「親の介護」実際どうしている⁉ 介護経験者が語る「家族会議」の中身

少子高齢化が一段と進行している現在、高齢の家族の介護はだれにとっても身近な問題。いざ現実のものとなれば、在宅で介護するのか施設に任せるのか、費用はどうすべきかといった様々な決断に迫られてしまいます。いざという時、速やかに適切なサポートを受けられるよう、両親や兄弟姉妹を交えて前もって相談しておきたいものです。

そこでARUHIマガジン編集部では「親の介護に関するアンケート」を実施。介護経験者がどのように介護に向き合っているのかを紹介します。

回答者の4人に1人が介護経験あり

まず、親の介護経験の有無について尋ねたところ、合わせて23.6%の人が実父母あるいは義父母のだれかを介護した経験があることがわかりました。

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“必要に迫られて”介護について話し合う!?

続いて、親の介護について家族で話し合ったことがあるかどうかを質問したところ、40.0%の人が「ある」と回答。その時期やきっかけについては次のような声が寄せられました。

[時期]
・子どもたちが外に出て夫婦での生活になったとき(50~54歳・女性)
・親が64歳になったとき(40~44歳・男性)
・親が77歳、自分が54歳(60~64歳・女性)

[きっかけ]

・育児が一段落して、これからの生活について考えるきっかけとなった(50~54歳・女性)
・親の脳出血(40~44歳・男性)
・父が認知症になったので(65~69歳・女性)
・親が認知症と診断された(60~64歳・女性)
・父が体調を崩し入院したから(40~44歳・男性)

子育てが一段落したタイミングや親の年齢により、介護が必要になる前に話し合いを持った人がいる一方で、脳出血や認知症など、実際に介護が必要となってから話し合いを持った人も見受けられます。

また、親の介護について家族で話し合ったことが「ない」と答えた59.1%の人にも、同様に話し合うタイミングについて尋ねたところ、「母の体力が著しく落ちたら」「親が倒れたら」といった回答が目立ったことから、必要に迫られてから話し合いを持とうと考える人が少なくないことが伺えます。

家族会議の話題の中心は“介護形態”

親の介護について家族で話し合ったことがあると答えた方に、その内容について尋ねると、「在宅介護について」63.6%、「介護サービスの利用について」52.3%、「利用施設について」50.0%と、介護形態への関心が高い結果になりました。

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また、話し合いの結果、家族のだれが中心となって介護を担うことになったかについては、回答者自身が29.5%、実兄弟姉妹が25.0%、介護対象者の配偶者である実母が15.9%、実父が6.8%という結果になっています。理由として最も回答が多かったのは「介護対象者の実子だから」で47.7%。次に「同居(近居)しているから」が34.1%となっており、心理的にも物理的にも“近い”ことが介護を担う決め手となっているといえそうです。

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介護費用は“親のお金”で捻出

(公財)生命保険文化センターが2018年12月に発行した「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護経験者が介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は1ヵ月平均7.8万円となっています。では、介護経験者は、この金額をどのように捻出しているのでしょうか。
今回のアンケートで介護費用をどのように賄っているかを尋ねたところ、「親の老後資金」と答えた人が68.2%と圧倒的多数。自由回答でも「親の年金」という声が複数寄せられていることから、子世代の負担はそれほど重くないと考えられます。

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スケジュール調整や意見の取りまとめなど、話し合いがうまくいかないケースも

なお、介護についての話し合いで困ったことについては「話し合いのタイミングとスケジュール調整」(50~54歳・女性)という声が寄せられており、親兄弟姉妹それぞれに忙しく、一度に顔を合わせる機会を持ちにくいことが想像できます。また、話し合いで困ったこと、話し合っておけばよかったと思うことの両方に「役割分担」(40~44歳・男性)、「兄夫婦との意見の相違」(65~69歳・女性)と回答している人がいることから、結論が出せないまま介護が始まったケースも少なくないようです。

まとめ

内閣府が発表した「令和元年版高齢社会白書」によると、2018年10月1日現在の日本の人口1億2,644万人のうち65歳以上の人口は3,558万人、割合にして28.1%となっています。さらに、65歳以上の人がいる世帯数は全世帯数の47.2%となっており、1980年以降、多少の増減はあるものの緩やかに上昇し続けています。そんななか、2025年にはいわゆる団塊の世代が後期高齢者となることから、政府は社会保障改革を推進。“病院から在宅へ”というビジョンも掲げています。来るべき将来に備えて、家族で介護の在り方を考えてみてはいかがでしょうか。

【参考】
(公財)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査

内閣府「令和元年版高齢社会白書(全体版)」(PDF版)

厚生労働省「今後の社会保障改革について―2040年を見据えて―

【調査概要】
調査実施日:2020年3月
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳以上の男女110人(男性56人、女性54人)

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