新居への引っ越しや、進学、転勤をきっかけに不要品を処分しようと考えている人も多いのではないでしょうか。不要品処分といえば、フリマアプリやネットオークションが定番ですが、売却の手続きが面倒などの理由で廃棄してしまうケースもあると思います。
コストを重視するなら売却がよいでしょうし、手間がかからないのは廃棄処分です。しかし、ものがあふれている現代だからこそ、捨てる前に「寄付」という選択肢を検討してもよいのではないでしょうか。
本記事では、不要品の処分方法を通じてできる社会貢献について考えてみたいと思います。
拡大するフリマアプリ市場、不要品は個人が個人に売る時代へ
経済産業省の推計によると、フリマアプリの市場規模は、2018年で6,392億円。2016年と比較すると、2倍以上に拡大しています。フリマアプリが登場したのが2012年ですから、たった6年で巨大な市場が形成されたことになります。
フリマアプリ登場以前は、ネットオークションか、リサイクルショップへの売却、フリーマーケットへの出店が現実的な売却手段。フリマアプリの登場によって、より気軽にかつ高く不要品を売却できるようになりました。
ネットオークションは、リサイクルショップよりも高く売却できる場合があることから重宝されてきました。ところが、落札後のやりとりや発送の手間を理由に敬遠されることも少なくありません。他方、衣服や家具などを取り扱うリサイクルショップへの売却は、買い取り価格があまりにも安く、運賃や手間を考えると、効率がよいとは言えません。
そんな中、フリマアプリの登場と普及により、直感的に使えるインターフェイス、シンプルな売却手続きによって誰もが簡単に不要品を売却できるようになりました。「いらないものはまずフリマアプリで売ってみる」という具合に、フリマアプリが多くの人にとって優先度の高い選択肢の一つとなったわけです。
売るのは面倒、捨てるのは忍びないという方におすすめの簡単寄付
フリマアプリの登場により、中古品の個人間取引が気軽にできるようになったものの、写真撮影や説明文の作成、価格の設定、発送の手続きなどは必要ですし、やりとりが不要なわけでもありません。そのため、不要品を廃棄処分にしている方は依然として少なくないようです。また、「まだまだ使えるのにもったいない」と、使うかどうかわからないものを自宅で保管をしている方も多いことでしょう。
そこで、第三の選択肢として検討してみていただきたいのが「寄付」です。寄付というと、金銭の寄付を連想しがちですが、各家庭の不要品を収集している団体も少なからず存在します。最近では、手軽に寄付ができるサービスや制度もあり、手間をかけずに寄付をすることも可能です。
どのような団体が不要品の寄付を受け付けているのか、紹介していきましょう。
●アパレルショップの古着引き取り制度
たとえば、国内外のアパレルショップが、古着を回収した上で、工業用繊維へとリサイクルしたり、途上国に寄付したりといったサービスを提供しています。古着を回収している代表的なアパレルショップは以下の通りです。
・ユニクロ:https://www.uniqlo.com/jp/sustainability/recycle/
・無印良品:https://ryohin-keikaku.jp/csr/bring.html
・H&M:https://www2.hm.com/ja_jp/ladies/shop-by-feature/16r-garment-collecting.html
・GAP:http://gapnews.jp/news/74
これらのアパレルショップは、店頭で古着を受け付けていることが多いようです。立ち寄った際に回収ボックスに不要になった衣服を入れておくだけなど、ほとんど手間をかけることなく古着を寄付、もしくはリサイクル可能です。どの店舗も、古着の寄付に費用はかかりません。
なお、上記ショップのうち、H&Mは他社の衣服や片方しかない靴下でも受け付けてくれます。無印良品には、衣服を寄付するとMUJI passportが1,000マイルプレゼントされる特典があります。
●費用はかかるけど途上国の子どもたちにワクチンを
毎日が発見という企業では、衣服やアクセサリーを送付すると、発展途上国の子どもたち5人にワクチンを届ける「片付けで子どもを救おう古着ボックス」というサービスを提供しています。同サービスでは、途上国の子どもたちにワクチンが届くだけでなく、衣服の選別作業などの雇用も創出しています。
・毎日が発見ショッピング:https://www.shop.mainichigahakken.net/lp/furugibox/
同サービスを利用するためには、2,980円(税込)が必要です。電話やインターネットで申し込むと、古着発送用の段ボールや宅配便の着払い伝票が届き、ほとんど手間をかけることなく古着を送付することができます。
●食べきれない食材はフードドライブへ
フードロスが世界的に問題となっています。この問題の解決につながる上に、困っている方をサポートすることができるサービスとして注目を集めているのが、「フードドライブ」です。
フードドライブとは、個人が食べきれない食料品を持ち寄って、福祉団体や施設などに寄付する活動のことを指します。フードドライブの多くは各地方自治体の役所に設置されています。運搬の手間はありますが、簡単に食べ物を寄付することが可能です。
ただし、持ち込む食料品に以下のようなルールが定められていることも多いため、持ち込む前に確認しておくとよいでしょう。
・未開封で包装が破損していないもの
・瓶詰めではないこと
・冷蔵、冷凍が不要なものであること
・賞味期限が1ヶ月以上残っているもの(そのことが明記されているもの)
・日本語の説明が記載されていること
以上の条件を満たしている国産米やインスタント食品、缶詰や粉もの、調味料やお菓子、飲料、粉ミルク、離乳食などが受け入れ対象食品です。
●子ども食堂への寄付
子ども食堂とは、家庭環境に恵まれない子どもや、子どもだけでご飯を食べている子どものために、無料で食事を提供する施設のこと。子ども食堂は善意のボランティアによって成り立っており、食材の多くも寄付でまかなわれています。
各施設によって必要とされている食材が異なりますので、自宅に余っている食材がある場合は事前に確認した上で、寄付を行いましょう。最寄りの子ども食堂の場所や、必要な食材については以下のサイトで確認できます。
・こども食堂ネットワーク:http://kodomoshokudou-network.com/help.html
●引っ越し時に不要品の引き取りと寄付ができる
引っ越しの際に発生した不要品を、引っ越し業者が引き取るサービスは目新しいものではありません。大手引っ越し業者各社が不要品の無料引き取りや買い取りに対応しています。
そんな中、西濃運輸とセイノー引越が2020年2月に開始した「エコな引越+エコ・ループ」というサービスを開始しました。同サービスでは、買い取りサービスだけでなく、買い取り金額の寄付を選択することが可能。引っ越しの際の面倒な不要品処分と寄付を、同時に行うことができる画期的なサービスです。
また両社は、引っ越しだけではなく、日常の片付けなどで発生した不要品についても同様のサービスを提供しています。不要品を処分したい方、社会貢献をしたいと考えている方はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。
●子どもが遊ばなくなったおもちゃを途上国の子どもたちへ届ける
子どものおもちゃは日々増え、そして不要になります。子どもの興味は移ろいやすく、大事にしていたおもちゃが1年後にはおもちゃ箱の底で長い眠りにつくことも。
そんなときに検討したいのが、おもちゃの寄付です。途上国の子どもたちにおもちゃを送る活動をしている団体は、定期的にショッピングセンターなどで不要なおもちゃの回収を行っています。まだまだ使えるおもちゃが、海を渡って見知らぬ子どものもとに届き、再び大事にしてもらえることは素晴らしいことだといえるでしょう。
まとめ
不要品をフリマアプリやネットオークションで売却するのもよいですが、ご紹介したように手軽に寄付ができるサービスが最近は増えています。
使わなくなったものを求めている人のもとへと届ける寄付。少しだけゆとりがあるとき、寄付の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。