例年より遅い梅雨明けが影響? 家計を守るために知っておきたいこと

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、7月23日から始まった4連休を前に都内では小池百合子都知事から外出自粛の要請がありました。4連休中の人々の外出に関する情報を見てみると、一部の観光地や行楽地はにぎわいを取り戻したようですが、新幹線では空席が目立っていました。新型コロナウイルス以外にも天候が影響した可能性もあります。

8月に入りようやく関東などで梅雨明けとなりましたが、今年は梅雨が各地で異例の長さとなり、日照時間が例年より短い地域も出てきています。今回は新型コロナウイルスではなく、天候が私達の消費にどのような影響を与えているか見ていきましょう。

天気が悪い日が続き野菜の価格が高騰

過去のデータをみてみると、日照不足など天候不順の翌月は生鮮野菜の価格高騰につながっています

新型コロナウイルスの感染拡大もあり、都内に住む方達はなかなか遠出ができず、休日や祝日でも自宅にいるか、近所に出かけて過ごすという方も多いでしょう。ただ、最近は梅雨入りしていることもあり、雨が降っているか今にも雨が降りそうな曇りの日が多く、新型コロナウイルスに関係なく外に出るのが億劫ということもあります。

気象庁によると、本州付近に停滞する前線や湿った空気の影響で、今年は6月の25日頃から曇りや雨の日が多く、日照時間が少ない状態が続いているということです。日照時間とは「直射日光が地表を照射した時間」を表しており、日照は「直達日射量が0.12キロワット/平方メートル以上」として定義しています。

たとえば、6月25日から7月21日までの各地の日照時間を平年の同じ期間と比べると、東京の都心はわずか52%に過ぎず、他の地方でも50%程度と非常に日照時間が短くなっています。気象庁は「日照不足と長雨に関する地方気象情報」を出して、農作物の管理に十分注意するよう呼びかけています。

日照時間の話が私たちの生活にどのように影響を与えるのかと疑問に思う方もいるかもしれませんが、分かりやすいところで言えば、気象庁が農作物に言及しているように、生鮮野菜の価格が高騰する可能性が上がります。たとえば、東京の日照時間を時系列で見てみると、2006年7月は前年比43%減、2009年7月は同38.5%減となりました。この2年も今年と同じように梅雨明けが遅れたことで、7月の日照時間が大きく前年比で落ち込みました。

その結果、翌月の消費者物価指数の内訳を見てみると、生鮮野菜の価格がそれぞれ前年比31.3%増、同12.9%増となっており、明確に天候不順による生鮮野菜の価格高騰が確認できます。これは私達の消費を抑える要因の1つになります。

日照時間が短いと消費が減る?

このように、日照時間が短くなることで生鮮野菜の価格が高騰して家計に影響が出るというのは非常に分かりやすい例ですが、気温や日照時間など様々な天候要因と私たちの消費を比較していくと、日照時間の長さが消費と相関関係にあることが確認できます。下図は東京、名古屋、大阪の3都市における7~9月の平均日照時間の前年比と、家計の支出の前年からの伸び率(物価変動含む)の推移です。

家計の消費支出はもちろん野菜だけではありませんから、当然その他の品目に対する支出も落ちているということになります。前述の通り、7月は平年の半分程度の日照時間なので、8月、9月が平年通りに戻ったとしても、今年の夏の家計の支出は落ち込みそうです。家計の支出が落ち込むと、それは企業業績にネガティブな影響を与え、結果として給与や賞与に反映されたり、場合によっては解雇などにもつながっていきます。これらは経験として全員が理解しているため、今年の夏は財布の紐が堅くなる家庭が増えるのでしょう。

コロナの影響もふまえ家計を守る必要性が高まる

あくまで例年の夏期(7~9月)の消費の話であれば、日照時間が平年より短いと消費も落ち込むという関係性の話をして終わるのですが、今年は明らかに考慮しなければいけない特殊要因があります。もちろん、新型コロナウイルスの影響です。7月に入り東京では新規感染者数が増えています。検査数や陽性率、死亡者数、重症者数など、その他のデータも併せて見ていかなければ間違った理解をしてしまいますが、タクシーの運転手や飲食店の店長などに話を聞く限りは、新規感染者数が増えてきたという報道によって客が減ったという話をよく聞きますので、少なくとも新規感染者数の増加という事実は業績にネガティブな影響を与えていることには間違いなさそうです。

 日本では新型コロナウイルスの影響が3月頃から本格化したと仮定すると、賞与への影響は夏期ではなく年末に大きく出ることでしょう。また、総務省が発表している「労働力調査」によると、非正規雇用者数は3~5月の3か月間だけで前年から180万人以上も減少しました。そして、早くも正規雇用も5月には前年から1万人減少しています。このデータを見る限りでは、昇給がなかった、賞与が出なかったというだけならまだ良く、そもそもの収入源を失う可能性も十分にあり得るといえるかと思います。

家計にとっては非常に厳しい夏、そして年後半となりそうですが、自分たちでできる細かい家計防衛をしていくしかないでしょう。梅雨が明けると今年の夏は平年より暑くなると聞きましたが、猛暑になるとクーラーなどの利用による電気代、外食費、耐久財への支出が増える傾向にあると言われています。

不安定な状況下こそ、しっかりと家計管理を

しかし、無駄遣いをする訳にはいきません。私は家計簿ソフトを活用して家庭の支出金額を月次ベースでしっかりと把握し、固定費と変動費がいくらかを把握する必要があると思っています。知人のFP(ファイナンシャルプランナー)に聞いたことがあるのですが、急に収入が激減したり、貯蓄が尽きそうになったりすると、恐怖心や不安心理から混乱してしまい、なぜか無駄遣いをする人が多いそうです。しっかりと毎月の固定費と変動費を把握した上で、変に不安になることなくしっかりと家計管理をしましょう。

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