「自然の中で暮らしたい」と移住を考えていても、移住先での仕事に不安がある人も多いのでは? そこで活用したいのが、各市町村が提案する移住政策です。その一環として就農支援に取り組む市町村も多くあります。たとえば埼玉県飯能市は、移住政策として、農業に関わりながら暮らす移住者に就農支援を行う制度・農のある暮らし「飯能住まい」を推進しています。今回は、そんな飯能市の支援策の概要や実際の移住生活について紹介します。
飯能市が勧める“半農ライフ”とは?
埼玉県飯能市が移住政策として展開する制度・農のある暮らし「飯能住まい」は、平日は都内に通勤し、休日は豊かな自然に囲まれ農に触れるという、「仕事は変えず、住まいを変える。新しい“移住”のカタチ」を提案するもの。農業体験参加型、家庭菜園型、農園利用型、農地利用型といったプログラムのほか、作付け指導や講習会といった支援が充実しています。このほど公開されたポスターやチラシの新ビジュアルは、この制度を利用している実在の家族がモデルで、畑仕事をする親子の写真はイキイキとした笑顔にあふれています。
関東だけでも30件。充実した就農支援制度
一般社団法人 移住・交流推進機構のホームページによると、各市町村の移住政策としての就農支援は、関東6県だけでも30件。気軽に参加できる市民農園や田舎暮らし体験、農業体験といったものから、新規就農希望者受入研修や補助金制度など、起業して本格的に農業を始める人に向けた新規就農希望者受入研修や補助金制度まで、多彩な就農支援制度が用意されています。
経験者が語る、自然の中での移住ライフ
自然豊かな環境での暮らしはどんなものなのか、過去の「ARUHIマガジン」に登場いただいたファミリーの体験談を紹介します。
東京都出身の下鳥 誠(しもとり まこと)さんは、転職がきっかけで3年前に岡山県和気町へ。和気町ではWEB関連の仕事をしていますが、東京で働いていた頃と比べ仕事のストレスがなく、飲酒の機会が減り、外食費も激減。近所から野菜やお米を分けてもらえることもあり、「目に見えないムダ使いが少なくなり、経済的にも、精神的にもゆとりが生まれたと感じています」とのこと。
体験談はこちら:【経験者談】40代での脱東京、移住の前後で生活はどう変わったのか?!
5年前、30歳の時にUターンで香川県に移住し、農業を始めたのが二川大地(ふたがわ だいち)さんです。前職は住宅メーカーのサラリーマンで農業はまったくの初心者でしたが、農業大学校の研修を受講して就農。今では4ヘクタールを栽培し、経営も安定してきたのだとか。3人の子育てに関しても「一番下の娘は普段から作業場にいますし、上の子どもたちも幼稚園や学校が終わったら作業場に来ます。働きながら子どもの成長を間近で見られるのはうれしいですね」と話します。
体験談はこちら:挑戦するなら今だ! 30歳で移住し起業。ゼロからの農業で地域活性化へ
まとめ
豊かな自然と向き合いながら仕事ができる農業。心にも生活にも余裕が生まれるだけでなく、家族の絆も深まりそうです。自治体の支援も活用できるので、「知識も資金もないし」と諦めず、移住先での就農を検討してみてはいかがでしょうか。