私たちの生活にとって欠かせない家電。家電で時間を産む「時産」を提唱する、インテリア&家電コーディネーターの戸井田 園子さんに、連載形式でこれから住宅購入を考える方に向けての「家電計画」の極意を教えていただきます。第三回目となる今回のテーマは空気の「質」。
花粉やPM2.5対策、共働きなどで、窓を開けての自然換気が難しい方も多いのではないでしょうか。住まいのためにも、健康のためにも、室内の空気環境を整えることは大切です。空気清浄機や除湿機、加湿器などの空調家電の力を使って、空気の質を向上させましょう!
前編では、空調家電の役割の違いと選び方をご紹介しました。この後編では、置き方のポイントと最新のデザイン事情、さらにインテリアにこだわりのある方必見の、デザイン性の高い機種もご紹介していきます。
購入前に知っておきたい、置き方のポイント
お悩みや室内環境にあわせて必要な空調家電を選んだら、次に考えたいのは置き場所です。空気清浄機、除湿機、加湿器それぞれ、置き方のポイントが異なります。機能を最大限に活かす置き場所や、使い勝手を良くする置き方など購入前にチェックして、あらかじめ置き場所を検討しておくと良いでしょう。
空気清浄機の置き方
空気清浄機は室内の空気を循環させて空気中の汚れを取るものなので、空気がスムーズに循環する場所に置くことが大事です。例えば、部屋の出入り口や玄関など、汚れが侵入する最前線で吸い込める場所に置くと効果大!
また、エアコンとの位置関係も重要なポイントです。エアコンから吹き出す温風・冷風の気流を妨げることなく、空気の循環がスムーズになる場所を意識して置きましょう。家具レイアウトを検討する際に置き場所を厳選し、コンセントと合わせて空気清浄機のスペースをあらかじめ確保しておくことがおすすめです!
除湿機の置き方
除湿機の設置スペースは、A4〜B4用紙の面積程度が必要となるものが多く、高さは70cmほどです。ただし、必要なスペースは、衣類乾燥が目的、水回りの除湿が目的、エアコンのない空間に置きたいなど、使用目的やどのように使いたいかによって変わってきます。
例えば衣類乾燥がメインなら、洗濯物を干すスペースと合わせて検討しましょう。洗面所や納戸などの湿度を取りたいなら、狭い空間に置けるかどうかがポイントになります。置きたい場所にコンセントがあるかどうかも、事前に確認しておく必要があります。
また、除湿機は排水が必要な家電なので、タンクに溜まった水を捨てる場所までの動線も事前に配慮しておくと良いでしょう。季節により使用しないシーズンがある場合は、収納場所の確保も忘れずに。
加湿器の置き方
加湿器は前編でご紹介したようにスチーム式や気化式、超音波式など様々な方式があります。それぞれの特性を踏まえて、置き場所の検討をしましょう。
スチーム式や気化式は、空中に放出される水分が細かく軽いため、部屋全体に広がりやすいのが特徴。超音波は粒子が大きめで早く床に落ちてくる傾向があるため、吹き出し口は高い位置にある方がミスト部屋全体に広がりやすくなります。テレビやパソコンなど、精密機械のそばに置くのは避けてください。
また、加湿器は給水が必要な家電です。水タンクの背の高さによっては、洗面所で給水できないこともあります。給水場所までの動線や、水道の高さなども含めて検討しましょう。
気になるデザイン事情&注目機種もご紹介
空調家電を取り入れる人が増え、空気清浄機などは一家に一台から「一部屋に一台」の時代になりつつある今、インテリアとの相性も気になりますよね。
最近では、機能性だけでなくデザイン性の高い製品も増えています。空調家電の最新デザイン事情と、インテリアのポイントにもなるおしゃれな注目機種をご紹介しますので、選ぶ際のご参考になさってください。
空気清浄機のデザイン
通年で使用し、出したままにする家電なので、デザインにも気を配りたいですね。
最近では、木目や布などの素材、カラーバリエーション、部屋の大きさとのバランスも含めてインテリアに馴染むデザインの製品が多くなり、選択肢が増えています。
加湿空気清浄機より単機能特化型の方が、デザイン性が高い傾向あります。インテリアアイテムのひとつとして、吟味しましょう。
【注目の機種】
(1) Electrolux:「Pure A9」
シンプルな北欧テイストで、ファブリックを使った本体は今までにないデザイン。世界3大デザイン賞のひとつである、ドイツの「Red Dotデザイン賞2020」を受賞しています。家電に見えないデザイン性の高さで、インテリアにこだわりたい人におすすめです。
※詳しく知りたい方は「空気清浄機 :Electrolux Japan」ホームページを参照
(2)日立:「EP-VF500R」
空間に調和するデザインは、プロダクトデザイナー・深澤 直人氏によるもの。2019年度「グッドデザイン・ベスト100」に選出されています。
※詳しく知りたい方は「空気清浄機 :日立の家電品」ホームページを参照
除湿機のデザイン
除湿機はエアコンのある居室ではなく、水回りや洗濯干しスペースなどで使うことが多いもの。そのため機能重視の製品が多く、洗練されたデザインが少ないジャンルといえます。
そんな中でも、インテリアにこだわる方も納得のデザイン性の高い製品をご紹介します!
