物件探しの際、家から最寄り駅までの徒歩分数を重視して選ぶ方も多いですよね。そこでチェックするのが、物件情報にある「駅徒歩●分」という表記。しかし、実際に住んでみると、書かれている時間と体感する時間に差があるように感じたことはありませんか? それには、実はいろいろな条件が関係しているのです。
今回は、「駅徒歩●分」の表記に隠された、注意すべき“落とし穴”をお伝えします。
正しい「出発地点」と「到着地点」を把握する
時間に余裕を持って家を出たはずなのに、「思っていたよりも電車に乗り込むのがギリギリになってしまった」なんて経験はありませんか? 歩くスピードや信号の状況などによる影響は少なからずあると思いますが、それ以外にも差が出るポイントはいくつかあるのです。そのひとつが「物件と最寄り駅の、どこを出発・到着地点として時間を計算しているのか」という点。
出発地点…“物件の集合玄関”から
まず、物件から駅に向かう場合の「出発地点」はどこにあたるのでしょうか? 戸建ての場合は玄関からという認識で問題ないかと思いますが、マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、“1階にある集合玄関”にあたります。仮に各部屋の玄関から計ってしまうと、階数によってかなり差が出てしまうためです。とくに、高層階の部屋に住もうと考えている人は、知っておきたいポイントといえます。
さらに、敷地が大きな団地などでは、住んでいる棟によっても徒歩分数に差が出てくることに。この場合の出発地点は、団地の敷地内の中でも“駅から一番近い場所”に設定されることがあります。そのため、敷地内でも駅から離れた棟に住むときには、物件情報に記載されている徒歩分数の表記よりも、何分かプラスして考えた方がよいでしょう。
到着地点…最寄り駅の中の“一番近い出口”
それでは、駅の「到着地点」はどこに設定して考えられているのでしょうか? 「駅構内の改札」や「電車のホーム」など、人によって認識が違ってくるかもしれません。実は、不動産会社が記載する「駅徒歩●分」の表記は、最寄り駅の中でも「物件と一番近い出口」までの徒歩分数に設定されています。これは広告表示に関する不動産業界のルール「不動産の表示に関する公正競争規約」できちんと定められています。(参照:全日本不動産協会 不動産広告の見方(基本編))
そのため、出入り口がひとつしかない駅の場合は、そこを到着地点として問題ないのですが、大きめの駅では、「北口」や「南口」、「A1出口」など、複数の出口があるケースがほとんどです。その場合、まずは物件から一番近い出口を地図などで確認しましょう。そこまでの徒歩分数として認識すれば、表記とホームに着くまでの体感との差を感じにくくなるはず。
あらかじめ「最寄りの出口からホームまでの徒歩分数」を確認しておくとよいですね。
駅前の歩道橋や広場などは「到着地点」にならない
さらに、交通量が多い地域は駅の敷地が広々としていることが多いもの。そのため、駅前には、歩道橋と広場を兼ね備えた「ペデストリアンデッキ」と呼ばれる設備があることも少なくありません。
その場合、到着地点がどこにあたるのかわかりづらくなりますが、そこはノーカウント。先ほどご紹介したのと同じように、あくまでも到着地点に設定するのは「駅舎」の中で一番近い出口となります。駅によっていろいろなパターンがあると思いますが、出発地点と到着地点の基本的な考え方を覚えておくとよいでしょう。
地下鉄の駅はさらに要注意!
ここでもうひとつ注意したいのが、東京メトロや都営地下鉄などの「地下鉄駅」が最寄り駅の場合。なぜならば、地下に降りていく分、ホームにたどり着くまでに地上駅よりも時間を要するためです。
地下鉄を利用した際、エスカレーターに何度も乗らなければホームにたどり着けない駅に出会ったことはありませんか? 特に都営大江戸線の駅には、「六本木駅」や「新宿駅」などをはじめ、地上からホームまでの距離が長い場合が多く見られます。
駅によっては、出口からホームまでたどり着くのに5分以上かかってしまう場合もあるため、実際に住むことを検討している場合は、そこも計算に入れた徒歩分数を予想しておきましょう。
徒歩時間のポイントをおさえて、物件選びの参考に!
出勤などの慌ただしい朝は、ほんの数分でさえも貴重なもの。「徒歩●分」の表記と実際に歩いて体感した時間との差をなくして、ストレスなく過ごしたいですよね。
正しい計測地点を知ることで、どのくらい余裕を持って自宅を出ればいいのか、想像しやすくなります。これから物件を探す際には、ぜひ参考にしてみてくださいね。