【4月から値上げ】電気・ガス料金はどのように決められている? 基準・仕組みについて解説

2020年4月の家庭向け電気料金は、北海道電力や東京電力など4社が3月に比べ値上げ、また大手都市ガス4社も料金を引き上げることになりました。火力発電の燃料に使う液化天然ガスや原油価格の上昇が要因とみられています。ところで電気やガスの料金がどのように決められているのか、ご存じでしょうか? 過去の料金改定の理由などと合わせ、電気料金やガス料金の仕組みについて説明いたします。

電気料金の仕組み

まずは、電気料金の仕組みについて説明しましょう。当然、使えば使うほど料金は高くなりますが、それ以外の要素もあり、電気料金の計算方法はやや複雑です。

電気料金の内訳

毎月支払っている電気代。大きく3つの項目から成り立っています

月々の電気料金は大きく3つに分かれます。基本料金電力量料金、そして再生可能エネルギー発電促進賦課金です。

・基本料金

基本料金は、電気を一切使わなくても発生する料金です。契約しているプランによっては、電気の使用量によって変動することもあります。

・東京電力エナジーパートナー「スタンダードS」の場合

契約するアンペア数により、基本料金が異なります。

最も低い10アンペアの場合、基本料金は286円00銭(税込)、一般的に多く使われる30アンペアの場合は858円00銭(税込)です。

全く電気を使用しなかった場合は基本料金が半額となりますが、最低月額料金(235円84銭(税込))が定められていますので、これを下回る場合でも最低月額料金は支払わなくてはなりません。

・関西電力「従量電灯A」の場合

関西電力では、基本料金はアンペア制ではなく、「最低料金制」が採用されています。したがって、契約時にアンペアを選ぶ必要はありません。

最低料金は341円02銭(税込)で、15kWh以上電気を使用した場合は使用量に応じて料金が加算されます。

電力量料金

電力量料金とは従量料金とも呼ばれ、電気の使用量によって上下する料金です。電力量料金単価に、1ヵ月の電力使用量を掛けて計算します。

また、燃料価格の変動に応じて自動的に電気料金を調整する「燃料費調整制度」が導入されており、これによって、電気料金が調整されています(料金が上がる場合も下がる場合もあります)。

計算方法:(電力量料金単価×電気の使用量)±(燃料費調整単価×電気の使用量)

再生可能エネルギー発電促進賦課金

これは「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」により、2012年7月に定められた制度によるもの。電力の買い取りに要した費用を、電気の使用量に応じて契約者が負担するというものです。単価は全国一律で、毎年度経済産業大臣によって定められます。

計算方法:再生可能エネルギー発電促進賦課金単価 × 電気の使用量

割引について

電気料金の支払いを口座振替にした場合、「口座振替割引」として一定額が割引となります。また、新電電各社においては、加入プランによりさまざまな割引があります。

過去の電気料金改定

値上げのケースもあれば、値下げされることも

燃料費調整制度

まず、電気料金は「燃料費調整制度」によって毎月改定されています。燃料費調整制度とは、原油、液化天然ガス(LNG)、石炭の価格変動を電気料金に反映させるための制度で、3ヶ月間の平均燃料価格を2ヶ月後の電気料金に反映します。

例えば、1月~3月の平均燃料価格は、6月分の電気料金に反映されます。また、消費者を保護する観点から、燃料の価格が大幅に上昇した場合のために、値上げ幅に一定の上限が設けられています。

この「燃料費調整制度」により調整された額は、電力会社から送られてくる「電気ご使用のお知らせ」にも記載されています。

その他の電気料金改定

その他、電気料金が改定される理由にはさまざまなものがあります。

値上げの理由としては、消費増税(2014年4月、2019年10月)、原子力発電所の稼働低下、燃料費の高騰などがあります。逆に、経営効率化により電気料金が値下げとなったケースも。

ガス料金の仕組み

ガス料金は電気料金とは算出の仕方が異なります

続いて、ガス料金の仕組みについて説明いたします。ガス料金は電気料金に比べると、計算方法はシンプルです。

都市ガス

都市ガスの料金は基本料金と、使用量に応じて発生する従量料金を合計した金額です。ガス会社によっては、ガス温水床暖房など、特定のガス器具を使用している場合に別の料金メニューを選ぶことが可能です。

・基本料金

ガスの使用量により、使用量の少ない順に料金表A、B、C…といった形で料金が変わります。「料金表A」の場合、東京ガス、大阪ガスの基本料金は759円00銭(税込)、西部ガス(九州の一部エリア)では913円00銭(税込)と地域により異なります。

・従量料金

従量料金は、1立方メートルあたり東京ガスで142円10銭(税込)、大阪ガスで165円63銭(税込)、そして西部ガスでは218円60銭(税込)と、こちらも地域によって異なります(2019年10月検針分)。

また、「原料費調整制度」を導入していますので、原料価格の変動に応じて、ガス料金が調整されています。

計算方法:(基準単位料金±原料費調整単価×ガスの使用量)

LPガス

LPガスの料金は、約9割の事業者が都市ガスと同じ基本料金従量料金の合計となっています。

・基本料金

LPガス大手の岩谷産業のグループ会社、イワタニ関東の料金を例に説明します。基本料金は、戸建ての場合1,944円(税込)、集合住宅では2,376円(税込)です。

・従量料金

同様に、イワタニ関東の料金を例に説明します。従量料金は、1立方メートルあたり戸建てで486円(税込)、集合住宅では648円(税込)と都市ガスに比べるとかなり割高です。

LPガスが都市ガスに比べて高い理由

LPガスの料金が都市ガスに比べて高いのは、主に配送コストが高いことと、自由料金制のために料金の公開が義務化されていないことによるものです。

また、LPガスの販売店には事業規模の小さな企業や商店が多く、コストを下げにくいという事情もあります。

過去のガス料金改定

・原料費調整制度

都市ガス料金は「原料費調整制度」により毎月改定されています。

原料費調整制度とは、液化天然ガス(LNG)、液化石油ガス(LPG)の価格変動をガス料金に反映させるための制度で、3ヶ月間の平均原料価格を2ヶ月後のガス料金に反映します。例えば、1~3月の平均原料価格は、6月分のガス料金に反映されます。

また、電気料金の「燃料費調整制度」同様、消費者を保護する観点から、燃料の価格が大幅に上昇した場合のために、値上げ幅に一定の上限が設けられています。

なお、LPガス料金が「原料費調整制度」により改定されているかどうかは、各事業者のホームページにてご確認ください。

その他のガス料金改定

2014年4月や2019年10月の消費増税時の値上げや経営効率化による値下げなど、電気料金と同様にさまざまな理由で改定されています。

まとめ

燃料・原料の価格の変動によって毎月改定される電気料金・ガス料金。国際情勢の影響を受けて燃料・原料の価格が上下しますので、毎日使う電気やガスの料金は国際情勢と密接に関連しています。電気料金・ガス料金の変動から、国際情勢を意識して考えてみるのも面白いかもしれませんね。

(最終更新日:2020.02.27)
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