マンションは、高層階になるにつれて購入価格が高くなる傾向があります。「上からの騒音がない」「眺望が良い」「日当たり、風通しがいい」等が人気の理由のようですが、マンションの階数は物件価格にどれほど影響を与えるのでしょうか。
マンション価格が決まるポイント
たとえ同じ広さであっても、低層階と高層階で物件価格が異なるケースは少なくありません。一般的にマンションの価格は、階数が高くなるほど上がり、低くなるほど下がる傾向があります。
しかし、物件価格は階数だけで設定されるわけではありません。たとえば、価格は方位によって変動することがあります。最も人気で価格が高くなりがちなのは、日当たりの良い南向きの部屋。次いで東向き、西向き、北向きの順に価格が下がる傾向があります。
株式会社マーキュリーの調査によると、階数や方位から以下のような物件の価格差が生まれることがわかりました。
【西向きの部屋で坪単価を比較した場合】
・55~59階 1.092
・50~54階 1.115
・45~49階 1.058
・40~44階 1.043
・35~39階 1.028
・30~34階 1.006
・25~29階 1.000 [平均坪単価の基準値]
・20~24階 0.977
・15~19階 0.976
・10~14階 1.005
・5~9階 0.987
・〜4階 0.942
この調査は2009年から2018年の10年間に首都圏で供給された物件を対象に、物件の平均坪単価を1としたとき、各住戸の坪単価がどの程度なのか指数化したものを階数別・方位別にまとめたものです。
西向きの部屋という条件で比較した場合は、だいたい25階以上で平均坪単価の基準値を上回る結果になりました。平均坪単価は、部屋の方位によって変動します。南向き、南東向き、南西向きは5階以上、東向きは25階以上、北西、東向きは30階以上、北向きは40階以上で平均坪単価をおおよそ上回る価格設定となるようです。
また、ほかにも物件価格を左右するポイントがあります。
・位置
角部屋は採光・通風に優れ、数も少ないので価格が高くなる傾向があります。
・デメリットの存在
階段やゴミ置き場に近いなど、住んでいる際にデメリットを感じやすい部分がある場合は価格も低くなっていきます。
さまざまな条件が絡み合って物件価格は決まるため、あくまでも階数の基準は目安として考えましょう。
高層階に住むメリットとデメリットとは
賃貸・分譲ともに人気のある高層階。住居を探す際、「○階以上」と条件を決めている人もいるのではないでしょうか。高層階特有のメリットは多くありますが、階数が高くなるにつれて物件価格が上がる傾向があるほか、さまざまなデメリットもあります。
・眺望
タワーマンションであればなおさら、階数によって窓から広がる景色が大きく変わります。見晴らしの良い高層階に住むことを一種のステータスのように感じる人もいるでしょう。ただし、高層階だからといって景色が良くて採光に優れているとは限りません。新築物件であれば、モデルルームや配置図であらかじめ確認することをおすすめします。中古マンションであれば、周辺に高い建物があるせいで眺望や採光の条件が良くないため、高層階でも価格が控えめというケースもあります。内見の際に必ず確認しましょう。
・防犯・プライバシー
人目につきにくい傾向があるため、防犯やプライバシーの観点から高層階を希望する人もいます。しかし、たとえばタワーマンションが多いエリアでは、近隣マンションや施設などからの視線が気になる場合も。また、高層階は人目につきにくい分、侵入や窃盗などに狙われやすい場合もあります。あくまでもひとつの安心材料になるかもしれませんが、必ずしも万全のセキュリティというわけではないことをお忘れなく。
「災害時にエレベーターが動かなくなった場合は移動が大変」「エレベーターの待ち時間が長い」など、高層階の特徴ともいえるデメリットもあります。
価格や将来性とのバランスを考えながら住まい選びを
購入時の価格は高めとなる傾向がありますが、安定して人気のある高層階の部屋は資産価値が下がりにくく、中古売却時に高く売れるというメリットも考えられます。
一方、不動産調査会社の東京カンテイが発表した「全国における超高層マンションの供給動向&ストック数について調査・分析」では、2000年台後半から新築タワーマンションにおける価格の平準化が進み、売却時の価格上昇率は低層階も高層階もさほど変わらなくなってきているそう。
そのため、高層階と低層階のどちらが良いかというのは一概には言えないでしょう。これからマンション購入を検討する方は、階数などの条件と物件価格の関連性を認識した上で、住まい探しをしてみてくださいね。
参考
▼新築マンション価格設定の法則を算出(マーキュリー)
▼新築タワーマンション、最上階を含む階層以外で“価格の平準化”が進む(東京カンテイ)