新築マンションの広さ日本一はどこ?~マイホームをめぐる日本一(2)~

マイホームを巡る何でも日本一。今回は、新築マンションについて取り上げます。価格が一番高いのは東京都ですが、では一番安いのは? 東京都では4世帯に1世帯以上がマンション住まいですが、マンション住まいが100世帯に1世帯以下にとどまっている県は?
都道府県別のマンション市場をみてみましょう。

マンション住まいの世帯は全国では8世帯に1世帯

東京圏や大阪圏などの大都市部ではマンション住まいがごく当たり前になっていますが、実は、大都市圏でもまだまだ一戸建てが中心です。

東京カンテイでは、そのエリアの総世帯に対するマンション住まいの世帯の割合を、「マンション化率」として、マンション住まいの浸透度を調査しています。その最新の2019年のデータをみると、図表1にあるような結果でした。

トップは、東京都の27.60%で、2位が神奈川県の22.82%、3位が大阪府の19.65%となっています。全国平均は12.64%ですから、マンション住まいの世帯はおよそ8世帯に1世帯ですが、トップの東京都では、およそ3.6世帯に1世帯ということになります。

反対に、マンション化率が一番低いのは青森県の0.91%でした。つまり、青森県では、マンション住まいの世帯は100世帯に1世帯以下ということになります。都道府県によって、随分と違っているものです。
マンション化率が1%を切るのはこの青森県だけで、次に低い秋田県は1.43%になっています。

(資料:東京カンテイ:『マンション化率 都道府県』)

年によっては新築分譲がまったくない県もある

これだけの差がありますから、新築マンションの発売戸数にも大きな違いがあります。図表2にあるように、マンション化率が最も高い東京都が、年間発売戸数2万戸以上の断然トップで、2位は大阪府、3位が神奈川県となっています。順位は若干異なっているものの、マンション化率とベスト3の顔ぶれは同じです。

年間の発売戸数が最も少なかったのは、青森県の12戸でした。この年は発売戸数がゼロの県はなかったのですが、年によっては年間を通してまったく分譲マンションの供給がなかったということもあります。

東京圏や大阪圏などの大都市圏では、いまや新築一戸建ての発売戸数より、マンションの発売戸数のほうが多くなっているため、マンションが当たり前のように思いがちですが、地方圏ではまだまだマンション住まいは少数派で、一戸建てに住んでいる人のほうが圧倒的に多いのです。

(資料:東京カンテイ『マンションデータ白書2019』)

新築マンションを2,000万円台で買える県も多い

では、このマンションの価格、都道府県によってどんな違いがあるのでしょうか。
おおむね予想されることですが、東京都が全国でも最も高く、東京カンテイによる専有面積70平方メートル換算の平均価格は、図表3にあるように、2018年で7,686万円でした。2位は神奈川県の5,851万円で、3位が京都府の5,188万円といった順序でした。

近畿圏では、大阪府より京都府のほうが高くなっています。ひとつには、マンション供給の中心である京都市は景観条例が厳しく、高い建物が建てられないエリアが多く、どうしても1戸当たりの価格が高くなります。また、もうひとつ、京都市内のマンションは、首都圏の人たちが投資目的、また別荘などとして取得する割合が高く、首都圏並みの価格設定にしても売れるという供給側の判断もあるようです。
反対に、最も安かったのは香川県の2,477万円でした。地方圏では2,000万円台で70平方メートルのマンションが手に入る県も多いのですが、中でも唯一香川県は2,000万円台の前半で取得が可能となっています。

(資料:東京カンテイ『新築マンション年収倍率(2018年)』)

東京都では年収の13.30倍で、香川県は5.44倍に

価格に関連して、その都道府県の平均年収の何倍で70平方メートルの新築マンションを買えるかを割り出した東京カンテイの『年収倍率』によると、やはり東京都が13.30倍と日本一になりました。図表4にある通りです。

東京都の平均年収は578万円で、全国平均の448万円よりかなり高いのですが、それでも価格が7686万円と最も高いので、年収倍率もやはりトップになってしまいます。次いで、京都府の11.95倍、神奈川県の11.10倍と続いて、4位に沖縄県が入っています。

沖縄県はこのところ新築マンションの分譲地として全国的に注目度が高まり、価格が急上昇しています。それでいて沖縄県の平均年収は385万円と全国でも低いほうなので、年収倍率が高くなってしまうようです。

(資料:東京カンテイ『新築マンション年収倍率(2019年)』)

東京都の新築マンションの平均専有面積は60.5平方メートルに

以上でみてきたように、新築マンションの70平方メートル換算価格は東京都が最も高く、年収倍率も最高なのですが、だからといって東京都のマンションが住みやすいのかといったら、必ずしもそうとはいえないでしょう。

地価が高いために、価格は高くても、都心からの時間距離、物理的距離は遠くならざるを得ず、専有面積も狭くなってしまいます。

実際2019年度に、住宅金融支援機構が民間機関と提携して実施している、住宅ローンのフラット35を利用して新築マンションを買った人の専有面積の平均値をみると、図表5にあるように68.3平方メートルという結果でした。

都道府県別では、東京都が60.5平方メートルと最も狭く、それに神奈川県の68.4平方メートル、秋田県の68.7平方メートル、埼玉県の68.9平方メートルなどが続いています。下位は大都市部が中心ですが、唯一秋田県が入っているのは、この年、駅前にエリアとしては高額価格帯で、比較的専有面積の狭いマンションが供給されたためで、通常なら秋田県が専有面積の下位5位までに入ってくることは考えられません。
一方、最も専有面積が広かったのは石川県の85.9平方メートルで、次いで徳島県の85.0平方メートル、和歌山県の84.7平方メートルとなっています。

トップの石川県と、最下位の東京都との間には25平方メートル以上の差があります。1畳を1.62平方メートルとすれば、15畳以上の違いですから、住み心地にも大きな差が出てきそうです。

(資料:住宅金融支援機構『フラット35利用者調査(2019年度)』
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