【新型コロナ】住宅引き渡し遅れ原因「キッチン・トイレ」が最も影響

新型コロナウイルスの感染拡大により、7都府県を対象に発表された緊急事態宣言、小中学校の臨時休校や企業の在宅勤務・テレワークの導入など、各分野で様々な対策が取られています。経済の分野では、中国の生産活動が停滞し、特に建設業界で資材や建設設備などのパーツが国内メーカーに届かないことから納期の遅れが発生するなど、大きな影響が出ているようです。このことは、消費者にはどのような変化をもたらすのでしょうか。

約7割の工務店が新型コロナの影響ありと回答。工期の延期が発生

工務店業務のサポートするITソフト「AnyONE」を提供するエニワン株式会社は、工務店経営者1,067人を対象に「新型コロナウイルスによる工務店への影響調査」を実施しました。新型コロナウイルスの影響を受けているかを尋ねた質問では、74.2%の工務店経営者がい影響を「受けている」と回答しました。

出典:エニワン株式会社「新型コロナウイルスによる工務店への影響調査」

具体的な影響を尋ねたところ、「設備機器・建材の納期遅れ」53.6%が最も多く、次いで「契約のキャンセル」48.5%、「契約の延期」38.5%、「着工先延ばし」37.9%、「着工現場の工期延長・引き渡し延長」24.7%と続きました。やはり、中国で生産されたパーツが国内メーカーに届いていないことが、工期に少なからず影響を与えていると考えられます。

工事中断や、設備が揃わなくても完了検査を実施する場合も

では、具体的にどのようなものに影響が出ているのでしょうか。

納期遅延が発生している設備機器を尋ねたところ、「システムキッチン(ビルトイン食洗器等)」と「トイレ設備」が65.2%と最も多く、同じく住宅建材について尋ねたところ、「建具・サッシ」が64.0%、次いで「フローリング・床材」が50.0%、「階段回り」が32.0%と続きました。

出典:エニワン株式会社「新型コロナウイルスによる工務店への影響調査」

どちらも住むうえでは欠かせない設備であることから、工事がストップするという事態も発生しているようです。そこで国土交通省は、一部の設備や建材が未設置であっても、建築基準法に基づく完了検査を実施可能とする支援策を発表しました。しかし、住宅設備が完全に揃っていない状態での完了検査は施主にとって、納期未定の状態が続いたり、そのまま対応が放置されてしまったりといった不安がつきまとうもの。そのため口頭で了承することは避け、合意書を交わすなど、書面に残してもらうことが重要です。

では、工務店経営者は、住宅設備がない状態での完了検査について、どのように施主の合意を得ているのでしょうか。エニワンの調査では次のような結果になりました。

出典:エニワン株式会社「新型コロナウイルスによる工務店への影響調査」

「工期の延長、引き渡しの延期」48.8%が最も多く、「代替商品への変更」31.1%、「未完成のまま、または仮の設備を取り付けて、一旦引き渡す」29.7%、「費用の減額」20.8%と続きます。一方、合意の得られていない工務店もまた、「予定と変わらないよう進められるだけ進めている」(20代/女性)、「現時点での見通しを連絡し、適宜状況を伝えている」(30代/男性)などの対応を取っており、住宅設備がない状態での完了検査を行うために、なんらかの対応をとる工務店が多いようです。

まとめ

工期が遅れ、予定通りに新居に入居できない場合、子どもが新居の学区の学校に通学できなくなる、今住んでいる賃貸住宅の契約更新費用が発生するといった、さまざまな影響が予想されます。なかでも、2020年末までに入居できない場合、住宅ローン減税拡充の適用が受けられなくなることは、購入者にとって大きな痛手となりそうです。こうした現状を受け、政府は4月8日に発表した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)」において、新型コロナウイルスの影響で2020年12月末までに入居できなかった場合も住宅ローン減税拡充の適用が受けられるよう、適用要件の変更を盛り込みました。新居を予定している人は、焦らず政府の正式決定を待ちましょう。

【調査概要】
『新型コロナウイルスによる工務店への影響調査』
調査期間:2020年3月24日(火)〜2020年3月26日(木)
調査方法:インターネット調査
調査人数:1,067人
調査対象:工務店経営者
モニター提供元:ゼネラルリサーチ


ニュース提供元:PRTIMES
情報提供元:エニワン株式会社

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