毎日の暮らしをちょっと幸せにしてくれるおいしいパン。「絶品パンさんぽ」は、「365日、パンのことで頭がいっぱい!」というライター・斎藤若菜さんが、地元の人に愛されるとっておきのベーカリーをめぐる連載です。第5回は世田谷線沿線のパン屋へ。前編となる今回は、若林駅近くにあるベーカリーをめぐります。
世田谷線沿線ってどんなところ?
今回訪れたのは、「三軒茶屋」駅と「下高井戸」駅を結ぶ、東急世田谷線沿線。世田谷区の東部を横断する、東京都内ではめずらしい路面電車です。三軒茶屋駅と下高井戸駅以外は無人駅で、都心に近いエリアながらものんびりとした雰囲気が魅力です。
落ち着いた住宅街の印象が強い世田谷線沿線ですが、世田谷八幡宮や豪徳寺、松陰神社、世田谷代官屋敷といった散策スポットが点在し、グルメスポットも豊富。「世田谷ボロ市」が行われることでも有名で、多くの人が訪れる街歩きが楽しいエリアです。
世田谷線沿線は「パン激戦区」としても知られ、路面電車に揺られながらパン屋さんをはしごする人が少なくありません。今回は6つのお店を訪問しました。
夫婦二人三脚で営む「ラ・ブランジェ・ナイーフ」
まずは、若林駅から徒歩2分のパン屋さん「ラ・ブランジェ・ナイーフ」にうかがいました。
9割以上のパンに国産小麦を使用
シェフの谷上正幸さんは、恵比寿のメルカト・セブンクォーターや青山の紀ノ国屋ベーカリーなどで経験を積んで独立。中目黒に「ラ・ブランジェ・ナイーフ」をオープンしました。人気店として12年間営業を続けたのち、惜しまれながら閉店。他府県のカフェベーカリーのプロデュースなどを手がけた後、2015年に若林で同店を再開しました。
店名の「ナイーフ」はフランス語で「素朴」を意味します。同店では、バゲットやカンパーニュといったリーンなパン(油分が少ないシンプルな材料で作るパンのこと)から、ブリオッシュや店名を冠した「パン・ド・ナイーフ」のようなリッチなパンまで、幅広いパンを取り揃えています。また、日々進化を続ける中で、9割以上のパンを国産小麦に切り替えたそうです。「小さな子どもからお年寄りまで安心して食べられるパンを提供したい」という志が変わることはありません。
ショーケースの上に並ぶ、バラエティ豊かな食パンの数々
食パンは、しっとり・ふんわりとした食感と口どけのよさが特徴の「パン・ド・ミ」や、年齢を問わず支持されている山型の「イギリスパン」740円(1/4 190円、1/2 370円)が人気。高加水(水分量が多い)でしっとりもちもち、押麦・アマニ・ひまわりの種・キヌアといったスーパーフードが入った自家製天然酵母食パン「シリアルブレッド」(画像中央)1,040円(1/4 270円、1/2 520円)は家庭ではなかなか再現できない味わいです。地名を冠した「若林ブレッド」(画像左)490円(1/2 250円)はフランスパンに近い味と香りで、もっちりとした天然酵母パンですが、トーストするとカリカリの食感を楽しめます。
全粒粉の「オーガニックぶどうパン」はもっちりとした食感。オーガニックレーズンの含有量は、何と40%とのこと。同じ生地を使った「グラハムブレッド」は独特のクセを、甘さを加えることで抑えています。取材時は売り切れでしたが、このほかにもしっとりふわふわのブリオッシュ食パン「たまごパン」もあり、豊富なラインナップから選ぶことができます。
人気のルバンシリーズや、ドイツ・イタリアのパンも取り揃え
「ラ・ブランジェ・ナイーフ」では、メロンパン(130円)やあんぱん(160円)など100円台のパンから400円台をメインとしたルバン系のパン、プンパニッケルやパネトーネなど1,000円を超えるパンまで、幅広い価格帯のパンを販売しています。国産小麦のもっちり・しっとりとした味わいのパンが中心ですが、外国産小麦ならではの力強さを活かしたパンも販売しています。
午後には売り切れの商品が増えていきますが、昼ごろに来店すれば、棚にいっぱいのパンが並んでいることが多いとのこと。充実したラインナップの中から商品を選びたければ、昼頃に来店するのが良さそうです。
ラ・ブランジェ・ナイーフ
住所:東京都世田谷区若林3-33-16 第一愛和ビル1階
営業時間: 10:00~18:00
定休日: 火・水曜(臨時休業あり)
公式HP:https://naif.amebaownd.com/
地元の人々に愛される、商店街のパン屋さん「ピーターセン」
続いて、若林駅から徒歩1分の「ピーターセン」へ向かいました。
100~200円台のリーズナブルなパンが中心
「ピーターセン」という店名は、オーナーの師匠のそのまた師匠であるデンマーク人の名前からとったとのこと。オーナーが1人でパンを製造しています。総菜パンは8:00~9:00、食パン類は11:30頃に行けば、焼き立てを購入できるそうです。
価格は100~200円台が中心。「あんパン」や「塩パン」といった定番商品から、ドイツ版ドーナツ「クラプフェン」まで豊富な品揃え。取材日は残念ながら販売日ではありませんでしたが、土~火曜限定販売の「カンパーニュ」もおすすめだそうです。
定番商品を気に入って定期的に買いに来る常連客も多いとのことで、毎朝揚げているカレーパンも人気のパンのひとつ。子どもでも食べやすい、トマトベースのカレーが入っている「ビーフカレーパン」(180円)と、辛口のチキンカレーが入っている大人向けの「辛口カレーパン」(180円)から選べます。
イートインスペースではコーヒーサービスを利用可能
ピーターセンには、イートインスペースとしてテーブルが2つ用意されています。パンを購入した人にコーヒーの無料サービスを行っていることも、うれしいポイント! 朝8:00から営業していることもあり、パンとコーヒーで朝食をとりに来る人もいるとのこと。地元の人がうらやましいですね。
ピーターセン
住所:東京都世田谷区若林4-6-1
営業時間:8:00~18:00
定休日:木曜
公式HP:https://www.facebook.com/petersen0211/
Twitter:https://twitter.com/petersen0211
次回、中編では行列のできる有名店や絵本から飛び出したようなパン屋さんをめぐります。お楽しみに!
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