苦戦する自治体の地域SNS、民間との連携で地域コミュニティ強化を狙う

2015年9月に開催された国連サミットにおいて、「SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)」が採択されました。これは、すべての人々が豊かで幸せに暮らす未来のために設定されたグローバルな開発目標です。

これを受け、日本でも「誰一人取り残さない」社会の実現に向けたさまざまな取り組みが進められています。

そのうちの一つとして、この度、地域限定型ソーシャル・ネットワークサービス「ご近所SNSマチマチ」を運営する株式会社マチマチと静岡県三島市が連携協定を結び、地域コミュニティの活性化を図る取り組みを開始しました。地域コミュニティの活性化による地域課題の解決に向けて相互に協力することで、SDGsで掲げられている「誰一人取り残さない」社会の実現を目指すとしていますが、具体的にどのような取り組みなのでしょうか?

SDGsとは?

SDGsとは、2015年9月に開催された国連サミットにおいて、全会一致で採択された国際社会全体が目指すべき開発目標です。この前文には「誰一人 取り残さないことを誓う」と謳われており、世界中のすべての人々が豊かで幸せに暮らす未来の実現に必要な17のグローバルな目標と、それを達成するための具体的な169のターゲットが明示されています。

日本における地域コミュニティの課題

昨今の日本では、少子高齢化や都市部への人口の集中をはじめとした様々な要因によって、地域コミュニティの衰退が進み、ご近所付き合いがない人が増加しています。一方、内閣府の「社会意識に関する世論調査(2019年)」によると、「地域でのつながりが必要」と考えている人は98.7%という結果も出ており、ご近所付き合いはないものの、地域コミュニティに対するニーズが高い様子も浮き彫りとなっています。

台風19号接近時のSNS活用の具体例(提供:株式会社マチマチ)

オンラインサービスの必要性と、静岡県三島市の実情

ご近所付き合いの希薄化や、自治会への加入率の低下が進むなか、自治体だけで地域の課題や住民からの疑問に一つ一つ対応することは難しくなってきています。そのため、オンラインでの情報発信を強化しようとする動きは少なくありません。

三島市でも、ブログや掲示板、コミュニティなどの機能によって地域情報を交換する会員制・完全招待制の「三島市地域SNS」が運営されています。

しかし、行政のSNSは民間SNSに比べて集客(特に若年層)が難しく、情報通信技術とセキュリティへの対応や、不適切な投稿の監視・削除対応を行うためのコストがかかるといった課題があり、2020年3月末のサービス終了が決定しています。

協定締結によって期待される効果

今回の連携協定により、今後は「三島市地域SNS」の代替サービスとして株式会社マチマチが運営する「ご近所SNSマチマチ」が運用されます。

「ご近所SNSマチマチ」は、近所の人々と町の子育て情報やオススメのお店、病院、イベントなどの情報交換ができる自治体公認の掲示板で、全国25の自治体と提携しているとのこと(2020年1月24日時点)。この「ご近所SNSマチマチ」を通して、三島市では地域コミュニティの活性化の促進や情報発信の最適化・効率化、地域の防災・防犯の強化を進めていくようです。

昨今、三島市と同様の課題を抱えている自治体は少なくありません。「ご近所SNSマチマチ」の利用状況が良ければ、同様の提携を行う自治体が増える可能性もあるので、今後の動きにも注目したいところです。地域の情報は、日常生活を快適にするだけでなく、災害や事故などの緊急時にも役立ちます。このような地域限定のSNSを導入しているかどうかも、居住地選びのポイントになる日が来るかもしれません。

情報提供元:PRTIMES

ニュース提供元:株式会社マチマチ

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