なぜ? 富山県民が「マイホームの資金計画」が上手と言えそうな理由~マイホームをめぐる日本一(4)~

マイホームをめぐる日本一を紹介するシリーズの第4弾は、「資金計画の上手な県」です。住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」を中心に、都道府県による資金計画の違いなどをみていきます。結果、総合的にみて資金計画を立てやすいトップは富山県のようですが、細かくみると、【フラット35】を利用した人たちの世帯年収が一番高いのは、東京都ではなく沖縄県、といった意外な(?)発見もあったりします。

北陸や四国地方では30歳代後半でマイホーム を取得できる

住宅金融支援機構の「2018年度フラット35利用者調査」によると、【フラット35】を利用してマイホームを取得した人たちの平均年齢は図表1にあるように40.1歳でした。17年度は40.0歳、16年度は39.8歳でしたから、少しずつですが、平均年齢が上がっています。このところの住宅価格の上昇を反映した結果でしょうか。

中でも、最も平均年齢が低いのは石川県の36.6歳で、次いで富山県37.0歳、高知県37.3歳などが続いています。
反対に一番平均年齢が高いのは島根県の48.1歳で、以下鳥取県の45.8歳、京都府の42.0歳などとなっています。

一番若い石川県と最も年齢の高い島根県の間には11.5歳もの差があります。特に富山県は持家率も最も高く、住宅の延床面積も一番広いだけに、若いうちにマイホームを取得するのにはうってつけの県といえそうです。若いうちにマイホームを取得するなら、北陸や四国地方に住むのがいいかもしれません。

(資料:住宅金融支援機構「2018年度フラット35利用者調査」)

世帯年収が一番高いのは東京都ではなく沖縄県

次に、【フラット35】でマイホームを取得した人たちの世帯年収をみると、最も高いのは、図表2にあるように沖縄県の752.1万円で、東京都の704.5万円がそれに続いています。以下は長野県、神奈川県、富山県などの順です。

東京都、神奈川県などが上位に入っているものの、賃金水準の高い大都市部だけではなく、地方の県も頑張っています。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、月額賃金が最も高いのは東京都の38.04万円で、上位には神奈川県、大阪府、愛知県などの大都市圏の都府県が並んでいます。それに対して沖縄県は24.68万円で、東京都の3分の2以下です。沖縄県では、平均的な年収よりかなり高い年収を得ている人でないと、なかなか買えないのではないでしょうか。

反対に世帯年収が最も低いのは島根県の492.2万円で、群馬県、岐阜県などが続いています。最下位の島根県とトップの沖縄県の間には260万円ほどの差があります。

(資料:住宅金融支援機構「2018年度フラット35利用者調査」)

秋田県なら東京都の6割強の価格で取得可能に

その世帯年収で、いくらぐらいの物件を買っているのでしょうか。「2018年度フラット35利用者調査」から、取得にかかった所要資金額をみると、トップはやはり東京都でした。金額は図表3にあるように、4,471.7万円で、2位の神奈川県の3,813.6万円との間には658.1万円もの差がついています。3位には、3,636.5万円で沖縄県が入っています。

沖縄県は、このところリゾートや不動産投資先として全国的に注目度が高まっており、住宅価格が急速に上昇しています。東京方面、大阪方面の人たちや海外の投資家なども強い関心を示し、地元の平均的な年収の人たちには手が届かないような価格帯に上がりつつあります。そのため、先にみたように、【フラット35】を利用した人たちの世帯年収では東京都より高くなってしまっているほどです。

なお、全国で最も所要資金額が少なかったのは秋田県の2,803.6万円で、鳥取県や群馬県などが続いています。秋田県の所要資金額は東京都の62.7%にとどまります。
ちなみに、全国平均は3,574.8万円で、5位の広島県の3,546.0万円より高くなっています。それだけ、トップの東京都の価格の高さが、平均値を引き上げていると言っていいでしょう。

(資料:住宅金融支援機構「2018年度フラット35利用者調査」)

東京都で買った人たちの手持ち資金は少ない

所要資金額の平均は3,574.8万円でしたが、それに対していくらの手持金、つまり、いくらの自己資金を用意しているのかといえば、図表4にあるように、平均では426.8万円という結果でした。自己資金割合の単純平均は11.9%ということになります。

その手持金が最も多いのは、富山県の673.4万円で、2位は石川県の634.6万円、3位が香川県の608.6万円となっています。

自己資金トップの富山県の所要資金額は3,494.2万円ですから、自己資金割合は19.3%です。全国平均の11.9%に比べるとシッカリと自己資金を貯めて、堅実な資金計画を立てていることが分かります。しかも、先にみたように、富山県の【フラット35】利用者の平均年齢は37.0歳と石川県に次いで低くなっています。若いうちから貯蓄を進め、堅実な資金計画でマイホームを取得する人たちが多いようです。

反対に、手持金、自己資金が一番少ないのは群馬県の265.7万円で、次いで岐阜県309.3万円、栃木県336.9万円が続いています。図表4をみれば分かりますが、5位にも埼玉県が入っていて、関東の各県で手持金が少ないままに取得する人たちが多い傾向がみられます。

(資料:住宅金融支援機構「2018年度フラット35利用者調査」)

マイホームの資金計画を日本一立てやすいのは富山県!?

手持金が最も多い富山県といえば、この「マイホームをめぐる日本一」シリーズの第1回で紹介したように、住宅の床面積が全国一広いことでも知られています。総務省統計局の「住宅・土地統計調査」の最新版によると、富山県の住宅の床面積の平均は143.57平方メートルで、2位の福井県の136.89平方メートルとの間には、6.68平方メートルの差があります。1畳を1.62平方メートルとすれば、4畳分以上広いことになります。

住宅の広さは、【フラット35】を利用してマイホームを取得した人たちにもあてはまります。富山県で2018年度にマイホームを取得した人たちの住宅面積の平均は126.9平方メートルで、やはり全都道府県で一番広くなっているのです。

富山県は、安全な資金計画で、比較的若いうちに、日本一広い住まいを手に入れることができる可能性の高いエリアといってよさそうです。

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