少子高齢化による人口減少と、都市部への人口集中が進む日本では、地方の過疎化が深刻な社会問題となっています。この過疎化による地方の衰退を解消する人員として近年注目を集めているのが、「関係人口」です。
国土交通省が三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)に居住する18歳以上の男女を対象に実施した「地域との関わりについてのアンケート」によると、三大都市圏における居住者の23.2%(約1,080万人)が特定の地域を訪問している関係人口であることが明らかになりました。
そもそも関係人口とは?
総務省の関係人口ポータルサイトによると、「関係人口」とは、「移住した"定住人口"でもなく、観光に来た"交流人口"でもない、地域や地域の人々と継続的に多様に関わる者」と定義されています。
つまり、日常生活圏以外の特定の地域や、そこに住む人々と継続的な関わりを持っている人のことを指します。このような人は、定住はしていないながらも、特定の地域と継続的な関係を続けているため、地域づくりの担い手不足が進む地方の活性化に繋がるのではないかと注目されています。
三大都市圏における関係人口の割合と認知度
国土交通省の実態調査によると、三大都市圏の居住者における関係人口は24.1%であることが分かりました(帰省などで地縁・血縁先の訪問を主な目的としている人は除く)。そのうち、関係を持つ地域を実際に訪問している人[以下、関係人口(訪問系)]は23.2%となっています。これらの人は、訪問先で飲食や趣味活動を行ったり、地域の産業創出や地域つ?くりに参画したりと、多様な関わり方をしているようです。
一方、訪問を行っていない残りの1.9%は「ふるさと納税」などによって関わりを持っているようです。
これらの結果から、自身の日常生活圏以外の地域と継続的な関係を持っている人は少なくないことが分かります。しかし、今回の調査で関係人口の「定義や考え方などを概ね知っている」と回答した人は2.8%、「言葉は聞いたことがあるが、詳しくはわからない」と回答した人は6.7%と少なく、「関係人口」という言葉の認知度は低い実態が明らかになりました。
関係人口(訪問系)が訪れている地域の傾向
関係人口(訪問系)の人々は、具体的にどのような地域を訪れているのでしょうか。東京都に在住している関係人口(訪問系)について、その「関係先(全国)」を見てみると、41.4%が首都圏都市部でした。生活拠点から近い地域の方が訪問しやすいのではないかと考えられます。
一方で、三大都市圏や、政令市および中核市以外の地方部への関わりを持っている人も28.5%存在しました。田舎暮らしや農業へ関心を持つ人などには、地方部が人気なのかもしれません。
最近では、都心と田舎の2拠点生活(デュアルライフ)への関心が高まっており、このような生活を楽しむ人々は「デュアラー」と呼ばれています。以前は、別荘を購入できるような富裕層や、仕事を退職して時間に余裕ができた高齢層などが多い傾向がありましたが、近年では、若者やファミリーも増えているようです。
各市町村では関係人口を増やすための取り組みが活発
このような需要を受け、地方では関係人口を増やすことで地域活性化に繋げるための様々なプログラムが企画されています。例えば、短期間の農業体験参加型ツアーを行う地域や、1年中いつでも利用できる農園を運営している地域などが存在します。
また、お試し移住が体験できる「お試し体験住宅」に宿泊できる地域もあり、このような宿泊施設を利用すれば、ホテルや旅館では体験できないリアルな田舎暮らしが長期間、体験できます。
まとめ
都会と田舎のデュアルライフに興味のある人は、まずはこのようなプログラムをうまく利用するのが良いかもしれません。そして、その地域をしっかりと知った上で、セカンドハウスの購入なども検討してみてはいかがでしょうか。
【調査概要】
対象者:18歳以上の三大都市圏※に居住する人
有効回答数:28,466人
調査方法:インターネットアンケート
調査実施時期:2019年9月
※調査対象地域の詳細は【関係人口の実態把握(補足資料)P42】を参照
関係人口の実態把握(補足資料)
http://www.mlit.go.jp/report/press/content/001329452.pdf
ニュース情報元:国土交通省
情報提供元:国土交通省国土政策局総合計画課