厚生労働省は、「平成30年度雇用均等基本調査」の結果、2018年度に育休を取得した男性の割合が調査開始以来過去最高の6.16%となったと発表しました。一方、政府は2020年までに男性の育休取得率を13%とすることを目標としており、実情とは依然大きな差があることが分かります。
政府は、男性に対する育児休暇取得の啓もうのため、「男性の育児休業取得促進事業(イクメンプロジェクト)」の実施、子どもが生まれた男性の国家公務員に原則として1ヶ月以上の育休取得を促す制度の決定など、様々な取り組みを行っています。また、小泉進次郎環境相が第一子の誕生に伴って育休を取得すると宣言したことも、大きな話題となりました。
問題になっているのが、育休を取得した男性が家事や育児に十分な時間を割いていない「とるだけ育休」です。ママ向けアプリ「ママリ」を提供するコネヒト株式会社が、夫が育休を取得した508人のママの声を基に作成した「男性の『とるだけ育休』を防ぐための提言(『変えよう、ママリと』)」を参考に「とるだけ育休」の実態と、育休満足度が与える夫婦関係への影響について考えました。
育休中の夫の家事・育児時間は、3人に1人が2時間以下!
夫が育休を取得した人に対し、育休中夫が家事や育児をした時間を尋ねたところ、32.3%の人が一日あたり2時間以下と回答しました。
「8時間超」と答えた人が20.1%いる一方で、「1時間以下」17.7%、「1時間超2時間以下」14.6%と、比較的短い時間しか家事・育児をしなかった人が3割強いることが分かりました。自由回答では、以下のような声が寄せられ、育休に対して目的意識の低い男性がいることが分かります。
育休の意義や活用法がきちんと浸透していないことや、せっかく取得した育休の質が低かったことから不満を抱く妻もいるようです。今後夫に育休を取得してほしいか尋ねた質問では、47.5%が「夫に育休取得をしてほしいとは思わない」と回答しており(「あまりそう思わない」30.8%、「まったくそう思わない」16.7%)、「とるだけ育休」が一定数いる状況が続くと、夫の育休取得を希望する妻がますます減ることが懸念されます。
育休満足度が高いと夫婦の幸福度がアップ。出産直後は今後の夫婦関係を左右する大事な時期
一方で、育休中に半数以上の夫が3時間超家事や育児に参加しており、育休への満足度が高い人も存在します。
上記の自由回答で寄せられた声に共通するのが、夫が育休中はもちろん、育休終了後も家事や育児に前向きな姿勢を示している点です。
また、夫が育休を取得した人を対象に、育休終了後の育児や子育てに対する意識について尋ねたところ、育休満足度が高いほど、妻の身体的・心理的負担や孤立感が低くなっていることが分かりました。
育休満足度は、その後の妻の育児や子育てに関する感じ方に影響するようです。女性のライフステージごとに愛情の配分先の変化を表した「東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長 渥美由喜著『夫婦の愛情曲線の変遷』」によると、出産直後から乳幼児期にかけて夫が子育てに参加するかどうかで、夫への愛情が回復するか否かが決まるとされています。
まとめ
女性にとって出産直後は身体的・心理的負担が大きく、産前産後の恨みは一生忘れないともいわれます。コネヒトでは、男性の「とるだけ育休」を防ぐための提言において、「とるだけ育休」で夫婦関係にひびが入る前に「量的に担当する」「必要なスキルを習得する」「精神的に支える」「主体的な姿勢で取り組む」「休息をとらせる」「十分な期間取得する」「家族との時間を楽しむ」の7つの法則を活用してほしいと呼びかけています。また、育休取得前にどのように育児を行うかを夫婦で話し合うことで、質の高い育休が実現するとコネヒトは提言をまとめています。子育てについて話し合うことで、夫婦の絆がより深いものとなればいいですね。
【調査概要】
公益財団法人 日本財団とコネヒト株式会社が共同で実施した「パパ・ママの育児への向き合い方と負担感と孤立感についての調査」の回答を再分析
調査日 :2019年10月15日(火) ~ 2019年10月23日(水)
調査方法 :アプリ「ママリ」のユーザーに対してインターネット調査を実施
調査人数 :3,992名(有効回答3,899名、そのうち夫が育休を取得した方は508名)
調査対象 :子供が1人以上いるママ
ニュース提供元:PRTIMES
情報提供元:コネヒト株式会社