なぜいま「無印良品」が”平屋”をつくるの? ”らしい”魅力とは

家具や雑貨、衣料品までさまざまな商品をラインナップしている「無印良品」を展開する「良品計画」の子会社「MUJI HOUSE」から5年ぶりとなる戸建ての新製品が発売されました。あえて1階建ての「平屋」に特化させた家。どんな魅力が詰まっているのでしょうか。

なぜ平屋なのか

住宅が密集する都市部では2階建てや3階建ての戸建てがほとんどです。実際に「MUJI HOUSE」でもそういった住宅の販売もしています。しかし今回、「陽の家」と題され発売されたのは平屋でした。なぜ平屋なのか、「MUJI HOUSE」広報の小島悦也さんが教えてくれました。

「もともと平屋をラインナップしてほしいという要望は多くのお客さまからありました。現代の多種多様なライフスタイルに応えるという意味でも、平屋にはニーズがあると思いました。もちろん普通の平屋ではなく、魅力的なポイントを数多く用意しています」(小島さん)

ウッドデッキが生活の一部に溶け込む家

では「陽の家」とはどんな家なのでしょうか。まず目に留まるのがウッドデッキの広さです。標準仕様で奥行き1,365mmとかなり広く設けられています。広さはもちろん、デッキに堀りを作るなど細かいカスタマイズも可能だそうです。

「この家の魅力は、なんといっても庭と仲良くなれる暮らしを実現できるということです。庭となるウッドデッキへとつながる窓は、すべて壁の中に納まる全開口サッシを採用しています。それにより、室内と室外の区切りがなくなるため、デッキ部分も部屋の一部のような認識になります。室内との段差をフラットにすることで、部屋を往来する感覚でデッキに移動できます」(小島さん)

「こういった設計にしたのは、日常生活の一部を開放感溢れるウッドデッキで過ごしていただきたいという思いがあるからです。たとえば、テーブルを出して家族や友人と食事をする。焚き火を囲みながら会話を楽しむ。子供たちが走り回れる遊び場として。プランターを並べての家庭菜園など、いままでよりも屋外のイベントがグッと身近になるはずです」(小島さん)

(写真左)壁の中に窓がすべて収納できる全開口サッシ。 (写真右)室内とウッドデッキはフラットになっているため、部屋を移動する感覚で室外へと出られます

無印良品らしい住宅

外壁には国産杉材を使用し、木材ならではの温かみが感じられ、経年変化も楽しめる素材を使用。リビングには建物の形状がそのまま現れる勾配天井を採用しました。登り梁という技法を用いることで、室内に余計な構造材を見せず、開放的な空間をつくっています。それによって家具や建具を自由に配置しやすく、自分らしい部屋づくりが実現できます。シンプルで無駄な装飾を省いたデザインという点からも無印良品らしさが感じられます。またモジュール設計により、無印良品の家具がぴったり収まるなど、7,000品目にわたる商品との親和性もあります。

(写真左)屋根の形状がそのまま室内の天井の形になっています。一番高い部分で約3,900mmと開放感のある設計。 (写真右)寝室やリビングという垣根を越えて広い一室として使うこともできます

設計と耐震性

土地の形状や大きさ、暮らす人数などに合わせて平屋とウッドデッキの大きさを変更できる標準プランを多数用意。もちろん住宅の基本性能である耐震性能や断熱性能に対しても高いレベルを実現。耐震等級としては最高となる3を取得。断熱等性能等級も最高の4を取得し、長期間にわたって快適・安心な生活を実現できます。

建てるなら郊外向き!?

紹介した平屋はウッドデッキが日常的にもっと近く感じられ、まさに生活スペースの一部として機能するモデルだと思いました。やはりウッドデッキスペースの確保や、周囲からの目線なども考慮すると、住宅が密集する都心部というよりは、やや郊外向きといえるかもしれません。しかし、最近では働き方改革により、落ち着いた郊外で家族と過ごすという選択肢も増えてきています。都会の喧騒を忘れさせてくれる別荘暮らし。そんな生活を実現してくれる平屋だと思いました。

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