日本橋川沿いの大規模なエリア整備の中身、水辺を”歩く”ことに焦点

東京駅の東の玄関口・八重洲。大丸東京店や八重洲地下街が賑わいを創出している街近の日本橋側沿いエリアに、地上45階、地下5階、高さ235m(最高限度)におよぶ超高層ビルが誕生します。「(仮称)八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」として発表されたこの都市計画で、八重洲はどのような街に生まれ変わるのでしょうか。

南北2街区に複合ビルや広場空間を創出。交通利便性の高さもウリに

2019年10月、八重洲一丁目北地区再開発準備組合が中央区八重洲1丁目1番他において推進している「(仮称)八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業」の都市計画が決定、東京圏の国家戦略特別区域の特定事業として内閣総理大臣の認定を得たと発表されました。

イメージパース(出展:内閣府)

計画地は東京駅日本橋口至近で、地下鉄「日本橋駅」に直結するため交通利便性が高いのが特徴。南北2街区に分けて開発され、永代通り沿いの「南街区」には地上45階、地下5階、高さ235m(最高限度)、延床面積約180,500平方メートルの超高層複合ビルが、日本橋川沿いの「北街区」には地上2階、地下1階、延床面積約1,000平方メートルの施設が建設されます。着工は2025年度を予定。複合ビルの竣工は30年度、広場空間を含めた全体竣工は35年度と発表されています。

今回の開発の特徴のひとつは、歩くことに焦点を当てたエリアの整備です。日本橋川沿いには、河川区域内の護岸上部も活用した、地上からも2・3階レベルからも水辺を楽しめる重層的な広場空間がつくられます。また、東京駅周辺の広域地下歩行者ネットワークを強化するため、東京駅、地下鉄大手町駅と地下鉄日本橋駅を接続する地下通路の一部区間を整備。

日本橋川沿いへと向かう地上、地下、デッキレベルの歩行者ネットワークや縦動線も確保し、歩く人の回遊性を高める快適な空間づくりが行われる予定です。(出展:内閣府)

複合ビルにはビジネスシーンで大活躍する施設が満載。防災や環境に配慮した仕組みも

目玉となる超高層ビルは、低層階に店舗、中層階にホテル、高層階にオフィスが入居する複合ビルになります。また、開発エリアは国が掲げる東京国際金融センター構想の中心に位置しているため、高度金融人材の活動支援の場としての役割も担います。商談やビジネス交流、アフターコンベンションなど様々なビジネスシーンで快適に利用・滞在できる「多目的スペース」「ワークペース」「交流ラウンジ」などを整備し、周辺地区で整備が予定されている都市型複合MICE(多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称)拠点とも連携していく計画となっています。

集客力があるエリアのため、地域の防災対応力強化も重視されています。災害発生時における帰宅困難者の発生を予想し、約850人が受け入れられる屋内スペース約1,400平方メートルを確保。一時待機場所となる約1,500平方メートルの屋外スペース、約150平方メートルの防災備蓄倉庫も整備し、災害時にも強い自立・分散型エネルギーシステムを導入する予定です。そのほか、エネルギーの効率的利用や建物の省エネルギー化により、環境負荷低減に向けた取り組みも実施されます。

都市開発で、国際競争力の強化に資する金融拠点を形成する

日本の都市の国際競争力が低下している近年、国内外から人や企業を呼び込むことができる都市拠点の形成は急務となっており、東京の各地域で数多くの再開発事業が動き出しています/PIXTA

東京都ではアジアナンバーワンの金融拠点としての地位を取り戻すため「国際金融都市・東京」構想を掲げており、今回の計画にも、国際金融や都市型複合MICEを支える高度金融人材サポート施設の整備が組み込まれています。今後、同エリアが金融関係の人材や資金、情報、技術などが集まる交流拠点として、再び国内外の注目を集める場所になる日も遠くないかもしれません。

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