【注目の機種】
cado :「ROOT 7100」
スーツケースのような見た目で、すっきりとシンプルな、出したままでも美しいデザイン。
キャスターの動きもスムーズで、移動しやすいのもポイントです。
※詳しく知りたい方は「除湿器 :cado」ホームページを参照
加湿器のデザイン
卓上に置ける小さなものから、床置きの大きなものまで、大きさはいろいろ。スタイリッシュなデザインのものも増えていますが、加湿器は手入れが命です! 清潔に保たないと、かえって空気の質を低下させることになってしまいます。デザインだけでなく、メンテナンスの方法やお手入れのしやすさも、しっかり確認しましょう。
【注目の機種】
(1)ダイニチ:「RXシリーズ」
どんなインテリアにも馴染む、スクエア型ですっきりしたデザイン。抗菌仕様で、お手入れもしやすい構造も嬉しいポイントです。
※詳しく知りたい方は「加湿器:ダイニチ工業株式会社」ホームページを参照
(2) cado:「STEM 630i」
印象的なデザインで、一躍有名になった加湿器。生活感を感じさせたくないスタイリッシュな空間にこだわりたい方にぴったりです。給水も清掃もラクラク。
あたたかみのあるインテリアにも馴染むデザイン。
※詳しく知りたい方は「加湿器 :cado」ホームページを参照
おまけ:「空間除菌」という新しいカテゴリーも登場!
最近は、ホコリを取り除く空気清浄ではなく、「空間洗浄」を謳う新しいタイプも登場しています。
給水トレイに塩を入れて電気分解することで、除菌作用のある「次亜塩素酸」を生成。空気中に放出することで、室内に付着した菌やニオイを洗浄し、除菌・ウイルス抑制が期待できるというもの。空気清浄機とは異なる新しいタイプとして、人気が出ています。通年家電として、レイアウト計画に含めたいですね。
【空間除菌の注目機種はこちら】
パナソニック「ジアイーノ」
ペットのいる家庭では動物特有のニオイや排泄臭を洗浄脱臭、赤ちゃんのいる家庭では次亜塩素酸で菌・ウイルスを抑制。空間除菌で毎日を清潔、快適に!
「ジアイーノ」は、水道水と塩を電気分解することで「次亜塩素酸」を生成。高い除菌効果を発揮しつつ、安全性にも配慮した濃度でつくることができる。
※詳しく知りたい方は「次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」:Panasonic」ホームページを参照
まとめ:空気の質もデザインもこだわって、快適な室内空間に!
空気清浄機、除湿機、加湿器などの空調家電は、さまざまなタイプ、製品、デザインのものが出てきており、選択肢が豊富にあります。
前後編でご紹介した、空調家電の役割の違いや選び方、置き方等を参考に、ぴったりの製品を見つけてください。空気の「質」を向上させて、毎日を気持ち良く快適に過ごしましょう!
(最終更新日:2020.05.01)