【新型コロナ】正しい「換気」を実践している人は3割、注意するポイントは?

新型コロナウイルスの感染が世界的に広がる中、感染予防対策の一つとして室内換気に対する関心が高まっています。住居の設備に関するトータルサービス「iecon」を提供する株式会社CoLifeによると、「24時間換気システム」に用いられる「換気口フィルター」の2020年2月の出荷枚数は、昨対比120%を超えているようです。
しかし、同社が東京都に住む30代以上の男女1,000人を対象に実施したアンケート調査によると、24時間換気システムの正しい利用法やメンテナンス法は浸透していない様子が明らかになりました。

換気の主流は「窓を開ける」こと。しかし、こまめに行っている人は少ない

株式会社CoLifeが実施した調査によると、室内を換気する場合に行うこととして最も多かったのは「窓を開ける」62.1%でした。次いで「(レンジフードや浴室・トイレの)換気扇をつける」が18.6%、「(部屋や玄関の)ドアを開ける」が3.8%、「(壁などに設置されている)換気口を開ける」が2%という結果になっています。
また、1日に換気を行う頻度に関しては、「1日に1回程度」が45.3%と最も多く、2位は「半日に1回程度」30.8%でした。

 【室内を換気する場合に行うこと】

株式会社CoLife調べ

【室内の換気をする頻度】

株式会社CoLife調べ

2020年2月28日に厚生労働省が発表した「新型コロナウィルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)」では、感染予防対策として日中のできるだけの換気が推奨されていますが、CoLifeの調査では実践できている人は少ないようです。

その理由としては、窓を開けることによる室内温度の低下や花粉の侵入、子どもだけが在宅する場合の危険性などが推測できます。こうした不安を軽減しつつ、手軽に換気ができる方法として、24時間換気システムへの関心が高まっていると考えられます。

24時間換気システムとは?

24時間換気システムは、換気口から外気を取り込み、2時間ごとに居室の空気を入れ替える設備です。壁紙やフローリングなどの接着材に含まれる、ホルムアルデヒドなどが原因で起こるシックハウス症候群を防ぐことを目的に、2003年の建築基準法の改正によって住宅をはじめ全ての建築物の居室に設置が義務付けられました。

24時間換気システムをより効果的に活用するために重要なポイント

2003年以降は24時間換気システムを備えた住宅が増えているものの、その利用法やメンテナンス法を正しく理解できている人はまだまだ少ないようです。

「24時間換気システムについて、換気口を常時開けておくことが必要だと知っていましたか」という質問では、「知っていた」人が35.3%だったのに対し、「知らなかった」52.3%または「換気口がついていないと思う/わからない」12.4%と答えた人は合わせて64.7%に上りました。換気口は、外気を室内に取り込む役割を持つため、台風など非常時以外は開けたままにしておくことが重要です。

【換気口を常時空けておく必要があることの認知度】

株式会社CoLife調べ

換気における注意点とよく誤解すること

前途の通り、新型コロナウイルス感染対策のひとつとしても「換気」は重要だということは分かったのですが、換気について一部注意や誤解しやすい点もあるようです。ここからは3月23日に発表された日本建築学会や空気調和・衛生工学会の見解を一部ご紹介いたします。

1:換気の回数

「換気回数2回/時」という言葉は「1時間に2回窓を開けること」と誤解されることが多いそうですが、換気回数は1時間に部屋に入る外気量(立米)を室容積(立米)で割ったものあり、空気の入れ替わりのスピードを表す指標です。換気回数は空気が入れ替わる時の入口や出口の大きさ、部屋自体の大きさによって決まりますが、換気回数が大きいほど汚れた室内の空気を外気で希釈し速く入れ替えることが可能になります。

(換気回数については今後さらに詳しい解説を情報発信するとのことです。)

2:自然換気だけでなく機械換気も

換気は、大きく分けて窓を開けて行う「自然換気」とファンなどを用いる「機械換気」があります。窓のある建物や乗り物では積極的に窓を開けて外気を取り込むことが有効ですが、自動車などでは「内気循環モード」ではなく外気を取り入れるモードにすることも有効とのこと。このとき吸気口・排気口がふさがれていないか確認することが大切です。

3:窓のない部屋での換気、エアコンは換気ではない

オフィスビルなどでは、窓のない部屋でも換気が可能な空調設備で室内環境が維持されます。外気を取り入れると冷暖房効率は悪くなりますが、業務に支障がない範囲で、外気取入量を増やすなどの対策を講じることが可能です。通常の家庭用エアコンやパッケージエアコンは空気を循環させるだけで換気を行っていません。エアコンをオンにしているから大丈夫というわけではなく、エアコンしかない部屋では窓開け換気を行うか、換気システムを運転することが推奨されています。

4:空気清浄機は効果ある?

一般的な空気清浄機については、通過する空気量が換気量に比較して少ないことから、部屋全体に対して新型コロナウイルス対策に十分効果があるかどうかは不明とのこと。空気清浄機にも幅があるため、空気清浄機だけに頼るのではなく、通常の換気を行うことが推奨されています。

以上、日本建築学会や空気調和・衛生工学会「新型コロナウイルス感染症制御における「換気」に関して 緊急会長談話」より一部抜粋
PDFファイル:https://www.aij.or.jp/jpn/databox/2020/200323.pdf

(最終更新日:2020.04.13)
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