プロは厚手を「おばけ干し」、スピーディーに乾く洗濯物の干し方

慌ただしい朝の洗濯物干しや疲れて帰宅した夜の洗濯物の山から解放されたい。毎日の洗濯物にかけていた負担を減らし、なおかつ時短で乾かすことができたとしたら?
また浴室乾燥機がない、あってもなるべく使用しないで電気代を節約したい、けれどもできるだけ早く乾かしたいという人に向けて、時短家事コーディネーター(R)Basic認定講師・瀧熊 栄美香さんオススメの、洗濯物の効率的な干し方を伝授します。

洗濯物が乾くための条件

洗濯物はサイズ、素材、形状など様々ですが、乾くスピードに大きく影響するのが「温度」「湿度」「風」の3つです。

温度:高いほうが乾きやすく、湿度は低いほうが水分を速く蒸発させる

湿度
:50%を超えている場合では空気中の水分量が多く、洗濯物が乾きにくくなる

:繊維の中に空気が通ると水分や湿度が拡散されやすくなるため、風通しが良いと速く乾く

例えば気温が同じ10度の日でも、曇りで無風だとなかなか乾きませんが、お天気で心地よい風が吹いている日だと洗濯物は乾きやすくなります。

では具体的にどのようにすれば洗濯物を効率よく乾かし、なおかつ負担を減らことができるのでしょうか。

アプリとハンガーとハンガーラックを活用

まず洗濯物は朝干す、という固定観念を捨てることが時短へのスタートです。翌日が晴れなら夜のうちに屋外に洗濯物を干しておけば寝ている時間を使って洗濯物を乾かすことができます。

そのため、翌日の天気をチェックするために洗濯指数と服装指数が確認できるサイトをスマートフォンのホーム画面に追加しておきます。家族で明日の天気をチェックする習慣をつけましょう。次に用意するのは洗濯物を干すためのハンガーです。100円ショップやクリーニングに出した衣類に付いていたものでOKです。

さらに、屋外に干していた洗濯物を一時的に吊るしたり、室内干しに使うハンガーラックを洗濯物の量に応じて適当な数を用意します。ホームセンターなどで2,000円程度で購入できる移動可能なもので結構です。

ハンガーと室内干し・待機用のブティックハンガー

早く帰宅した人が洗濯物を取り込む習慣を

次に、家族の中でその日に一番早く帰宅した人が洗濯物を取り込むというルールを作りましょう。取り込んだ洗濯物は室内に用意したハンガーラックにそのままかけておいてOKです。

夫婦共働きなら、帰宅時間を目安に洗濯物が洗い終わるように洗濯機のタイマーをセットしておきます。夕食が終わったタイミングで洗濯物をハンガーにかけ、屋外の洗濯竿に干します。10㎝程度の間隔を空けると風通しが良くなります。竿が2本になる場合はハンガーが重ならないよう互い違いに干します。洋服もバスタオルもハンガーで干して構いません。小物用のピンチ付き角ハンガーは室外と室内でローテーションして使えるよう2セットあると便利です。

洗濯物は洋服もバスタオルもハンガーでOK。ハンガーのまま戻せば畳む手間も省けます。物干竿を2本使って重ならないようそれぞれ10㎝ほどの間隔を空け、互い違いに干していきます

一方、帰宅時に取り込んでおいた洗濯物はハンガーのまま各自のクローゼットに収納します。小物などは家族分のかごを用意し分別したものを、各々畳んで収納するようにします。こうすると家族の誰か一人だけが洗濯に追われることもなくなります。また、アイロンは明日着る物だけをその都度かけるようにすれば大きく時間を割かれることもないでしょう。

ハンガーのまま取り込んで、ハンガーラックに。あとは各自で自分のクローゼットへ

早く乾く干し方とは

ハンガーを活用して洗濯物を干す際に、効率よく乾かすためのちょっとしたコツをご紹介します。

布地が重なるシャツの襟:立てて干す

スウェットの袖口のリブ部分
:くしゃくしゃにせずきれいに伸ばしておく

厚手のパーカー
:ハンガーを2本使い袖下に風が通るように干す“幽霊干し”が効果的

パーカーなどは“幽霊干し”をすると乾きやすい

靴下や下着などをピンチ付きの角ハンガーに干す場合は外側に丈の長い物、内側に短い物といった具合にアーチ型を意識して干すと空気の流れが生まれ、効率よく乾きます。

急いで乾かす必要のある時は以下方法がおすすめです。

・アイロンをかける
・室内干しの際に扇風機の風を当てる

エアコンや除湿器などを活用する花粉が気になる場合は洗濯物全体を薄手のシーツなどで覆って干し、取り込む際にシーツのみ入念に花粉を払うようにすると効果的です。

ちょこっと洗いで時短

「あっ食べこぼしがついちゃった」などということはよくあります。その度に丸洗いしてアイロンをかけたり、クリーニングに出すと手間や出費もかさみます。冬場や春先など汗をかかない時期はお風呂に入るついでに手際よく洗面台や洗面器で部分洗いしてからハンガーにかけ乾かすようにすると楽です。

ところで、洋服はシーズンごとにクリーニングに出さなければならないと思い込んでいませんか。クリーニングに出さないお手入れ方法としておすすめなのが、毛足の長い上質な洋服ブラシを使う方法。脱いだらすぐに繊維の目にあわせて一方向へブラシをかけるだけで花粉やホコリが除去され、衣類も長持ちするでしょう。

洋服ブラシがあればクリーニングに出す回数も減らせます

また外食の後など、お気に入りのコートやストールなどについた臭い対策として、日陰で外干しをした後、軽く除菌スプレーをかけておきます。その際、シワが気になる部分に軽く霧吹きしておくと乾くころにはシワが伸び、アイロンの手間が省けますよ。

時短家事のために家族全員で協力

家族全員の洗濯物を1人だけが洗濯し、干して取り込み、畳んでアイロンをかけるとなれば負担は大きくなってしまいます。しかし、洗濯物を取り込むのは一番に帰宅した誰か、収納するのは家族それぞれといった具合に、子どもが小さい頃から家族全員で分担する習慣を付ければ、忙しい毎日の中でもゆとりの時間が生まれます。絶対こうしなければならないという固定観念をとりはらい、家事の分担やシェアなどについて家族で話し合いながら家事を楽しんでみてはいかがでしょうか。

<取材協力>
時短家事コーディネーター®️Basic認定講師
瀧熊 栄美香さん
Like Polaris代表。時短家事コーディネーターとして『あなたに”全く新しい時間” を差し上げます』をキャッチフレーズに『まずは固定観念をはずしてみましょう』『ひとひねりの工夫をやってみましょう』『ひとりでがんばらなくてよいのよ』をテーマに講義を行っている。
生協ひろしまマナビカレッジで講師を務めているほか、「いいオフィス広島」にて大人のための個別学習会も開催中。
一般社団法人ワーク・ライフ・インテグレーション協会所属。広島市男女共同参画推進員、広島県メンター養成員研修修了、ワークライフインテグレ―ションアドバイザー、生活スタイリスト・カラーコーディネーターとしても活躍中。

(最終更新日:2021.06.02)
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