都心マンションで大雪になったらどうする? 積もる前と後にできる住民の対応

マンションは一戸建ての住宅に比べると雪の影響を受けにくいといわれています。しかし、降雪対策が全く不要というわけではなく、雪が降る前に準備をしておく必要があります。
寒冷地のマンションと比べると降雪対策が施されていない都心部のマンションでは、どのような対策を取ればよいのでしょうか。雪の多い地域とのマンション設備の違いや雪への対策を紹介いたします。

地域によるマンションの設備の違い

寒冷地のマンションは降雪対策として、「ロードヒーティング」が備え付けられているところが多いです。

「ロードヒーティング」とは…道路の下に電熱線や温水管を敷いて路面の凍結防止や雪を解かしてくれるシステムのこと。

道路や駐車場が温められて雪が解けるため、除雪や雪かきの手間が省けます。
しかし、首都圏のマンションにはこういった設備は存在していないので、自分自身で降雪対策を行わなければなりません。

ロードヒーティングで雪が解けている道路
ロードヒーティングで雪が解けている道路

都心での大雪といえば、最近では2014年2月と2018年1月に積雪量が20センチを超えたことがありました。このレベルの積雪になると、雪の影響を受けにくいといわれるマンションであっても対策が必要です。

それでは、首都圏で雪が降った際はどのような作業をしておけばよいのでしょうか。

雪が降る前…事前準備

雪が降る日は天気予報で前もって分かるため、当日になって慌てて除雪のための道具を買いに行くのではなく、あらかじめ準備をしておくことが大切です。

●雪を取り除く道具を準備する

絶対に必要になるのが、除雪するための道具です。降雪量が少なければちりとりや洗面器でも代用できますが、それ以上のケースに備えて、専用の道具を用意することをおすすめします。

事前の降雪対策が重要

定番のアイテムは雪かき用のスコップ(スノーショベル)。近ごろは幅が広いもの、車輪がついたものなどがあり、雪を運びやすい作りになっています。ほうきや移植ゴテ(園芸用スコップ)も用意しておくと便利です。

その他、雪かき時に着用する長靴、手袋、防水の服も揃えておきましょう。これらの道具は降雪のシーズン前に、破損等がないか要確認です。
除雪用の道具は、マンションの管理組合などで準備している場合もありますが、数が十分でない可能性もあります。自分で買い揃えておいたほうがスムーズでしょう。

●車は「ワイパー」を立てておく

車に積もる雪への対策も必要です。翌日に雪が降る予報が出た場合、まずやることは車のワイパーを立てること。ワイパーの凍結を防ぐ、フロントガラスに雪が積もっても取り除きやすくなるなどの理由によるものです。

また、雪道の走行が想定される場合はチェーン・スタッドレスタイヤを装着しておきましょう。ノーマルタイヤで積雪・凍結道路を運転すると法令違反となりますのでご注意ください。

●ライフライン停止を想定した備えをする

思いもよらぬ大雪となってしまった場合は、停電が発生するほか、道路の凍結により物流に影響が出たりすることが考えられます。万が一、そのような状況になったときにまず必要になるのは、水や食料、燃料(灯油)です。食料は停電になった場合に備えて調理しなくても食べられるものが良いでしょう。パンや菓子類、シリアル、果物類など1週間分程度用意することを推奨します。

長期の停電になった場合に備えて、懐中電灯、携帯ラジオ、乾電池も準備しておきましょう。寒さ対策としては、使い捨てカイロや湯たんぽ、石油ストーブが必要。また、カセットコンロがあれば料理もできるので、温かい食事を取ることが可能になります。

雪が降り積もった後…雪かき作業

駐車場の雪かきは日当たりの良いところに雪を移動

雪が降り積もり始めたら、除雪作業が必要となります。マンションでの除雪は人手が多いほどスムーズです。できる限り協力しましょう。

●共用部の雪かき…事前に確認を

エントランス、共用廊下などの共用部は管理人さんが雪かきをしてくれる場合がありますので、事前に管理会社に確認すると良いでしょう。ただし、管理人さんが行う場合でも、管理人さんひとりでの雪かきでは時間がかかってしまいます。可能であれば手伝いましょう。

●駐車場の雪かき…日当たりの良いところへ

屋根のない駐車場や駐輪場の雪かきが必要となります。雪が車に積もった場合は、まず車の雪を地面におろします。その後、雪を移動する場所を決めましょう。

ふだん日当たりの良いところを選ぶと、天気が回復した時に早く雪が解けます。排水ができる場所だとなお○です。このとき、全ての雪を取り除く必要はなく、車が動かせる程度に雪かきをすれば良いでしょう。

車を傷つけないように雪を取り除くには、プラスティック製のスコップやゴム製のブラシを使います。また、フロントガラスにも雪かきが必要ですが、このときに注意すべき点が2つあります。

ひとつはワイパーの周りの雪が凍っている場合に叩いて割ろうとしないこと。フロントガラスが割れる恐れがあります。もうひとつはお湯を使わないこと。温度差によりフロントガラスが割れてしまう可能性があります。

●ベランダの雪かき

ベランダは共用部分に属していますが、ここに雪が積もった場合は、各々で除雪を行うのがスムーズでしょう。ベストな方法は雪が解けるのを待つこと。あまりにも雪の量が多く、早めに雪を取り除きたい場合はゆっくりと水をかけるとよいでしょう。このとき、隣の家のベランダに水が流れこんでしまわないよう、流す量には注意しましょう。

雪かきは管理会社の仕事?

管理費を毎月支払っているため、雪かきも管理会社の仕事であると考えてしまいがちですが、雪国以外の地域では管理委託契約の中に「除雪作業」は入っていないのが一般的です。必ず契約書で確認しましょう。

管理人さんが雪かきをしてくれる場合もあると聞きますが、契約になければあくまで「好意」です。自分たちが気持ちよく暮らすために、管理人さんに任せっぱなしにせずに除雪を手伝いましょう。

除雪の姿勢が住民交流を改善するかも??

雪が降ったときの住まい対策として、何より大切なのが事前準備。除雪用具はできるだけ自前で揃えておくとよいです。停電や物流のトラブルも踏まえた備えまでできているとベストです。
また、雪が降った後はマンション住人で協力し合って除雪を行いましょう。
ここで生まれたコミュニケーションでその後住みやすくなったという話もありますので、他人に任せっぱなしにせず積極的に取り組むことをおすすめします。

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