テレビコマーシャルでは魅力的なキャッチコピーの新洗剤が次々に発売され、気が付けば洗剤ばかりが増えている、というご家庭もあるのではないでしょうか? キッチン、トイレ、お風呂、窓ガラス…掃除する場所ごとに専用の洗剤を用意すると多くの種類を揃えなければならず費用もかかります。また、溜まった汚れを落とすために普段使っているものより更に強力な洗剤を買い足すという場合もあると思います。今回は、できるだけ洗剤の種類を減らしなおかつ少しの心がけで常に綺麗な状態をキープできる、“楽掃除”の方法を時短家事コーディネーター(R)Expertの柴田さちこさんに教えてもらいました。
場所ごとの洗剤は必要? 重曹・セスキ炭酸ソーダ・クエン酸を上手に活用
・重曹・セスキ炭酸ソーダ
日用品売り場には様々な種類の洗剤が並んでおり、魅力的なキャッチコピーを見るとついつい新製品を購入したくなります。しかし気が付けば戸棚には多くの洗剤が溢れ、1度使っただけの洗剤がそのままになっているということもありますね。そこでおすすめしたいのがエコで人や環境にまでやさしい身近な素材を使った“ナチュラルクリーニング”に欠かせない重曹とセスキ炭酸ソーダです。どちらも「アルカリ性」の性質をもち、正式名称は、セスキ炭酸ソーダが「セスキ炭酸ナトリウム」、重曹が「炭酸水素ナトリウム」といいます。どちらも「炭酸」と「ナトリウム」を含んでいるためよく似ていますが、重曹はアルカリ性が弱く、水に溶けにくい、セスキ炭酸ソーダはアルカリ性が強く、水に溶けやすいという特徴に違いがあります。
どちらも水に溶かすと「アルカリ性」の性質を持つためキッチン周りなどの油汚れに効果的です。アルカリ性の強さはpHという0〜14までの数値で表され、14に近づくほどアルカリ性が強まり、油汚れを落としやすくなります。セスキ炭酸ソーダはpH9.8、重曹はpH8.2で、セスキ炭酸ソーダの方がアルカリ性が強いので、ひどい汚れに効果的と考えられます。一方、重曹には水に溶けにくい性質があるため、少量の水と混ぜることでクレンザーのような研磨効果を発揮します。このクレンザー効果で鍋の焦げなど固くこびりついた汚れを削り落とすことができるのです。
油汚れにはセスキ、焦げなどは重曹と使い分けると効果的です。
水に溶けやすく、油を分解するセスキ炭酸ソーダは水に溶かして拭き掃除に使うのがおすすめ。キッチンだけでなくドアノブ、棚などリビングの拭き掃除にも重宝します。スプレーボトルなどに、水500ミリリットルに対し5グラムのセスキ炭酸ソーダを溶かしたものを準備し、通常の洗剤と同じように使います。仕上げに硬く絞った雑巾で二度拭きします。
重曹は水に溶けにくいので、粉のまま使ったり、ペースト状にして使用します。汚れや焦げを覆うように振りかけ、スポンジやブラシでこすり、流水ですすぐか雑巾で拭き取ります。シンク、鍋、レンジ周りの他にお風呂掃除にも使えます。
・クエン酸
シンクの水垢よごれやトイレの黄ばみ汚れにはクエン酸がおすすめです。クエン酸とはレモン等の柑橘類や梅干しに含まれる「酸っぱい成分」のこと。クエン酸は酸性なのでアルカリ性の汚れを落とすことが得意です。水垢や石けんカス、トイレのアンモニアの汚れ、電気ポットのカルシウムの汚れなどに効果を発揮します。また重曹と混ぜることで勢いよく発砲させることができ、発砲作用を利用して排水溝の掃除をすることもできます。
水に溶けやすく、2%の濃度でpH2程度の酸性になるため、スプレー容器に500ミリリットルの水に対し約5グラムのクエン酸を溶かして使用しましょう。
汚れを貯めこまない“楽掃除”を習慣に
汚れをそのままにしておくと頑固な汚れになってしまいます。そうなると強力な洗剤や特別な掃除道具が必要になる場合もあるでしょう。それを防ぐためにおすすめしたいのが「楽掃除」です。あらかじめ必要な洗剤(重曹やセスキ炭酸ソーダ、クエン酸など)や雑巾などの掃除道具を1セットにして、掃除が必要な場所ごとにスタンバイしておきます。キッチンならシンク下やコンロの下、トイレ、風呂場など場所ごとに用意しておくのがコツです。こうしておくことで汚れに気が付いた時にサッと掃除をすることができ、汚れを貯めこまずにすみます。ただし、水に溶かした場合、長く置くと水が腐ったり、粉が固まることがあるため、2週間程度で使いきるようにしましょう。
・トイレはホコリにも注意
トイレは尿飛び汚れなどに加え、トイレットペーパーを使うため、実は思った以上に綿ボコリが目立ちます。このホコリの掃除には使い捨てのハンディモップを用意します。タンクの横や裏部分など目立たない場所にフックを付け、モップを吊り下げておきます。トイレ掃除の時以外にも、ホコリが目立つなと思ったらサッと拭くことができ大変便利です。
・コンロは汚れが温かいうちに
コンロの汚れは使った直後がおすすめ。汚れがまだ温かいうちは落としやすいのでセスキ炭酸ソーダをスプレーし、汚れを拭います。古いTシャツやハンカチ、タオルなどを使いやすい大きさに切って用意しておくと、使ったらそのまま捨てることもできます。
・換気扇掃除は季節がポイント
やっかいな換気扇汚れを楽に落とすコツは掃除をする時期にあります。換気扇のしつこい油汚れは50℃以上のお湯で緩み取れやすくなります。寒い時期はお湯の温度のキープが難しいため、春~夏の暖かい時期がおすすめ。例えば夏の間に換気扇を綺麗にしておくと、大掃除の負担が減るというメリットもあります。
・お風呂は出る前のひと手間
お風呂の掃除も貯めこまないことがポイント。最後に使った人が壁や床、湯船を軽くスポンジでこすっておく習慣をつければきれいな状態をキープできます。さらに仕上げに60℃程度の熱いシャワーで壁、床、湯船を流しておくとカビ防止になります。しっかりと掃除をしたい時は最後に防カビ用燻煙材を使うとなおよいでしょう。
決め手は毎日の“ちょこっと掃除”
汚れが溜まると掃除に時間がかかるばかりか、強力な洗剤や掃除道具も必要になり時間も費用もかかります。毎日のちょこっと掃除で汚れを貯めこまないことで、楽で時短な掃除を実現しきれいな状態もキープできますよ。
<取材協力>
柴田さちこ(しばた さちこ)
シアワセ空間計画室代表。整理収納アドバイザー1級・整理収納アドバイザー2級認定講師・整理収納教育士認定講師・時短家事コーディネーター認定講師(第一号)・インテリアコーディネーター・ファインリングデザイナー2級・ノーマライゼーションファシリテーター・・㈳ワーク・ライフ・インテグレーション協会理事
2010年に整理収納アドバイザー1級資格を取得後、シアワセ空間を作るサポートを山口・広島で行っている。2016年より家事と仕事、そして子育てや介護に忙しくしている方に向けた、ゆとりある暮らしを叶えるための時短家事コーディネーターBasic認定講座の認定講師として時短家事コーディネーター®のメソッドを全国で講演。その他、個人宅・店舗・オフィスの空間と業務改善のサポート、インテリアコーディネート、リフォーム・新築時の収納計画等にも携わる。