年間の新築一戸建ての供給戸数が最も多いのは、東京都の1万6,037戸ですが、一番少ないのは鳥取県の22戸でした。年間の供給数が100戸未満の県もあって、地域による供給戸数の格差がたいへん大きくなっています。価格も全国トップの東京都と最安値の青森県との間にはほぼ2倍の格差があって、どのエリアで買うのかによって新築一戸建ての購入事情は大きく異なってきます。
新築一戸建ての年間発売戸数が100戸未満の県もある
首都圏や近畿圏などの大都市部に住んでいると、新築一戸建ての売り出し現場がすぐ近くにあったりして、それがごく当たり前のように思ってしまいますが、地方に行けば、必ずしもそうとは限りません。
図表1にあるように、2019年の新規供給戸数をみると、最も少ない鳥取県は22戸で、次いで沖縄県30戸、鳥取県33戸と100戸未満の県が3県あります。ちなみに、島根県と沖縄県の2018年の実績はわずか6戸でした。こうしたエリアで新築の一戸建てに住むためには、なかなか条件に合う物件を見つけることが難しくなりますから、建売住宅ではなく、注文住宅を建てるのが現実的でしょう。
反対に、年間の供給戸数が最も多いのは東京都の1万6,037戸で、次いで神奈川県の1万5,401戸が続いています。2018年は神奈川県のほうが多かったので、2019年には東京都がトップの座を奪還したことになります。3位は愛知県で、上位5位までには近畿圏の府県は入ってきません。名古屋圏は三大都市圏の中でも、一番一戸建て志向が強いといわれますが、近畿圏の各府県より供給数が多いのは、そうした志向性の違いを反映したものでしょう。
東京都の平均価格は青森県のほぼ2倍の水準に
新築一戸建ての価格を、【フラット35】を利用して新築一戸建て(建売住宅)を買った人たちの平均取得価格でみてみると、上位5位と下位5位は図表2のようになっています。
最も高かったのは、一番供給数の多い東京都の4,522.0万円でした。次いで、神奈川県の3,937.0万円で、3位には三大都市圏の府県ではなく、沖縄県が3,441.5万円で入っています。
このところ、沖縄県の住宅は海外や全国から買われるようになっていて、価格が急上昇しています。沖縄県ではマンションが注目されていますが、一戸建ても別荘需要などが高くて、価格が上がっているようです。
反対に最も安いのは青森県の2,237.6万円で、東京都の半分以下の値段で新築一戸建てが手に入る計算です。次いで宮崎県の2,284.4万円など、全国を見渡すと2,000万円台の前半で手に入る県が少なくありません。
青森県なら総返済負担率16.7%で建売住宅が手に入る
ちなみに、【フラット35】のマンション購入資金利用者のうち、取得価格が一番高かったのは東京都の5,334.1万円で、2位は神奈川県の4,878.9万円でした。一方、最も安いのは香川県の2,595.0万円でした。全国的にみても、新築マンションより新築一戸建てのほうが安く手に入ることが分かります。
先にみたように、新築一戸建ての取得価格は青森県が一番安いのですが、年間の住宅ローン返済が年収に占める割合を示す総返済負担率をみると、その青森県が16.7%で最も低くなっています。次いで、佐賀県の18.2%、山形県の18.3%などが続いています(図表3)。
それに対して、総返済負担率が最も高いの東京都の24.8%で、2位は鳥取県の24.7%ですが、2018年度に【フラット35】を利用して鳥取県の新築一戸建てを買った人はわずか2人だけなので、極端に総返済負担率が高くなっています。これは、例外であり、17年度は20.5%でした。鳥取県の総返済負担率は、通常なら全国平均より低くなると考えていいでしょう。
住宅延床面積日本一の富山県が建売住宅もトップ
次に、新築一戸建て(建売住宅)の住宅面積をみると、図表4にあるように、富山県が118.1m2で最も広くなっています。国土交通省の『住宅・土地統計調査』では、住宅の延べ面積が最も広いのは富山県ですが、建売住宅だけに限定しても、やはり富山県がトップです。富山県では広い住宅が当たり前であり、一定の広さがないと建売住宅といえども買ってもらえないということなのかもしれません。
住宅面積の2位は石川県の114.4m2、3位は北海道の112.7m2といった結果でした。
一方、一番面積が狭いのはやはり最も価格の高い東京都の93.0m2でした。トップの富山県より25.1m2も狭く、1畳1.62m2とすれば、およそ15畳分狭いことになります。居室にすれば2部屋分、広めのリビング相当の広さに相当しますから、住み心地にも大きな影響がありそうです。
富山県では平均32.3歳で建売住宅を買っている
建売住宅を買っている人たちの年齢はどうなっているのかをみると、全国で最も年齢が低かったのは、図表5にあるように、富山県の32.3歳でした。2位は高知県の34.2歳、3位が石川県の34.8歳で、30歳代の前半で建売住宅を取得している県が3県あります。
反対に、最も年齢が高かったのは鳥取県の52.5歳でした。ただ、これは先の総返済負担率の項目でも触れたように、この年の鳥取県の調査対象件数が極端に少ないためであり、あまり参考にはなりません。
次いで京都府の42.6歳、和歌山県の42.5歳などが続いています。30歳代前半で買える県がある反面、40歳代にならないと簡単には買えない県もあって、建売住宅の購入しやすさは都道府県によって千差万別です。