就職・進学・転勤などをきっかけに新生活をスタートさせる人が多い3月~4月。
例年引越しの需要が最も高まる時期ですが、2018年頃からこの時期になると、「引越し難民」という言葉をニュースなどでよく耳にするようになりました。引越し難民とは、引越しの需要に対して引越しサービスの供給が間に合わず、「引っ越したいけれど引っ越しができない」という人が発生してしまう状況にある人を指します。
そこで今回は、引越しサービスを提供する株式会社アップルの「2020年引越しシーズン予測」から、引越し難民問題の原因と、2020年の引越し難民対策について考えました。
慢性化する引越し難民問題。原因は人手不足と経営構造
2018年頃から社会問題化している引越し難民ですが、大きな改善に至るまでの対策ができていないのが現状です。特に2019年の引越しシーズンは、引越し代金の過大請求問題を受けてヤマトホームコンビニエンスが受注を停止したことや、レオパレスの施工不備問題で引越し件数が増加したことから、2018年よりも問題が深刻化したといわれています。
引越し難民になるパターンとしてアップルが分析したところによると
・予約がいっぱいで引越し業者を手配できない
・見積もりが高価すぎて引越しできない
2つのケースがあるようです。予約が埋まってしまう原因として考えられるのが、働き方改革による労働環境の改善に伴う、引越し業者側の受注可能件数の減少と、慢性的な人手不足です。引越しスタッフは体力勝負の仕事のためなり手が少なく、今後も人手不足問題は続くと予想されています。
一方、見積もりが高くなる要因として挙げられるのが、引越し会社の経営構造です。引越しは3、4月の繁忙期とそれ以外の時期がはっきり分かれているため、平常月の収支を支えるために繁忙期で大きく利益をあげることが求められます。その結果、引越シーズンの引越し価格は高騰しがちなのです。引越し見積もり比較サービスを提供する引越し侍が行った調査では、2019年3月に4人家族で引越しをした場合の平均価格は、平常月に比べて約14万円も高かったそうです。この問題に関しては、平常月の収支を改善することが必要ですが、業界全体の課題であるため、早期解決は難しいといえるでしょう。
2020年、引越し難民にならないための対策とは? 3・4月の引越し料金水準も紹介
2020年の引越しシーズンは、ヤマトホームコンビニエンスが引越しサービスを再開したという好材料はありますが、人手不足や引越し業界の経営構造といった根本的な問題が解決していないため、引き続き引越し難民は発生すると予想されています。では、引越し難民にならないためにできることはあるのでしょうか。
対策として最も有効なのが、繁忙期を避けることですが、転勤や進学に伴う引越しなど、時期をずらすのが難しい場合も考えられます。次にできることとして、家電等を引越し先で購入して運ぶ荷物を減らしたり、なるべく多くの業者に見積もりを依頼したりすることも必要といえます。もちろん、早めに予約をとることも有効な手立てです。
株式会社アップルのように引越し料金水準カレンダーを用意している業者もあるので参考にしたいところです。
このカレンダーによると、引越し業者の繁忙期となる3月~4月のなかでも、人の移動が多くなる3月下旬から4月上旬にかけて料金が高くなる傾向にあるようです。このタイミングで引越しをする可能性のある人は、早い時期に引越し業者に予約の開始時期を確認したり、複数業者に見積もりを依頼しておくことがおすすめです。
まとめ
解決まではまだまだ時間のかかりそうな引越し難民問題。現段階で消費者ができる対策としては、繁忙期を避けて引越しをすることと、早めに引越し準備を始めることといえそうです。まだ引越しの日程が確定していない人も、先に挙げた引越し料金水準カレンダーを参考に、いつ頃からどのくらい料金が上がるのか、目安をつけておくと良いでしょう。