2019年10月から【フラット35】に4つの制度変更が行われます。金利引き下げや借り入れ条件の緩和など、利用者にとって有利な変更です! 今回はそのうち、【フラット35】の金利引き下げや【フラット50】の条件緩和について確認してみましょう。
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【フラット35】が2019年10月から制度変更
【フラット35】の2019年10月からの制度変更は、表1にまとめた4点です。
今回はそのうち、3、4の融資率に関する改正について確認してみましょう。
表1 【フラット35】2019年10月の制度変更
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【フラット35】の融資率9割超の金利を引き下げ
【フラット35】は全期間固定金利の住宅ローンですが、その金利は、「融資率」が9割以下か、9割超かで異なります。
融資率とは、以下の式で計算される、住宅の建築費・購入価格に対する借入額の割合のことです。
融資率が低いほど、住宅購入の際の自己資金の割合が高いということになるので、金融機関の側からみれば、滞りなく返済される可能性が高い、といえます。逆に、融資率が高い場合には、住宅購入の際の自己資金の割合が低いということになるので、金融機関側からみれば、滞りなく返済される可能性が低いということ。そこで、【フラット35】の場合には、
「融資率が9割を超える場合は、融資率が9割以下の場合と比較して、ご返済の確実性などをより慎重に審査させていただくとともに、お借入額全体の金利を一定程度高く設定させていただきます」とされています(【フラット35】ホームページ「融資率とは」より)。
2019年9月まで融資率9割超の場合の金利は、融資率9割以下の場合の金利に0.44%上乗せされていましたが、2019年10月からは、その上乗せ金利は0.26%となりました。自己資金が少ない人にとっては、借りやすくなる改正ですね。
表2 金利引き下げのイメージ(仮定の金利で比較した場合)
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【フラット50】は、融資率の上限が9割に、融資限度額が8,000万円に
長期優良住宅※を取得する場合に利用できる最長50年返済の【フラット50】は、融資率の上限が6割から9割に、融資限度額が6,000万円から8,000万円に引き上げられました。
ローンは他の条件が同じなら、返済期間が長いほど毎月の返済額は少なくなるので、ローン利用者からみれば返済がしやすくなります。しかし、金融機関側からみれば、返済期間の長いローンほど滞りなく返済される可能性は低くなるので、返済期間の長い【フラット50】は、【フラット35】に比べて、融資率や融資限度額の条件が厳しく、金利は高く設定されてきました。今回の改正で、融資率の条件が緩和され、融資限度額は【フラット35】と同様になったので、長い返済期間でローンを組み、少しずつ返済していきたいローン利用者にとって利用しやすくなったといえます。(なお、【フラット5050】取り扱い金融機関は限られているため、あらかじめお調べいただくほうが賢明です)
※長期優良住宅:長く安心・快適に暮らせる優良な住宅として国が定めた基準を満たし認定を受けた住宅
このように、自己資金が少なく、多く借り入れたい方や長くローンを組んで毎月の返済額を抑えたい方にとって、2019年10月の変更はうれしいニュースですね。
ただし、ローンは「借りられるだけ借りる」のではなく「返せるだけ借りる」ものです。利用しやすくなった【フラット35】や【フラット50】を利用する場合も、借りられるかどうかではなく、無理なく返済できるかどうかを第一に考えて、返済プランを考えるようにしましょう。
(最終更新日:2019.10.15)