大阪の「西梅田」などで地価が全国トップの高い上昇率、その要因とは?

国土交通省から2019年第4四半期(2019年10月1日~2020年1月1日)の『地価LOOKレポート』が発表されました。これによると、主要都市の地価は97%の地区で上昇基調にあり、上昇地区数の割合は8期連続で9割超を維持しているようです。
中でも大阪府は上昇率が高い地区が多く、「西梅田」「茶屋町」「新大阪」は2019年第2四半期以降、6%を超える上昇率が続いています。このような上昇傾向が続く要因は一体何なのでしょうか。2019年第4四半期の『地価LOOKレポート』の内容と合わせて紹介します。

『地価LOOKレポート』とは?

『地価LOOKレポート』とは、主要都市の地価動向を四半期毎に調査し、まとめたものです。年に1度発表される『公示地価』と比較すると調査地点数は少ないものの、地価動向が先行的に現れやすい全国100地区(東京圏43地区、大阪圏25地区、名古屋圏9地区、地方圏23地区)の高度利用地等を調査対象としているため、土地の価格や不動産市況などの不動産マーケットを見通す上で役立ちます。

2019年第4四半期の地価動向

2019年第4四半期の地価LOOKレポートによると、地価動向が上昇したのは100地区中97地区でした。上昇地区数の割合は、8期連続で9割を上回っています。そのほか、横ばいは3地区、下落は0地区でした。

出典:国土交通省「主要都市の地価は97%の地区で上昇基調」

地価動向が上昇している97地区のうち、6%以上という特に高い上昇率を示した地区は次の4つです。

・大阪市:西梅田、茶屋町、新大阪
・那覇市:沖縄県庁前

また、3~6%という比較的高い上昇を示した地区は以下の19地区でした。

・札幌市:駅前通
・仙台市:錦町、中央1丁目
・千葉市:千葉駅前
・東京都:歌舞伎町、渋谷、中野駅周辺
・名古屋市:伏見、久屋大通駅周辺、金山
・大阪府:中之島西、北浜、心斎橋、なんば、福島、天王寺、江坂
・神戸市:三宮駅前
・福岡市:博多駅周辺

この結果を見ると、大阪府内の地区が多いことが分かります。中でも大阪市の「西梅田」「茶屋町」「新大阪」は2019年第2四半期から3期連続で6%以上の上昇率が続いています。

大阪市の3地区で高い上昇率が続く理由は?

地価LOOKレポートでは、全国的に地価が上昇している主な要因として、雇用・所得環境の改善の影響で好調なオフィス市況が続いていることや、再開発事業の進展によって繁華性が向上していること、外国人をはじめとした訪問客の増加によって店舗やホテルが旺盛であることなどが挙げられています。また、利便性の高い地域ではマンションの需要も堅調のようです。

それでは、大阪市内の3地区で特に高い上昇率が続いている要因は何なのでしょうか。地価LOOKレポート内の「不動産鑑定士のコメント」によると、この3地区は大阪の中心部にあり、交通等の利便性が高いため、オフィスや商業施設などの需要が高まっているといいます。

中でも、高層・超高層ビルが立ち並び、再開発も盛んな賃貸オフィス市場である「西梅田」は、賃貸オフィスの空室がかつてないほど低水準で、賃料が上昇しているようです。「茶屋町」や「新大阪」についても、高層の事務所ビルや店舗が集積する大阪中心部の商業地区で、賃料・稼働率ともに好調。また、J-REITを中心に私募ファンド、大手不動産会社などの大阪市内中心部への積極的な投資姿勢が見受けられるため、3地区に対する投資需要は今後も強い状態が続くことが見込まれ、地価動向の上昇傾向が続くと予想されています。

しかし、最近では新型コロナウイルスの影響による、在宅勤務の増加や中小企業の倒産、訪日外国人の減少、テーマパークの休館といったニュースも話題となっています。このような状況が、上昇基調が続く地価にどう影響するのか、今後の動向に注目したいところです。


【参考調査】
国土交通省 土地・建設産業局 地価調査課 
「主要都市の高度利用地地価動向報告~地下LOOKレポート~」
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001328696.pdf

ニュース提供元:国土交通省
情報提供元:国土交通省 土地・建設産業局 地価調査課 

~こんな記事も読まれています~