新年度に入っても日々激動と呼べる日々が続いています。新型コロナショックはいつ終息の方向性が見えてくるのか、五里霧中とはまさに現在のような状態のことをいうように感じます。先行きの予想はなかなか当たるものでもないのですが、株価は先見性があるといわれます。
株式市場がどのように動いているのかは、株式投資をしていない人も見ておくとよいでしょう。
株はどのように動いた?
短期的な売買を考えていない人は、それほど毎日の株価変動を気にする必要はありませんが、週間ベースや月間ベースで株価がどのように動いたのかは見ておいてもよいでしょう。
東証一部の主要225銘柄の株価をもとに算出されている日経平均株価でいうと、2020年2月の1ヶ月間の動きはこのようになります。
始値22,874円(2月3日の最初の値段)
高値23,995円(2月6日)
安値20,916円(2月28日)
終値21,142円(2月28日の最後の値段)
1ヶ月で1,700円ほど下げたことがわかります。
そして3月の1ヶ月間の動きはこちらです。
始値20,849円(3月2日の最初の値段)
高値21,719円(3月3日)
安値16,358円(3月19日)
終値18,917円(3月31日の最後の値段)
1ヶ月で1,900円ほど下げたことがわかります。2月の頭からだと4,000円近く下げたことになります。
下のグラフ(株価チャート)は、平成バブルのピーク(1989年12月)から2020年3月までの日経平均株価の月足チャート(1ヶ月の株価変動)です。
移動平均線というのは、直近の月足終値から遡って一定期間(2年、5年、10年)の終値の平均値をグラフにしています。2020年3月時点では、2年移動平均が21,892円、5年移動平均が20,250円、10年移動平均が16,113円となっています。
2月と3月の動きを見ると、2月に2年移動平均を下回り、3月には5年移動平均を下回っています。そして、3月の安値16,358円は、ギリギリ10年移動平均(16,113円)の少し上のところで下落が止まって上昇に転じていることがわかります。
新型コロナウイルスが与える影響
このような株価チャートなどを使って株価の分析をすることをテクニカル分析といいますが、テクニカル的には10年移動平均が下支えしてくれたようなかたちに見えます。10年という長期的な視点に立てば、2013年あたりから続いている上昇トレンド(10年移動平均線の上方で株価が推移している状態)は崩れていないと判断することもできます。
とはいえ、新型コロナウイルスの日本経済に対する悪影響がどの程度のものになるのか、まだまだ正確には全く読めない状態です。すでにさまざまなところに悪影響が及んでいることは周知の事実でしょう。東京五輪の延期も決まり、2020年に期待していた経済効果は消えました。2021年に開催されればよいですが、それさえも延期や中止という話になれば、さらにマイナス効果となることは確実です。
今後も経済対策は次々に打ち出されるでしょうが、体力のない中小零細企業の破綻は相次ぎ、大企業でさえも破綻するところが出てくるかもしれません。このまま終息への方向性が見えない状態が続けば、そうなるのも時間の問題でしょう。
現在の株価水準は、市場参加者である個人投資家や機関投資家が、今後の見通しをそれぞれが想定しながら投資行動を行った結果として形成されています。だからこそ、株価には先見性があるといわれるわけです。通常は、半年先から1年先を織り込みながら動いているといわれます。
しかし、あえて個人的な見通しを書かせていただくと、まだまだ今後の企業業績の悪化はきちんと織り込まれていないと思います。今後、各企業が受けた打撃の度合いが明らかになるにつれ、その業績の落ち込みの大きさに対するショック的な株価下落が待っているような気がしてなりません。こんな予想は、ハズレてくれたほうが嬉しいのですが、まだまだ下落の第2波、第3波がやってくるように思えるのです。
歴史をひもとくと、1929年ごろに起きた世界大恐慌のときには、アメリカの株式市場の指標であるNYダウが1932年まで約3年間で9割近く下落し、元に戻るまでには約25年の期間を要しました。今回とは要因が全く違うので、単純に比較することはできませんが、そのような悲惨な状態にならないことを祈るばかりです。
まとめ
暗い内容ばかり書いてしまいましたが、4月からの新年度相場が始まります。4月の1ヶ月間の動きはどうなるのか。「相場は相場に聞け」という投資の格言もあります。どう動くかは誰にも正確にはわかりません。
とはいえ、株価の変動を見ながら、投資家心理を想像してみるのも面白いものですので、ぜひ、見守ってみてください。