月当たりの収支を算出したところ、2人以上世帯では平均収支が320円の黒字だが、1人世帯では平均6万139円の赤字という結果に。
年金収入のみ世帯の「老後のお金について不安に感じていること」で、1人世帯、2人以上世帯に共通しているのは、病気、介護費用の負担増加。2人以上世帯では、夫の介護・医療費や、夫が亡くなった後の生活を不安視する声もみられています。
2022年には年金制度が改正予定
2020年の今年、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立し、2022年度に施工される予定です。改正内容としては、公的年金の受取開始が60~75歳の間で選べるようになるほか、65歳以上で働いている人についての年金額の改定は、在職中であっても毎年行われるようになります。
詳しくはこちら:【現役世代も注目】年金制度が2022年改正へ、大きな4つの改正ポイント
今後予定されている改正は「働く人」の保障を手厚くするような改正内容であるといえそうですが、一方で実態は8割が公的年金を受給しており、しかも受給開始年齢を繰りあげている人が少なくない状況です。
年金世代がもつ多くの不安や不信がそういう行動にあらわれている実態も踏まえると、国の対策だけでなく、自分たちの家計をみなおすことが老後の暮らし方につながってくるのかもしれません。
【調査概要】
調査の方法:郵送アンケート
調査の対象:55~79歳の女性
有効回答数:839名
調査実施日:2020年6月24日~8月2日
調査主体:(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所
ニュース提供元:PRTIMES
情報提供元: 株式会社ハルメク